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展覧会の絵を味わう音楽会

投稿日:2018年05月19日 10:30

今週はムソルグスキー作曲、ラヴェル編曲の「展覧会の絵」をお聴きいただきました。藤岡幸夫さんによる思い入れたっぷりの解説が熱かったですよね。ムソルグスキーが作品に込めた親友ガルトマンに対するさまざまな気持ちが伝わってきました。この曲が単なる音で描いた絵画ではなく、深い悲しみの念が込められたエモーショナルな作品であるということは、ラヴェルの編曲があまりに華やかなのでつい忘れがち。藤岡さんのお話を聞いて、一段と曲への共感が深まったように思います。
 「展覧会の絵」はかなり特異な経緯で広く知られるようになった作品です。もともとこの曲はピアノ独奏曲として書かれたのですが、ムソルグスキーの生前にこの曲が成功を収めることはありませんでした。作曲者の死後、フランスの作曲家ラヴェルがこの曲をオーケストラ用に編曲してから、「展覧会の絵」は世界的に有名な曲になったのです。オリジナルよりも他人によるアレンジのほうがよく知られていて、なおかつコンサートのメイン・プログラムになるような大規模な作品は、クラシック音楽の世界では稀有な存在です。ラヴェルの編曲がヒットしたおかげで、ムソルグスキーの原曲も次第に知られるようになりました。
 実は「展覧会の絵」には、ラヴェル以外にもさまざまな編曲が存在します。レオポルド・ストコフスキ版、ヘンリー・ウッド版、セルゲイ・ゴルチャコフ版、レオ・フンテク版など、いくつものオーケストラ編曲があります。ラヴェルの編曲が圧倒的に高い人気を誇ることはまちがいありませんが、指揮者によっては珍しい版を用いたり、自分自身の編曲を使うこともあります。また、シンセサイザーを用いた冨田勲版や、プログレのエマーソン・レイク・アンド・パーマー版といったジャンルを超越した編曲も存在します。ムソルグスキーの原曲には、他のアーティストの創作意欲を刺激する特別ななにかがあるのでしょうか。

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植松伸夫が厳選!ファイナルファンタジー吹奏楽の音楽会

投稿日:2018年05月12日 10:30

今週はファイナルファンタジー・シリーズのなかから、植松伸夫さんにとって特に思い入れのあるファイナルファンタジーVIIの音楽をお届けしました。ファイナルファンタジーVIIがリリースされたのは1997年のこと。PlayStation用に発売され、大ヒットを記録しました。
 こうして曲を聴くと、ゲーム音楽ってすでに自立した音楽の一ジャンルになったんだなと感じます。ファイナルファンタジーVIIをプレイした人にとって懐かしい音楽であるというだけではなく、プレイしていない人も聴いて楽しむことができる音楽になっています。
 よく思うのですが、ゲームそのものは世代で愛され、ゲーム音楽は世代を超えて聴き継がれるものではないでしょうか。筆者のようなファミコン世代のゲーマーにとっては、ファイナルファンタジーといえば、まずIIやIIIを思い起こします。スーファミ世代、プレステ世代であれば別の作品を思い出すでしょうし、最近のプレーヤーならオンラインでプレイするファイナルファンタジーに親しみを感じるかもしれません。でも、ファイナルファンタジーの音楽は、世代にかかわらずに、ゲーム音楽の名作として聴かれているように思います。VIIをプレイしていないけど「片翼の天使」は聴いたことがある、といった方も少なくないのでは?
 ゲーム音楽の先輩格、映画音楽でも似たようなことが起きていると思います。映画「ゴッドファーザー」は見ていないけど、ニーノ・ロータの音楽は知っている。映画「スター・ウォーズ」に関心がなくても、ジョン・ウィリアムズのテーマ曲は聴いたことがある。そんな現象です。
 もっと遡れば、オペラにだって同じことがいえます。マスネのオペラ「タイス」は見たことがないけれど、劇中の「タイスの瞑想曲」は大好きだ、といったように。名曲はそう簡単には古びないんですよね。

