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東京藝術大学のお祭りを知る休日

投稿日:2017年10月21日 10:30

学生たちが若くて眩しすぎる! 今週は「東京藝術大学のお祭りを知る休日」。生き生きとした若者たちの表情を見て、微笑ましく感じた方も多かったのではないでしょうか。東京藝大の学園祭である「藝祭」を、卒業生である石丸幹二さんと上野耕平さんが訪ねました。
 若者たちが思いきり弾けるこの甘酸っぱい感じ、まぎれもなく学園祭の雰囲気ではあるのですが、やっぱり一般の大学とはずいぶんカラーが違います。なんといっても学園祭を彩るビジュアルやサウンドの一切合切が、学園祭にしてはありえないくらいのハイクォリティ。立て看板のデザインからして一味も二味も違っていました。オリジナル御輿の造形のおもしろさだとか、模擬店で学生が歌う本格的なオペラ・アリアだとか、ケルト音楽研究部の板についた演奏ぶりだとか、なかなか一般大学では目にできる光景ではないでしょう。しかもケルト音楽研究部で演奏していた学生さんにお話を聞くと、所属が楽理科だったり美術学部の芸術学科だったりと多彩で、「え、そんなこともできちゃうの」と感心させられます。
 今年の「藝祭」は9月8日(金)から10日(日)にかけて、三日間にわたって開催されました。番組中でご紹介したのは8日の様子。期間中、学内のいくつものホールや奏楽堂(コンサートホール)では室内楽やオペラ、オーケストラ、オルガン演奏、邦楽など多数の公演も開催されていました。
 会場は上野。東京文化会館や国立西洋美術館、東京都美術館等の文化施設が集中する上野公園の一帯を抜け出ると、道路をはさんで右側に音楽学部、左側に美術学部のキャンパスが広がります。普段の授業では音楽学部と美術学部の学生にはほぼ接点はないそうですが、両者が共同作業をする貴重な機会が「藝祭」の御輿づくり。上野耕平さんが「藝祭マジック」とおっしゃっていましたが、いろんなロマンスが生まれるというのも頷けますよね。

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太鼓の革命児・林英哲の音楽会

投稿日:2017年10月14日 10:30

和太鼓という伝統楽器を用いながら、これまでにどこにもなかった新しい音楽を生み出しているのが林英哲さん。今週の「太鼓の革命児・林英哲の音楽会」では、その独創性を存分に感じていただけのではないでしょうか。
 最初の「三つ舞」ではドラムセットならぬ和太鼓セットが用いられていましたが、こういった独自の楽器の使い方を創案できるのも林英哲さんならでは。太鼓を正面から背中を見せて叩く「正対構え」も林英哲さんの考案だったとは! これを昔からある伝統奏法だと思っていた方も多いのではないでしょうか。
 クラシック音楽界で林英哲の名が国際的に知られるきっかけとなったのは、小澤征爾指揮ボストン交響楽団の初演による石井眞木作曲の「モノプリズム」。1976年に世界初演され、以後、日本やヨーロッパでも演奏されています。ごく最近の話題としては、昨年、東京で開催された音楽祭「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン」でも林英哲さんの演奏でこの曲が演奏されました。この音楽祭はフランスのナントから日本へ渡ってきたもの。本家ナントでも同曲が演奏され、林英哲さんの和太鼓とオーケストラの共演は大評判を呼びました。ラ・フォル・ジュルネでは一昨年にも松下功作曲の和太鼓協奏曲「飛天遊」がナントと東京の両方で演奏されて、大喝采を浴びています。和太鼓という本来ローカルな楽器が、洋の東西を問わず熱狂を呼び起こしていることに感動を覚えずにはいられません。
 番組中でクラシックの楽器との共演ということで選ばれた曲が、ヴィターリのシャコンヌ。この選曲には少し驚きました。こんなにしっとりとした抒情的な曲で、和太鼓に出番はあるのかなと不思議に思ったのです。しかし、実際の演奏を耳にして納得。和太鼓からあれだけ多彩な音色が生み出されるとは想像もつきませんでした。ヴァイオリンとパイプオルガンと和太鼓の音色がぴたりと溶け合っていましたね。

