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本気でプロを目指す!題名プロ塾第2弾~1次審査後編

投稿日:2021年05月01日 10:30

今週は先週に引き続いて、「題名プロ塾」第2弾の1次審査後編をお届けしました。今回のテーマは、直前に渡された譜面をいかに弾きこなせるか。5人の受講生のみなさんが、それぞれ多彩なアレンジが施された有名曲に挑みました。メインのメロディを奏でるのはピアノで、ヴァイオリンの役割はオブリガート(対旋律、裏メロ)。全員が異なる課題を与えられていましたが、葉加瀬さんのアドバイスで、演奏ががらりと変わるのがおもしろかったですよね。
 嶋田雄紀さんが演奏したのはバラード・アレンジによる「イエスタデイ」。けれんのないまっすぐな演奏でしたが、葉加瀬さんのアドバイスを受けた後は、ぐっと彫りの深い表情の音楽になりました。
 雑賀菜月さんはジャズワルツ・アレンジによる「星に願いを」。葉加瀬さんはクラシック音楽にはないリズム感を求めます。なるほど、スイングというのはこういうことなんだなと腑に落ちたのではないでしょうか。
 加藤光貴さんは16ビートシャッフル・アレンジの「アメイジング・グレイス」。最初からとても精彩に富んだ演奏で、葉加瀬さんからは「使えるねえ」の一言。見事でした。
 小柴千明さんの16ビート・アレンジ「ロッキーのテーマ」では、葉加瀬さんの「ミシミ ミシミは喜ばないと」というアドバイスが印象的でした。メンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲にも似た場所がありますが、これがカッコいいんですよね。クライマックスとは別に用意されたもうひとつの見せ場とでも言いましょうか。
 堀内優里さんのブルーグラス・アレンジ「カノン」では、葉加瀬さんいわく「アイリッシュは、アップビートをダウンで弾く」。リズム楽器がなくても踊れる音楽でなくてはならないといいます。
 葉加瀬さんのレクチャーを聞いていると、単にヴァイオリンの奏法に留まらない、音楽の仕組みや成り立ちに触れることができて、本当に刺激的です。音楽の奥深さを痛感せずにはいられません。

飯尾洋一(音楽ジャーナリスト)

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本気でプロを目指す!題名プロ塾第2弾~1次審査前編

投稿日:2021年04月24日 10:30

今週は本気でプロを目指す人のための「題名プロ塾」第2弾。前回、オーディションで合格した林周雅さんは、葉加瀬太郎さんのコンサートで無事デビューを果たし、その後も活躍の場を広げています。今回は新たに5人の受講生が集まりました。
 1次審査前編では5人の受講生が課題曲「情熱大陸」に挑戦。葉加瀬さんのアドバイスを受ける前と後では、見違えるほど演奏が変わるのがおもしろかったですよね。ああ、音楽を教えるって、こういうことなんだな、と実感できたのではないでしょうか。5人ともしっかりした技術を持っていて、最初から個性を反映した演奏を披露してくれているのですが、それでも葉加瀬さんのわずかなアドバイスで、音楽がぐっと生き生きしたものに変化します。
 葉加瀬さんが教えるのは「食べていけるためのヴァイオリンの弾き方」というだけあって、どれも実践的で具体的。そして、やはりポップスとクラシックのアプローチの違いが随所にあらわれていたように思います。
 たとえば、加藤光貴さんには「オンビートに意識が行き過ぎている」。クラシックでは4拍子の1拍目と3拍目に意識が向きがちですが、葉加瀬さんは「2拍目と4拍目を感じるように」と教えます。これで演奏ががらりと変わりました。教えてもらったことを、すぐに実践できる応用力もすばらしいですよね。
 嶋田雄紀さんには、Aメロの終わりでわずかに遅れるという指摘がありました。クラシックではフレーズの終わりにわずかな「タメ」を入れることで自然な呼吸が生まれることもありますが、ポップスではビートに乗るのが基本。葉加瀬さんのアドバイスを受けて、とてもグルーヴ感のある演奏になりました。
 5人の受講生のバックボーンはまちまち。音大生、医大生、社会人と意外なほど多彩です。今回はいったいだれがオーディションを勝ち抜くのでしょうか。

飯尾洋一(音楽ジャーナリスト)

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ジャズ界のレジェンドピアニスト・小曽根真 クラシック界の若き天才ピアニスト・藤田真央 夢の初共演の音楽会

投稿日:2021年04月17日 10:30

今週は小曽根真さんと藤田真央さんの夢の共演が実現しました。小曽根さんはジャズ界のレジェンド。藤田さんはチャイコフスキー国際コンクール第2位、クララ・ハスキル国際ピアノ・コンクール優勝の俊英。ジャンルは違えども、ともに国際的に活躍するピアニストです。
 藤田さんが7歳のとき、クラシックの音楽祭「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン」で初めて小曽根さんを聴いたというお話にはびっくり。近年の小曽根さんはクラシックの分野でも大活躍しています。小曽根さんがクラシックのオーケストラと共演した公演をこれまでに何度も聴いていますが、客席は常にわきあがります。クラシック音楽ファンにとっても小曽根さんは特別な何かを持ったピアニストなんですね。以前、アメリカからデトロイト交響楽団が来日した際、ソリストとして小曽根さんが共演したことがありました。オーケストラの音楽監督で世界的指揮者のレナード・スラットキンは「以前から小曽根のファンで、ニューヨークのブルーノートで何度も聴いている」と語っていて、小曽根さんの人気ぶりを痛感しました。
 小曽根さんのモーツァルトには、常に即興の要素があります。クラシックでは楽譜に忠実に弾くのが基本。しかし、モーツァルト本人は即興の名手だったはず。当時の演奏習慣として即興はごく一般的なものでした。名人の即興が楽譜に記録されて後世に残った、という作品も少なからずあることでしょう。そう考えると、小曽根さんがモーツァルトに即興を盛り込むのは不思議なことではありません。
 モーツァルトの「2台のピアノのためのソナタ」では、小曽根さんと藤田真央さんの遊び心が爆発していました。最後にはふたりの完全な即興によるカデンツァ風の見せ場も登場して、まさに自由自在。即興部分から本来のモーツァルトに戻った瞬間のおふたりの表情が最高にすばらしかったですよね。

