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ショパン国際ピアノコンクール第2位 反田恭平&ガジェヴの音楽会

投稿日:2022年08月13日 10:30

今週は昨年のショパン国際ピアノコンクールでともに2位を獲得した反田恭平さんとアレクサンダー・ガジェヴさんのおふたりをお招きしました。コンクールのときの緊張した雰囲気とは違って、すっかりリラックスした様子で会話しているふたりの姿を見ると、なんだかほっとしますよね。
 近年はコンクールでの演奏、さらに受賞者の発表までもがインターネットでライブ中継されるようになりました。このコンクールでも多くの日本のファンが受賞者発表の瞬間を固唾をのんで見守っていたと思います。2位にふたり名前が呼ばれたのには意表を突かれましたが、前例のないことではありません。
 ガジェヴさんは「2位がいちばんいい。2位は可能性を秘めている」と言って笑っていましたが、あながちこれは冗談とも言い切れないところがあります。過去の同コンクールを振り返ってみると、2位や3位の受賞者が大ピアニストになることも珍しくありません。古くはアシュケナージや内田光子さんが2位でした。近年では前々回3位のトリフォノフが大家への道を歩んでいます。スポーツの大会とはちがい、少し時が経てば順位はあまり関係なくなってしまいます。
 今回はおふたりともショパンの作品から一曲ずつ演奏してくれましたが、選曲が興味深かったと思います。いずれもキャッチーな有名曲というよりは、ショパンの奥深さを感じさせてくれるような作品でした。ガジェヴさんが弾いたのは前奏曲嬰ハ短調。これは有名な「24の前奏曲」とは別に書かれた前奏曲です。先頃行われた来日リサイタルでもこの曲を一曲目に弾いていたのを思い出します。反田さんが選んだのはノクターン第17番。ガジェヴさんが「静寂に包まれた湖の光景」とたとえていた冒頭部分が、実に繊細で典雅でした。
 最後にガジェヴさんが演奏してくれたのは、ドビュッシーの12の練習曲より第11番「組み合わされたアルペジオのために」。透明感のある爽快なドビュッシーでしたね。

飯尾洋一(音楽ジャーナリスト)

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5つのドアの向こうの音楽会

投稿日:2022年08月06日 10:30

今週はこれまでに放送された「ドアの向こうの音楽会」から、夏にぴったりの5つの絶景と演奏をお楽しみいただきました。
 村治佳織さんが仮想空間で訪れたのはアルハンブラ宮殿。スペインの古都グラナダにある世界遺産です。曲は近代スペイン民族主義楽派を代表するアルベニスによるスペイン組曲第1集から「グラナダ」でした。アルベニスは本人がピアニストであったこともあり、組曲「イベリア」をはじめピアノ曲に多数の傑作を残した作曲家です。スペイン組曲第1集も本来はピアノ曲ですが、ギター編曲版でも広く親しまれています。アルベニスのピアノ曲にはしばしばギター風の表現が登場して、スペインの香りを醸し出します。「グラナダ」はまさにその好例。ギターで演奏しても違和感がありません。
 松永貴志さんはディズニー映画『リトルマーメイド』より「アンダー・ザ・シー」を独自のアレンジで。海のなかでピアノを弾くという型破りな設定でしたが、ピアノのきらびやかな音色が幻想的な海中の光景に不思議とマッチしていました。そういえばピアノと水の表現は相性がいいんですよね。ドビュッシーの「沈める寺院」、ラヴェルの「水の戯れ」、ショパンの「雨だれ」などを連想します。
 クロマチックハーモニカの山下伶さんは夏のセーヌ川へ。映画「ロシュフォールの恋人たち」より「キャラバンの到着」を演奏してくれました。この曲を聴くと、気分はもうすっかりパリ。そろそろ海外旅行に出かけたい。そう感じた方も多いのでは。
 大宮臨太郎さんが向かったのは、ひとけのない森。滝壺の前にひとりヴァイオリンを手にして、超絶技巧で彩られた無伴奏の「紅蓮華」を披露してくれました。カッコよかったですね。
 大の鉄道ファンである上野耕平さんが訪れたのは、岩手県のSL銀河。タケカワユキヒデ作曲の名曲「銀河鉄道999」をまさかのサクソフォンによる効果音付きで。この疾走感はまさしく旅。束の間の旅気分を味わうことができました。

飯尾洋一(音楽ジャーナリスト)

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