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ジャンルを超えた音楽祭を楽しむ休日

投稿日:2018年05月05日 10:30

フランスのナントで始まった音楽祭「ラ・フォル・ジュルネ」の大きな特徴は、クラシック中心の音楽祭でありながらも、ジャンルの垣根を超えた音楽家たちが参加するところだと思います。民俗音楽系のバンドだったり、ジャズ・ミュージシャンだったり、どんなジャンルにも収められないようなパフォーマーだったり、毎回のテーマに応じていろいろなアーティストたちが登場して、驚きをもたらしてくれます。
 音楽祭の創設者ルネ・マルタンさんは、音楽に対してとてもオープンな姿勢を持っています。マルタンさん自身、少年時代はジャズに夢中になり、ドラムを演奏するバンド少年でした。クラシック音楽に目覚めたのは、バルトークの弦楽四重奏曲を聴いたことがきっかけ。それからマルタンさんは、ナントの音楽院に進学し、やがてクラシックのコンサートをプロデュースすることになります。あるときU2のコンサートに出かけて何万人もの若者たちが熱狂しているのを目にして、「この人たちが集まるようなクラシックの音楽祭を作れないか」と思ったことが、ラ・フォル・ジュルネ誕生のきっかけになりました。
 ラ・フォル・ジュルネに出演するジャンルの垣根を超えたアーティストたちには、なんらかの民族的伝統に立脚しながらも、そこに新しい表現を取り入れて、オリジナリティのある音楽を生み出している人が多いように思います。林英哲さんやクレズマー音楽で活躍するクラリネットのヨムなどはまさにその好例でしょう。もともとマルタンさんがクラシックに目覚めるきっかけとなった作曲家バルトークも、やはり故郷ハンガリーの民謡収集を通じて独創的な音楽語法を開拓した人ですから、こういったアーティストがラ・フォル・ジュルネに招かれるのは必然といえるかもしれません。
 冬にナントを賑わせたラ・フォル・ジュルネは、この連休に東京へ。未知のアーティストとの出会いに心を揺さぶられた方も多いのではないでしょうか。

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クラシックの名プロデューサーを知る休日

投稿日:2018年04月28日 10:30

今週はラ・フォル・ジュルネの生みの親であるルネ・マルタンさん一押しのアーティストたちにご登場いただきました。
 マルタンさんの慧眼ぶりは広く知られるところ。ラ・フォル・ジュルネで脚光を浴びた若手アーティストが、その後何年か経ってから一回り大きくなって檜舞台に立つという例は枚挙にいとまがありません。ヴァイオリンのネマニャ・ラドゥロヴィチ、指揮のファンホ・メナ、フランソワ=グザヴィエ・ロト、ピアノのベルトラン・シャマユ、ベアトリーチェ・ラナ、チェロのエドガー・モロー等々。以前、インタビューした際に、マルタンさんはこうして大きく育ったアーティストたちについて「みんなどんどん忙しくなって、ラ・フォル・ジュルネに出演できなくなる人も多い。でもそれは光栄なことなんだよ」と語ってくれました。
 その一方で、ラ・フォル・ジュルネにはビッグネームも出演しています。今週のバーバラ・ヘンドリックスもそうですし、先週放送したギドン・クレーメルや、音楽祭の常連ピアニスト、ボリス・ベレゾフスキーといった人たちです。これはアーティストとマルタンさんの強い信頼関係があってこそ。
 実はマルタンさんは「ラ・フォル・ジュルネ」を始めるずっと以前から、音楽プロデューサーとして名演奏家たちと個人的な絆を結んでいます。たとえば旧ソ連の大ピアニスト、リヒテル。若き日のマルタンさんはリヒテルのリサイタルに出かけ、ナントで演奏してほしいとリヒテル本人にお願いして、公演を実現させます。そしてリヒテルからはトゥレーヌのメレ農場で行われる音楽祭を任されるようになりました。
 マルタンさんが若いアーティストの才能を見抜くように、リヒテルもまたマルタンさんのプロデュースの才能を見抜いたのかもしれませんね。