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クラシック界の新星・華音と百音の音楽会

投稿日:2017年10月07日 10:30

今週の「華音と百音の音楽会」では、ふたりの新星に登場していただきました。「華音と百音」というとまるでユニット名のようですが、ともに「音」の字が名前に組み込まれているのは偶然です。まるで音楽家になるべくしてなったかのようなお名前ですよね。ピアニストの松田華音さん、ヴァイオリニストの服部百音さん、ともにCDデビューも果たし、話題を呼んでいます。
 松田華音さんのキャリアは他にあまり例のないものだと思います。音楽一家のご出身ではないそうですが、6歳にして早くもロシアに渡り、ロシアで英才教育を受けて音楽家への道を歩みました。日本語よりもロシア語のほうが得意というほどですから、ムソルグスキーの組曲「展覧会の絵」はまさに本場仕込みの演奏。ダイナミックな打鍵で、ピアノからパワフルかつブリリアントな音色を引き出してくれました。
 組曲「展覧会の絵」といえば、一般にはラヴェル編曲のオーケストラ版が広く知られていると思います。この曲はラヴェルの華麗な編曲のおかげで人気曲になりました。オーケストレーションにかけては達人と呼ばれるラヴェルだけに、彼の管弦楽版は大変にカラフル。でも、ムソルグスキーがピアノのために書いた原曲は、ぜんぜん違う雰囲気なんですよね。松田華音さんが弾いてくださったように、骨太で土臭い音楽です。
 服部百音さんは曽祖父・服部良一、祖父・服部克久、父・服部隆之という音楽一家の出身。ヴェンゲーロフやレーピンといった世界最高峰のヴァイオリニストを育てた名教師ザハール・ブロンに師事し、国際コンクールでの受賞歴も豊富で、完璧なキャリアを築きつつあります。「カルメン・ファンタジー」で披露してくれた切れ味鋭いテクニックには圧倒されてしまいます。でも、石丸さんと話している姿を見ると、まだあどけなさを残す18歳の女の子。このギャップがなんともいえません。

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新しい民謡の音楽会

投稿日:2017年09月24日 09:30

日本の民謡って、なんだかカッコいいと思いませんか。今回の「新しい民謡の音楽会」では、現代版にアップデイトされた日本の民謡の数々をお楽しみいただきました。
 民謡とは「民衆の日常生活のなかから自然に生まれ、民衆のあいだで長く歌いつがれ、その土地の人々の生活感情を反映した歌謡」のこと(「新編 音楽中辞典」より)。普段、民謡にまったくなじみのない方であっても、日本人ならだれしも聴けば懐かしさを感じる。民謡にはそんな普遍的な力強さがあると思います。
 クラシック音楽の歴史のなかでも民謡は大きな役割を果たしています。とりわけ20世紀前半には、バルトークやコダーイ、ストラヴィンスキーなど、多くの作曲家たちが自作に民謡を取り込んでいます。民謡の再発見が新たな音楽語法の開拓につながったといってもよいでしょう。
 日本でも多くの作曲家たちが民謡を創作力の源としています。たとえば、オーケストラ曲でもっとも有名な例は、外山雄三作曲の「管弦楽のためのラプソディ」。八木節や炭坑節が用いられ、日本の楽団が海外公演をする際に盛んに演奏されています。
 本日の一曲目、三善晃作曲「五つの日本民謡」の「ソーラン節」は、混声合唱のために書かれた作品です。民謡の編曲ではありますが、編曲を超えたオリジナル作品といってもおかしくないでしょう。モダンな作風にもかかわらず、民謡の持つ根源的なパワーは失われていません。
 「日本全国人気民謡メドレー」と「東京音頭」では、合唱と吹奏楽という組合せで、民謡がさまざまなスタイルでアレンジされていました。サンバなど外国のリズムも取り入れたハイブリッド民謡とでもいいましょうか。楽しかったですよね。合唱と吹奏楽が共演するレパートリーとしての可能性も感じさせてくれました。

