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神童たちの音楽会2017

投稿日:2017年10月28日 10:30

今週は音楽の世界で幼くして才能を開花させた「神童」たちをご紹介いたしました。ヴァイオリンの大久保瑠名さんとチェロの北村陽さん、おふたりともすばらしかったですよね。緊張を感じさせない堂々たる舞台姿や、オーケストラと共演することを楽しんでいる様子が頼もしいかぎり。北村さんの「オーケストラの海で泳いでいる気分」は名言です。
 大久保瑠名さんが演奏したのはサラサーテの「カルメン幻想曲」。ビゼー作曲の傑作オペラ「カルメン」から聴きどころのメロディをつなぎ合わせ、独奏ヴァイオリンの華麗な技巧が披露されます。10月7日の放送で服部百音さんが弾いた「カルメン・ファンタジー」(カルメン幻想曲)も同様の趣向を持った作品ですが、あちらはワックスマンの作。「カルメン」にはこのような編曲作品がいくつもあります。原作曲者のビゼーはオペラ「カルメン」の成功を目にすることなく早世したのですが、後世に自分のメロディがこれだけ編曲されることになるとは思っていなかったでしょう。ましてやオペラの上演から約140年後に日本の少女が自作の編曲を弾いていることなど想像もできなかったはず。
 北村陽さんが弾いたチャイコフスキーの「ロココの主題による変奏曲」は、チェリストにとって必須のレパートリーといっていいでしょう。若い北村さんですが、すでにこの曲はすっかり体に沁み込んでいるように見えます。北村さんは西宮市の出身。兵庫県立芸術文化センターが設立するスーパーキッズ・オーケストラに最年少の小学2年生で入団し、佐渡裕芸術監督のもと数々の演奏会に出演しました。この10月にはソリストとしてこのチャイコフスキーの名曲を岩村力指揮兵庫県立芸術文化センター管弦楽団と共演しています。すでにこの年齢にしてソリストとしてプロの舞台に立っているのですから並大抵ではありません。聴く人を幸せな気分にしてくれる北村さんのキャラクターも魅力的です。将来どんなチェリストに育つのか、楽しみですよね。

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東京藝術大学のお祭りを知る休日

投稿日:2017年10月21日 10:30

学生たちが若くて眩しすぎる! 今週は「東京藝術大学のお祭りを知る休日」。生き生きとした若者たちの表情を見て、微笑ましく感じた方も多かったのではないでしょうか。東京藝大の学園祭である「藝祭」を、卒業生である石丸幹二さんと上野耕平さんが訪ねました。
 若者たちが思いきり弾けるこの甘酸っぱい感じ、まぎれもなく学園祭の雰囲気ではあるのですが、やっぱり一般の大学とはずいぶんカラーが違います。なんといっても学園祭を彩るビジュアルやサウンドの一切合切が、学園祭にしてはありえないくらいのハイクォリティ。立て看板のデザインからして一味も二味も違っていました。オリジナル御輿の造形のおもしろさだとか、模擬店で学生が歌う本格的なオペラ・アリアだとか、ケルト音楽研究部の板についた演奏ぶりだとか、なかなか一般大学では目にできる光景ではないでしょう。しかもケルト音楽研究部で演奏していた学生さんにお話を聞くと、所属が楽理科だったり美術学部の芸術学科だったりと多彩で、「え、そんなこともできちゃうの」と感心させられます。
 今年の「藝祭」は9月8日(金)から10日(日)にかけて、三日間にわたって開催されました。番組中でご紹介したのは8日の様子。期間中、学内のいくつものホールや奏楽堂(コンサートホール)では室内楽やオペラ、オーケストラ、オルガン演奏、邦楽など多数の公演も開催されていました。
 会場は上野。東京文化会館や国立西洋美術館、東京都美術館等の文化施設が集中する上野公園の一帯を抜け出ると、道路をはさんで右側に音楽学部、左側に美術学部のキャンパスが広がります。普段の授業では音楽学部と美術学部の学生にはほぼ接点はないそうですが、両者が共同作業をする貴重な機会が「藝祭」の御輿づくり。上野耕平さんが「藝祭マジック」とおっしゃっていましたが、いろんなロマンスが生まれるというのも頷けますよね。