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世界最大級!クラシックの音楽祭を知る休日

投稿日:2018年04月21日 10:30

今週はフランスのナントからクラシックの音楽祭「ラ・フォル・ジュルネ」の模様をお届けいたしました。5月の連休中に日本でも開催される「ラ・フォル・ジュルネ」ですが、発祥の地はナント。この音楽祭は音楽プロデューサーのルネ・マルタンさんが創設したもので、従来のクラシックの音楽祭とはまったくスタイルが異なります。短時間で低料金の公演が、朝から深夜まで複数の会場で同時並行で開催されます。格式ばった音楽祭ではなく、だれもが気軽に足を運べるカジュアルな音楽祭なのです。
 「ラ・フォル・ジュルネ」という名前を日本語に訳せば「狂った一日」。これはモーツァルトのオペラ「フィガロの結婚」の原作のタイトルに由来します。「フィガロの結婚」には貴族階級への批判が込められています。「一部のエリートのためではなく、みんなのためのクラシックの音楽祭」を目指したマルタンさんの狙いが、音楽祭の名称にも反映されているんですね。
 ナントのメイン会場はシテ・デ・コングレ。約2000人収容の大ホールのほか、大小の講義室や会議室がいくつもあります。東京・有楽町のラ・フォル・ジュルネに足を運んだことのある方は、番組を見て「あれ、なんだか東京国際フォーラムと雰囲気が似ているな」と感じたかもしれません。実際に行ってみると、本当によく似ています。おなじみの八角形の赤いステージもあって、一瞬、有楽町にいるのかと錯覚しそうになるほど。
 「ラ・フォル・ジュルネ」は万人向けのフレンドリーな音楽祭ですが、中身はあくまで本格派。わかりやすい曲だけを並べるなどといったことは決してしません。有名曲と並んで知られざる作品も多数あります。ギドン・クレーメルが演奏したカンチェリの作品もそのひとつ。挑戦的なプログラムを平気で組むのですが、こんなプログラムでも客席はほぼ満席。むしろ、未知の音楽との出会いが歓迎されているような雰囲気がありました。

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クラシック界が注目する若き才能の音楽会

投稿日:2018年04月14日 10:30

今週は気鋭の若手奏者、ピアニストの藤田真央さん、ヴァイオリニストの木嶋真優さんに協奏曲を演奏していただきました。
 藤田真央さんは1998年生まれ。まだ在学中なんですね。東京音楽大学1年生で第27回クララ・ハスキル国際ピアノ・コンクールで優勝を果たしました。すでにCDもリリースされています。若き才能がひしめく日本の音楽界ですが、ここまで若くして脚光を浴びる人はめったにいません。チャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番の第3楽章を鮮やかに弾ききってくれました。切れ味のあるテクニックと作品にふさわしい豊かなパッションと推進力。加えて抒情的な表現も巧みで、大変に聴きごたえがありました。最後のカデンツァからの怒涛の終結部は迫力がありましたよね。
 ベートーヴェンのピアノ・ソナタ第32番を例に、作曲時の年齢をイメージした演奏を披露してくれましたが、19歳でありながら仮想51歳となって弾くという発想法はかなりユニーク。
 木嶋真優さんは「練習が大嫌い」というお話が意外でした。しかしお話を聞くと、練習嫌いであるがゆえに、少しでも練習の効率を高めるべく、一回一回、自分の感覚を確かめながら考えて弾くというのですから、練習に対する集中力を大切にされているのでしょう。この世界、すごい練習をしてきた人が練習嫌いを自認することはままあること。
 木嶋さんが演奏したのはショスタコーヴィチのヴァイオリン協奏曲第1番。ショスタコーヴィチが活躍していた頃のソ連では、芸術家は自由な創作を許されていませんでした。当局の意図に合致する、わかりやすくて、体制を賛美するような作品が求められたのです。ショスタコーヴィチはヴァイオリン協奏曲第1番を1948年に完成しましたが、このような野心的な作品を発表するのは危険だと考え、スターリンが亡くなって2年後の1955年まで発表を控えました。難曲にして大曲ですが、近年は演奏機会が増えているように感じます。今や20世紀を代表するヴァイオリン協奏曲のひとつになったといってもよいでしょう。