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第27回 出光音楽賞受賞者ガラコンサート

投稿日:2017年09月17日 09:30

今週は第27回出光音楽賞受賞者ガラコンサートの模様をお届けいたしました。新進音楽家の登竜門として知られる同賞ですが、今年はピアノの反田恭平さん、オーボエの荒木奏美さん、ソプラノの小林沙羅さんの3名が受賞しました。いずれも現在大活躍中の気鋭の若手ばかり。納得の人選ですよね。
 反田さんは目標とする音楽家にラフマニノフを挙げ、ラフマニノフの「パガニーニの主題による狂詩曲」を演奏してくれました。ラフマニノフは作曲と実演の両方で頂点をきわめたという点で、20世紀最大級の音楽家といえるでしょう。ロシアに生まれ、アメリカに渡ってからは当代一流のピアニストとして名声を築きました。あまりにもピアニストとして多忙だったためか、アメリカ時代に作曲された作品はごくわずかしかありませんが、「パガニーニの主題による狂詩曲」はそんな貴重なアメリカ時代の一曲。反田さんも、いずれはピアニストという存在を越えた音楽家に育ってゆくのでしょうか。
 オーボエの荒木奏美さんは現在、東京交響楽団の首席オーボエ奏者を務めています。オーケストラの首席奏者のポジションを射止めるのは大変なこと。しかし、荒木さんはすでに在学中からこのポジションに就いています。一般にオーケストラは木管楽器の各パートにふたりの首席奏者を配し、演奏会ごとにどちらかが一番奏者を務めるものですが、東京交響楽団のもうひとりの首席オーボエ奏者は、第20回出光音楽賞を受賞した荒絵理子さん。同じ首席オーボエ奏者にふたりの出光音楽賞受賞者が名を連ねるという豪華な陣容になっています。近年際立った躍進ぶりを見せる同楽団ですが、これもすぐれた奏者がいてこそだと改めて実感します。
 小林沙羅さんは声の魅力に加えて、演技力の高さも受賞理由に挙げられていました。レハールの「ジュディッタ」より「熱き口づけ」での間奏のダンスはさすが。客席が一段と熱く盛りあがっていましたね。

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教科書を超えた音楽会

投稿日:2017年09月10日 09:30

音楽の教科書に書いてあることはすべて正しいはず。でもそこに書いてあることからさらに一段踏み込んで、生きた音楽を奏でるにはどうしたらよいのか。今週は世界的指揮者山田和樹さんならではの視点による「教科書を超えた音楽会」をお届けしました。
 音楽辞典で「スタッカート」の意味を調べると、「各音を短く切って演奏すること」などと記述されています。楽譜上の表記は符頭の上下に点(・)を付けるのが一般的ですが、楔(▼)マークが付くこともあります。この点と楔を合わせるとビックリマーク(!)になるという山田さんの説明には、思わず声を上げて笑ってしまいました。おもしろい! でも、冗談ではなくて、これが表現の本質を突いている、ということなんですよね。
 山田理論によれば、「スタッカートは音を短くきるのではなく、特別な音にする」。「特別な音」と言われてピンと来なかった方も、実演での比較を見ると、たしかに違いがあると感じていただけたのではないでしょうか。ただ音を短く切るだけだと、無表情な音楽になってしまうという説明には納得。
 続く「半音は全音よりエネルギーを使え」や「イン・テンポは音楽に存在しない」といった山田さんの教えも、一見すると逆説的ですが、実例を伴うとよくわかります。感情表現が生まれてくるのは半音から。イン・テンポが当然と思われるマーチのような曲ですら、細かく見ればテンポは動いている。最初の「スタッカートを特別な音にする」も含めて、これらはすべて音楽に命を吹き込むための方法といってよいでしょう。
 今回は山田和樹さんが指揮する吹奏楽という点でも興味深いものでした。チェザリーニ作曲の交響詩「アルプスの詩」は、まさにリヒャルト・シュトラウスばりの壮麗な音のスペクタクル。アルプスの雄大な光景が目に浮かんでくるかのような演奏でした。