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太鼓の革命児・林英哲の音楽会

投稿日:2017年10月14日 10:30

和太鼓という伝統楽器を用いながら、これまでにどこにもなかった新しい音楽を生み出しているのが林英哲さん。今週の「太鼓の革命児・林英哲の音楽会」では、その独創性を存分に感じていただけのではないでしょうか。
 最初の「三つ舞」ではドラムセットならぬ和太鼓セットが用いられていましたが、こういった独自の楽器の使い方を創案できるのも林英哲さんならでは。太鼓を正面から背中を見せて叩く「正対構え」も林英哲さんの考案だったとは! これを昔からある伝統奏法だと思っていた方も多いのではないでしょうか。
 クラシック音楽界で林英哲の名が国際的に知られるきっかけとなったのは、小澤征爾指揮ボストン交響楽団の初演による石井眞木作曲の「モノプリズム」。1976年に世界初演され、以後、日本やヨーロッパでも演奏されています。ごく最近の話題としては、昨年、東京で開催された音楽祭「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン」でも林英哲さんの演奏でこの曲が演奏されました。この音楽祭はフランスのナントから日本へ渡ってきたもの。本家ナントでも同曲が演奏され、林英哲さんの和太鼓とオーケストラの共演は大評判を呼びました。ラ・フォル・ジュルネでは一昨年にも松下功作曲の和太鼓協奏曲「飛天遊」がナントと東京の両方で演奏されて、大喝采を浴びています。和太鼓という本来ローカルな楽器が、洋の東西を問わず熱狂を呼び起こしていることに感動を覚えずにはいられません。
 番組中でクラシックの楽器との共演ということで選ばれた曲が、ヴィターリのシャコンヌ。この選曲には少し驚きました。こんなにしっとりとした抒情的な曲で、和太鼓に出番はあるのかなと不思議に思ったのです。しかし、実際の演奏を耳にして納得。和太鼓からあれだけ多彩な音色が生み出されるとは想像もつきませんでした。ヴァイオリンとパイプオルガンと和太鼓の音色がぴたりと溶け合っていましたね。

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クラシック界の新星・華音と百音の音楽会

投稿日:2017年10月07日 10:30

今週の「華音と百音の音楽会」では、ふたりの新星に登場していただきました。「華音と百音」というとまるでユニット名のようですが、ともに「音」の字が名前に組み込まれているのは偶然です。まるで音楽家になるべくしてなったかのようなお名前ですよね。ピアニストの松田華音さん、ヴァイオリニストの服部百音さん、ともにCDデビューも果たし、話題を呼んでいます。
 松田華音さんのキャリアは他にあまり例のないものだと思います。音楽一家のご出身ではないそうですが、6歳にして早くもロシアに渡り、ロシアで英才教育を受けて音楽家への道を歩みました。日本語よりもロシア語のほうが得意というほどですから、ムソルグスキーの組曲「展覧会の絵」はまさに本場仕込みの演奏。ダイナミックな打鍵で、ピアノからパワフルかつブリリアントな音色を引き出してくれました。
 組曲「展覧会の絵」といえば、一般にはラヴェル編曲のオーケストラ版が広く知られていると思います。この曲はラヴェルの華麗な編曲のおかげで人気曲になりました。オーケストレーションにかけては達人と呼ばれるラヴェルだけに、彼の管弦楽版は大変にカラフル。でも、ムソルグスキーがピアノのために書いた原曲は、ぜんぜん違う雰囲気なんですよね。松田華音さんが弾いてくださったように、骨太で土臭い音楽です。
 服部百音さんは曽祖父・服部良一、祖父・服部克久、父・服部隆之という音楽一家の出身。ヴェンゲーロフやレーピンといった世界最高峰のヴァイオリニストを育てた名教師ザハール・ブロンに師事し、国際コンクールでの受賞歴も豊富で、完璧なキャリアを築きつつあります。「カルメン・ファンタジー」で披露してくれた切れ味鋭いテクニックには圧倒されてしまいます。でも、石丸さんと話している姿を見ると、まだあどけなさを残す18歳の女の子。このギャップがなんともいえません。

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