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ワールドカップの音楽会

投稿日:2018年03月31日 10:30

今年は4年に1度のワールドカップ・イヤー。ロシアを舞台に6月中旬から約一か月にわたるサッカーの熱戦がくりひろげられます。本日はそんなワールドカップを彩る名曲と国歌をお届けいたしました。
 サッカーと縁の深いクラシックの名曲はいくつもありますが、その代表格といえるのがイギリスの作曲家エルガーの「威風堂々」。もともとはオーケストラのための行進曲ですが、中間部は歌詞を付けて「希望と栄光の国」の題で愛唱されています。このメロディはイギリスはもちろんのこと、Jリーグを含む各地のスタジアムでサポーターたちのチャント(応援歌)として歌われています。プレミアリーグの中継などで耳にしたことがある方もいらっしゃることでしょう。スタジアムではかなり早いテンポで手拍子を打ちながら歌われることが多いと思います。
 ワールドカップではふだんなじみのない国の国歌もたくさん耳にすることになります。海外サッカー・ファンであればブラジル国歌やイタリア国歌に他国の国歌とは思えないほどの親しみを覚える方も少なくないはず(イタリアは出場権を逃してしまいましたが……)。
 しかし有名さにかけては、イギリスの「ゴッド・セイヴ・ザ・クイーン」とフランスの「ラ・マルセイエーズ」にかなう国歌はないでしょう。この両曲はほかの曲から引用されたりカバーされたりすることも少なくありません。クラシックの作曲家では、「ゴッド・セイヴ・ザ・クイーン」をベートーヴェンが変奏曲に仕立てていますし、ドビュッシーは「ピクウィック殿をたたえて」で引用しています。また「ラ・マルセイエーズ」は、チャイコフスキーの大序曲「1812年」やドビュッシーの「花火」に登場します。
 作曲者の名声という点では「ドイツの歌」が最強です。なにしろあのハイドンが作ったのですから!
 さて、今回の大会の決勝で歌われるのはどこの国の国歌でしょうか。ドイツ、フランス、イングランドといった国は有力候補かもしれませんね。

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レナード・バーンスタインの音楽会

投稿日:2018年03月24日 10:30

今年生誕100年を迎えるレナード・バーンスタインは、作曲家としても指揮者としても活躍した音楽界の巨人でした。
 多くのクラシック音楽ファンにとって、生前のバーンスタインは第一にスター指揮者だったと思います。カラヤンと双璧をなす巨匠として音楽界に君臨しました。ニューヨーク・フィルでの活躍の後、ウィーン・フィルとも緊密な関係を築き、カラヤンが率いるベルリン・フィルとはライバルのように見なされていました。かつてバーンスタインは一度だけベルリン・フィルの指揮台に招かれたことがあります。マーラーの交響曲第9番を指揮して語り草となる壮絶な名演を披露したところ、その後、なぜか二度とこのオーケストラから招かれることはなく、その理由についてさまざまな憶測が語られました。この逸話は昨年ベルリン・フィルが来日した際の記者会見でも話題に出たほどで、バーンスタインの存在感がいまだに大きいことをうかがわせます。
 1990年にバーンスタインが亡くなった後は、次第に作曲家としてのバーンスタインに光が当てられるようになってきたように思います。もちろん、「ウエスト・サイド・ストーリー」や「キャンディード」といったミュージカル作品は以前より人気が高かったのですが、交響曲第1番「エレミア」、交響曲第2番「不安の時代」、オーケストラのためのディヴェルティメント等、シリアスな作品も次第に演奏頻度が高まってきました。とりわけ、生誕100年の今年は、彼の作品を聴く機会が多くなっています。
 ただ、それでも上演の機会が限られているのが「ミサ」。昨年、井上道義さん指揮の大阪フィルが大阪のフェスティバルホールで上演したのが、日本国内では23年ぶりの演奏となりました(前回の指揮者も井上道義さんです)。バーンスタイン本人にとって特別な思い入れのある作品であるにもかかわらず、特殊な大編成を要するため、上演は非常に稀なこと。本日はそのごくごく一部をお送りしました。全曲では正味100分を超える大作。次の上演の機会が早く訪れることを願わずにはいられません。