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巨匠VS吹奏楽部の音楽会

投稿日:2017年09月03日 09:30

今週は「巨匠VS吹奏楽部の音楽会」。日本を代表するトップ・ミュージシャンたちと名門吹奏楽部の共演が実現しました。憧れの存在と、まさかの共演。高校生たちの生き生きとした表情が印象に残りました。
 トップ・ミュージシャンたちが渡した課題曲も三者三様でおもしろかったですよね。トロンボーンの中川英二郎さんが出した課題曲はモンティ作曲の「チャールダーシュ」。クラシック音楽の世界では、ヴァイオリニストが鮮やかなテクニックを披露するために、よくアンコールで弾く人気曲です。これを吹奏楽で演奏するというのも興味深いところ。中川さん編曲のジャズ・バージョンで東海大学付属高輪台高等学校吹奏楽部が挑戦しました。快速部分での中川さんのソロは、とてもトロンボーンとは思えない俊敏さと切れ味。中川さんはジャズのアドリブ風の部分がポイントとおっしゃっていましたが、高校生たちも華麗な演奏でビシッと決めてくれました。
 サックスの本多俊之さんは、浜松聖星高等学校吹奏楽部との共演。課題曲は本多さんの楽曲である AMPLITUDE です。これは独奏サクソフォンと吹奏楽のための協奏曲と呼んでいいような、とても聴きごたえのある楽曲でした。変拍子が多用され、リズムがかなり難しそう。それでもソロとぴたりと足並みをそろえて、ともにひとつの音楽を作り出していた浜松聖星高校のみなさんには脱帽です。
 トランペットのエリック・ミヤシロさんの課題曲は「宝島」。共演は「イチカシ」こと、柏市立柏高等学校吹奏楽部です。吹奏楽の世界で「宝島」といえば真島俊夫編曲があまりにも有名ですが、エリックさんは今回のために新たな編曲を作ってくれました。エリックさんの軽やかなハイトーンと、高校生たちのまろやかなサウンドが、新鮮な「宝島」を生み出していました。
 それにしても三校とも演奏のレベルが高いのにびっくり。うまいだけではなく、吹奏楽の楽しさが伝わってくるところがいいですね。

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吹奏楽で聴く山下達郎の音楽会

投稿日:2017年08月27日 09:30

山下達郎と吹奏楽。ずいぶん意外な組合せだと思いませんでしたか。今週は「吹奏楽で聴く山下達郎の音楽会」。名門吹奏楽部3校の高校生たちが、山下達郎さんの名曲を演奏してくれました。山下さんと音楽の出会いが吹奏楽にあったとは驚きです。「ブラバンは今でも心の故郷」と言ってくれるのが、うれしかったですよね。
 今回の吹奏楽アレンジは、最近リリースされたCD「TATSURO YAMASHITA on BRASS ~山下達郎作品集 ブラスアレンジ~」にも収められています。スコアとパート譜もリリースされていますので、これをきっかけに吹奏楽の世界でも山下さんの名曲が広まるかもしれません。「今の若者に山下達郎の名曲はどれくらい知られているのだろうか」と気になっていたのですが、想像以上に高校生たちはよく知っているようです。
 「クリスマス・イブ」を演奏したのは東海大学付属高輪台高等学校吹奏楽部。柔らかくまろやかなサウンドが印象的でした。「クリスマス・イブ」といえば、ある世代以上の方は、「クリスマス・エクスプレス」のテレビCMを思い出さずにはいられないでしょう。この曲を耳にすると、青春期の思い出がよみがえるという方も少なくないのでは。
 「硝子の少年」の演奏は柏市立柏高等学校吹奏楽部。演奏中のパフォーマンスによって、舞台がぐっと明るく華やかになりました。まさかこんなにも凝ったパフォーマンスを披露してくれるとは。
 「パレード」を演奏したのは浜松聖星高等学校吹奏楽部。こちらもパフォーマンスが加わって、音楽が一段と精彩を放っていました。みなさん、楽しそうに演奏しているのがよかったですよね。
 3校合同演奏による「アトムの子」でのはじけっぷりは眩しいかぎり。思わず頬が緩みました。