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新時代を切り開いた作曲家ドビュッシーの音楽会

投稿日:2018年04月07日 10:30

今週は没後100年を迎えたフランスの作曲家ドビュッシーの魅力に迫りました。まったく独自の形式、ハーモニー、色彩によって、20世紀音楽の礎を築いた作曲家ドビュッシー。その革新性は「後世の作曲家でドビュッシーの影響を受けていない者はほとんど見られない」(ニューグローヴ世界音楽大事典)と言われるほど。「亜麻色の髪の乙女」のような作品は、今やテレビCMなどでも使用されるほど広く親しまれる名曲になっていますが、その響きの性質や柔軟なリズムはそれまでの古典的な音楽とは一線を画しています。
 ドビュッシーの音楽にはさまざまな特徴がありますが、異国趣味もそのひとつ。本日お聴きいただいたピアノ曲集「版画」第1曲「パゴダ」(塔)からは、ガムラン風のアジア的なムードが漂ってきます。ちなみにこの曲集の第2曲は「グラナダの夕べ」で、スペイン趣味が反映されています。以前、番組で交響詩「海」を取りあげた際には、スコアの表紙に葛飾北斎の浮世絵が使用されているといった日本趣味についてご紹介しました。「子供の領分」の第6曲「ゴリウォーグのケークウォーク」はアメリカ風。ドビュッシーの視野はとても広いのですが、素材はあくまで素材にすぎず、そのすべてに彼ならではのオリジナリティが発揮されています。
 最後にお聴きいただいた「花火」は、前奏曲集第2巻からの一曲。ピアノ一台の曲なのに、色とりどりの花火が目に浮かぶような色彩感が伝わってきます。ドビュッシーの作品には、光や波、水、風など、不定形で時々刻々と変化する現象を題材にした曲が多いですよね。ちなみこの曲のおしまいの部分で、さりげなくフランス国歌「ラ・マルセイエーズ」の断片が登場するのに気づかれたでしょうか。この曲はフランス革命記念日の情景を描いたものと言われています。先週の「ワールドカップの音楽会」でご紹介した国歌の名作がこんなところにも。

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ワールドカップの音楽会

投稿日:2018年03月31日 10:30

今年は4年に1度のワールドカップ・イヤー。ロシアを舞台に6月中旬から約一か月にわたるサッカーの熱戦がくりひろげられます。本日はそんなワールドカップを彩る名曲と国歌をお届けいたしました。
 サッカーと縁の深いクラシックの名曲はいくつもありますが、その代表格といえるのがイギリスの作曲家エルガーの「威風堂々」。もともとはオーケストラのための行進曲ですが、中間部は歌詞を付けて「希望と栄光の国」の題で愛唱されています。このメロディはイギリスはもちろんのこと、Jリーグを含む各地のスタジアムでサポーターたちのチャント(応援歌)として歌われています。プレミアリーグの中継などで耳にしたことがある方もいらっしゃることでしょう。スタジアムではかなり早いテンポで手拍子を打ちながら歌われることが多いと思います。
 ワールドカップではふだんなじみのない国の国歌もたくさん耳にすることになります。海外サッカー・ファンであればブラジル国歌やイタリア国歌に他国の国歌とは思えないほどの親しみを覚える方も少なくないはず(イタリアは出場権を逃してしまいましたが……)。
 しかし有名さにかけては、イギリスの「ゴッド・セイヴ・ザ・クイーン」とフランスの「ラ・マルセイエーズ」にかなう国歌はないでしょう。この両曲はほかの曲から引用されたりカバーされたりすることも少なくありません。クラシックの作曲家では、「ゴッド・セイヴ・ザ・クイーン」をベートーヴェンが変奏曲に仕立てていますし、ドビュッシーは「ピクウィック殿をたたえて」で引用しています。また「ラ・マルセイエーズ」は、チャイコフスキーの大序曲「1812年」やドビュッシーの「花火」に登場します。
 作曲者の名声という点では「ドイツの歌」が最強です。なにしろあのハイドンが作ったのですから!
 さて、今回の大会の決勝で歌われるのはどこの国の国歌でしょうか。ドイツ、フランス、イングランドといった国は有力候補かもしれませんね。