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カバーポップスの音楽会

投稿日:2018年03月17日 10:30

海外のヒット曲に独自の日本語歌詞を付けて、日本の歌手が歌ったカバーポップス。今週は1950年代後半から60年代前半にかけて大ブームを起こしたカバーポップスの名曲を、さまざまなアレンジでお届けしました。
 「ラストダンスは私に」「ダイアナ」「可愛いベイビー」「ヴァケーション」といった曲はそれぞれ時代の空気を伝えるヒット曲であると同時に、当時をまったく知らない者にとっても耳なじみのある名曲だと思います。
 ポール・アンカの「ダイアナ」に平尾昌晃盤と山下敬二郎盤があったように、当時は同じ曲を同時期に別の歌手が歌うことも盛んに行われていたのがおもしろいですよね。カバー曲であるがゆえに、だれの持ち歌でもないということなのでしょうか。ひとつの曲を別の歌手で聴き比べることができるのは、まるでクラシックの名曲のようです。
 海外のヒット曲がわずか数か月のタイムラグで日本に入ってきたというのも驚きです。インターネットが発達した現代であればなんの不思議もありませんが、50年代後半から60年代前半という時代を考えれば、これは驚異的な情報の伝達速度だといえるでしょう。
 「レモンのキッス」と「情熱の花」はどちらもクラシック音楽が原曲です。「レモンのキッス」の原曲は、ポンキエッリのオペラ「ジョコンダ」より「時の踊り」。オペラ「ジョコンダ」は人気作とはいえませんが、この「時の踊り」の部分だけはディズニー映画「ファンタジア」で使用されたこともあって、広く親しまれています。この曲、どういうわけか、テレビCMでよく使われる印象があります。ナチュラルで清潔感のある曲調が好まれているのかも? 「情熱の花」はベートーヴェンの「エリーゼのために」が原曲。こちらはピアノ学習者が憧れる超有名曲ですね。

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題名のない音楽会を知る休日

投稿日:2018年03月10日 10:30

今週は青島広志さん、田中祐子さん、上野耕平さんをお招きして、番組アーカイブから発掘したVTRをご覧いただきました。
 最初のVTRは指揮台の高さについて。山本直純さんの指揮姿を懐かしく感じられた方も多いのではないでしょうか。山本直純さんが破格の音楽的才能に恵まれつつも、若き日に同門の小澤征爾さんに対して「オレは音楽のピラミッドの底辺を広げる仕事をするからお前はヨーロッパへ行って頂点を目指せ」と語った話はよく知られています(「山本直純と小澤征爾」柴田克彦著/朝日新書)。見上げるほどの高さまでせりあがった指揮台からダイナミックな動きでオーケストラを指揮する様子に面目躍如といった感がありました。
 2つめのVTRは長調(メジャー)と短調(マイナー)を入れ替える試み。結婚行進曲としておなじみの「ローエングリン」の「婚礼の合唱」が、短調バージョンで歌われていました。陰々滅々として、これではまるで葬送行進曲のよう。もっとも、オペラ「ローエングリン」では、この結婚は不幸な結末に至りますので、ストーリーを先取りしているともいえるのかも!?
 最後のVTRは、美空ひばりさんが歌った、オペラ「トスカ」より「歌に生き愛に生き」でした。オペラ的な歌唱法にとらわれず、こぶしを効果的に効かせた美空ひばりさん独自の歌に昇華されていました。声の音色の多彩さも印象的。
 オペラ「トスカ」はプッチーニが作曲した人気作です。政情不安に揺れるローマを舞台に、歌姫トスカとその恋人の過酷な運命が描かれています。敬虔なキリスト教徒であるトスカは、試練に直面して、「芸術と神への愛に生きる私に神はなぜこのような苦難を与えるのでしょう」と、このアリアを歌います。もともとの役柄が歌姫ですから、美空ひばりさんが歌うのは納得ですね。

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卒業ソングを深く知る音楽会

投稿日:2018年03月03日 10:30

卒業式には合唱が欠かせません。今週は「卒業ソングを深く知る音楽会」。古くから歌われる名曲から平成の定番曲まで、さまざまな卒業ソングが登場しました。
 番組冒頭で歌われたのは、おなじみの「蛍の光」。編曲は合唱界で大人気の信長貴富さん。この曲ってこんなに美しい曲だったのかという新鮮な感動がありました。考えてみれば、世界的な指揮者とプロフェッショナルな合唱団の組合せでこの曲を聴くチャンスなど、普段はまずありません。
 この曲は日本の歌かと思いきや、実はスコットランド民謡だったんですね。原題は「オールド・ラング・サイン」(久しき昔)。歌詞には旧友と再会し、杯を交わしながら思い出話をする様子が描かれています。聞いていても外国の音楽だという気がまったくしないのは、曲調が日本人にもなじみやすいからなのか、日本語訳詞があまりにもよくできているからなのか……。ちなみにベートーヴェンは「スコットランド民謡集WoO 156」のなかの一曲として、この曲を編曲しています。スコットランドに留まらず、世界中で愛される民謡といっていいでしょう。
 「旅立ちの日に」は今や卒業ソングの大定番となっています。といっても、この曲ができたのは1991年ですので、ある世代以上の方にとってはなじみの薄い曲かもしれません。埼玉県秩父市の中学校の先生が作った曲が全国へと広まりました。有名作曲家ではなく、学校の先生が作った曲がここまで歌われるようになったのですから、音楽の持つ力に驚かずにはいられません。
 森山直太朗「さくら」が大ヒットしたのは2003年のこと。ヒット曲が卒業ソングに定着し、歌い継がれるという現象が今風だなと感じます。季節感といい歌詞といい、情感豊かなメロディといい、卒業ソングにはぴったり。なにより生徒たちにとって、「ぜひ歌いたい!」と思わせてくれる名曲なのではないでしょうか。

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