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4人のスターピアニストを知る休日

投稿日:2017年08月20日 09:30

今週は「4人のスターピアニストを知る休日」。假屋崎省吾さんが4人のピアニストを紹介してくれました。假屋崎さんといえばクラシック音楽通。ご自身もピアノを演奏されますし、都内のピアノ・リサイタルの客席で假屋崎さんの姿をお見かけすることもしばしば。コメントの端々からピアノ愛が伝わってきましたよね。
 ラン・ランが演奏したのはファリャの「火祭の踊り」。この曲は往年の大ピアニスト、アルトゥール・ルービンシュタインの十八番として知られるアンコール・ピースです。現代のピアニストであれば、ラン・ランほどこの曲が似合う人もいないのではないでしょうか。一瞬にして聴く人を虜にしてしまう華やかさはこの人ならでは。
 ユンディ・リが演奏したのは得意のショパンで、スケルツォ第2番。2000年のショパン・コンクールでの15年ぶりに誕生した第1位とあって、やはりユンディといえばショパンという印象があります。そういえばユンディ以降、ショパン・コンクールは毎回第1位が出るようになりました。「1位なし」のコンクールって、終わった後にやるせなさが残るんですよね……。それだけにユンディの1位は意義深いものでした。
 ファジル・サイはトルコ出身のピアニストです。1997年に録音された彼のデビュー・アルバムを覚えている方はいらっしゃるでしょうか。そのモーツァルト・アルバムには「トルコ行進曲」付きのソナタが収められていました。これはよくわかります。本場ヨーロッパの聴衆に若くて才能のあるトルコ人ピアニストをアピールするために、話題作りから「トルコ行進曲」を弾かせよう、という狙いだったのでしょう。後に自らのアレンジによるジャズ版「トルコ行進曲」でさらなる評判を呼ぶことになったわけですから、おもしろいものです。
 辻井伸行さんの「悲愴」第2楽章も聴きごたえがありました。格調高いベートーヴェンだったと思います。

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世界のトップヴァイオリニストの音楽会

投稿日:2017年08月13日 09:30

今回は世界的なヴァイオリニスト3人の演奏をじっくりとお聴きいただきました。ワディム・レーピン、ネマニャ・ラドゥロヴィチ、マキシム・ヴェンゲーロフ、三者三様の個性が感じられたのではないかと思います。
 ワディム・レーピンは幼い頃より神童として騒がれ、現在は40代を迎えて大家への道を歩んでいます。ソ連出身の天才らしく、磨き抜かれた完璧なテクニックと輝かしい美音で名声を築きあげたレーピンですが、近年はその表現に円熟味を増しつつあるようです。ラヴェルの「ツィガーヌ」は得意の曲。技巧と情熱が一体となった見事な演奏を聴かせてくれました。
 ネマニャ・ラドゥロヴィチは若い世代を代表する注目のヴァイオリニスト。風貌にインパクトがあって、舞台上から客席までスターのオーラが伝わってきます。個性的な外見からは意外かもしれませんが、取り組むレパートリーは本格派で、テクニックも鮮やか。活発な曲を演奏したときのノリのよさも魅力なのですが、「わが母の教えたまいし歌」での情感豊かな演奏も大いに聴きごたえがありました。これからの時代を築いてゆく奏者のひとりだと思います。
 マキシム・ヴェンゲーロフもレーピンと同じく最高峰のヴァイオリニストといえるでしょう。演奏家としての出自もレーピンと共通点が多いんですよね。ともにソ連が生んだ天才で、シベリア出身、名教師ザハール・ブロンに師事して、若くしてトップレベルの奏者として活躍してきました。ヴェンゲーロフはレーピンより3つ年下ですから、世代も同じです。どんな難曲も軽々と弾いて、流麗でのびやかな音楽があふれ出てくるのがヴェンゲーロフ。「タイスの瞑想曲」の抒情性と幻想味が存分に伝わってきたのではないでしょうか。
 ロシアのレーピンとヴェンゲーロフ、セルビアのネマニャと、3人とも東欧出身なのは偶然です。でも、この地域は本当にたくさんの名手を輩出していますよね。

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