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レナード・バーンスタインの音楽会

投稿日:2018年03月24日 10:30

今年生誕100年を迎えるレナード・バーンスタインは、作曲家としても指揮者としても活躍した音楽界の巨人でした。
 多くのクラシック音楽ファンにとって、生前のバーンスタインは第一にスター指揮者だったと思います。カラヤンと双璧をなす巨匠として音楽界に君臨しました。ニューヨーク・フィルでの活躍の後、ウィーン・フィルとも緊密な関係を築き、カラヤンが率いるベルリン・フィルとはライバルのように見なされていました。かつてバーンスタインは一度だけベルリン・フィルの指揮台に招かれたことがあります。マーラーの交響曲第9番を指揮して語り草となる壮絶な名演を披露したところ、その後、なぜか二度とこのオーケストラから招かれることはなく、その理由についてさまざまな憶測が語られました。この逸話は昨年ベルリン・フィルが来日した際の記者会見でも話題に出たほどで、バーンスタインの存在感がいまだに大きいことをうかがわせます。
 1990年にバーンスタインが亡くなった後は、次第に作曲家としてのバーンスタインに光が当てられるようになってきたように思います。もちろん、「ウエスト・サイド・ストーリー」や「キャンディード」といったミュージカル作品は以前より人気が高かったのですが、交響曲第1番「エレミア」、交響曲第2番「不安の時代」、オーケストラのためのディヴェルティメント等、シリアスな作品も次第に演奏頻度が高まってきました。とりわけ、生誕100年の今年は、彼の作品を聴く機会が多くなっています。
 ただ、それでも上演の機会が限られているのが「ミサ」。昨年、井上道義さん指揮の大阪フィルが大阪のフェスティバルホールで上演したのが、日本国内では23年ぶりの演奏となりました(前回の指揮者も井上道義さんです)。バーンスタイン本人にとって特別な思い入れのある作品であるにもかかわらず、特殊な大編成を要するため、上演は非常に稀なこと。本日はそのごくごく一部をお送りしました。全曲では正味100分を超える大作。次の上演の機会が早く訪れることを願わずにはいられません。

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カバーポップスの音楽会

投稿日:2018年03月17日 10:30

海外のヒット曲に独自の日本語歌詞を付けて、日本の歌手が歌ったカバーポップス。今週は1950年代後半から60年代前半にかけて大ブームを起こしたカバーポップスの名曲を、さまざまなアレンジでお届けしました。
 「ラストダンスは私に」「ダイアナ」「可愛いベイビー」「ヴァケーション」といった曲はそれぞれ時代の空気を伝えるヒット曲であると同時に、当時をまったく知らない者にとっても耳なじみのある名曲だと思います。
 ポール・アンカの「ダイアナ」に平尾昌晃盤と山下敬二郎盤があったように、当時は同じ曲を同時期に別の歌手が歌うことも盛んに行われていたのがおもしろいですよね。カバー曲であるがゆえに、だれの持ち歌でもないということなのでしょうか。ひとつの曲を別の歌手で聴き比べることができるのは、まるでクラシックの名曲のようです。
 海外のヒット曲がわずか数か月のタイムラグで日本に入ってきたというのも驚きです。インターネットが発達した現代であればなんの不思議もありませんが、50年代後半から60年代前半という時代を考えれば、これは驚異的な情報の伝達速度だといえるでしょう。
 「レモンのキッス」と「情熱の花」はどちらもクラシック音楽が原曲です。「レモンのキッス」の原曲は、ポンキエッリのオペラ「ジョコンダ」より「時の踊り」。オペラ「ジョコンダ」は人気作とはいえませんが、この「時の踊り」の部分だけはディズニー映画「ファンタジア」で使用されたこともあって、広く親しまれています。この曲、どういうわけか、テレビCMでよく使われる印象があります。ナチュラルで清潔感のある曲調が好まれているのかも? 「情熱の花」はベートーヴェンの「エリーゼのために」が原曲。こちらはピアノ学習者が憧れる超有名曲ですね。

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