飯尾洋一(音楽ジャーナリスト)

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今、注目のニュータイプの音楽家を知る休日

投稿日:2021年04月10日 10:30

今週は今、注目を集めるニュータイプの音楽家、廣津留すみれさん、角野隼斗さんの魅力に迫りました。音楽界には常に新しい才能が登場していますが、おふたりは単に「すぐれた若手」というだけに留まらない稀有な存在です。多くの若手演奏家は、有名な音楽大学に入り、国際コンクールで入賞して、やがて檜舞台で成功を収める……といった段階を経て名を知られてゆくものですが、廣津留さんも角野隼斗さんも従来とは違った形でキャリアを築いています。
 廣津留さんはハーバード大学とジュリアード音楽院の両方を首席で卒業。それだけでも聞いたことのない話ですが、そこから音楽家として活動すると同時に、起業したり、本を書いたり、講演会を開いたり、テレビのコメンテーターを務めたりと、多岐に渡る活動をくりひろげています。いったいどんな時間の使い方をすれば、そんなことができるのかと思ってしまいますよね。バッハ・コレギウム・ジャパンでヴァイオリン奏者として演奏している姿が映っていましたが、まさかそんなところでも弾いていらっしゃったとは! バッハ・コレギウム・ジャパンは古楽の分野で国際的に高く評価されるトップレベルのアンサンブルです。
 角野隼斗さんのことを、本名よりも先にYouTuber かてぃん(Cateen)の名で知った方も多いのではないでしょうか。インターネットの世界ではずいぶん前より人気を集めていましたが、今やチャンネル登録者数は70万人以上。クラシックの演奏家でこの人数は驚異的です。東京大学大学院の情報理工学系研究科卒業という経歴ですから、いろいろな人生の選択肢があったと思いますが、こうして音楽家として羽ばたいている姿を見ると、うれしくなってしまいます。
 ふたりとも共通してクラシック音楽の魅力を広く伝えたいとおっしゃっているのが心強いですね。これから先、きっと予想もつかない活躍を見せてくれることでしょう。

飯尾洋一(音楽ジャーナリスト)

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一流の音楽家が夢のマッチング ドリーム・デュオ第5弾

投稿日:2021年04月03日 10:30

今週は好評のドリーム・デュオ企画、第5弾。日本を代表するトップレベルの奏者たちが、斬新な組み合わせによるデュオを披露してくれました。
 近年、協奏曲やリサイタルで大活躍中の気鋭のヴァイオリニスト、辻彩奈さんが共演を熱望したのは、「色っぽいギターを弾く」という大萩康司さん。クラシック音楽ではもっぱら主役を務めるヴァイオリンと、さまざまな民族音楽をはじめあらゆるジャンルで用いられるギターでは、あまり共演機会はありません。ところが、この両者の珍しいデュオのためにパガニーニが曲を残しています。パガニーニといえば「悪魔に魂を売った」と噂されたほどの超絶技巧で知られるヴァイオリニスト。その作品の大半は技巧的なヴァイオリン曲ですが、実は彼はギターも嗜み、ときにはギターの奏法をヴァイオリンに応用することもありました。一世によればギター奏者の愛人がいたため、ギター曲を書いたといいますが、なるほど、この「カンタービレ」は甘美でやさしさにあふれています。
 ピアソラの代表作「リベルタンゴ」を演奏してくれたのは、ホルンの福川伸陽さんとバンドネオンの三浦一馬さん。ホルン自体、デュオを聴く機会のまれな楽器ですが、バンドネオンとのデュオは前代未聞かもしれません。福川さんのホルンのまろやかな音色と、三浦さんのバンドネオンの明るくシャープな音色が組み合わさって、絶妙な味わいが生み出されていました。タンゴの革命児と呼ばれたピアソラは、今年生誕100年を迎えます。ピアソラの音楽はタンゴの世界にとどまることなく、あらゆる楽器で演奏されていますが、また新たな可能性が開かれたように思います。
 最後は伊賀拓郎さんのピアノと伊波淑さんのラテンパーカッションによる、幼なじみデュオ。まさか「さくらさくら」が、こんなに楽しい音楽になるとは。歯切れよくスピード感にあふれた「さくらさくら」は新鮮でした。

飯尾洋一(音楽ジャーナリスト)

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小菅優が3大作曲家のピアノ・ソナタを弾く音楽会

投稿日:2021年03月27日 10:30

今週はドイツを拠点に活躍する国際的なピアニスト、小菅優さんをお招きして、モーツァルト、ベートーヴェン、ショパンのピアノ・ソナタをお楽しみいただきました。3曲のピアノ・ソナタは、小菅さんが「このソナタなくして今の自分はない」とおっしゃる思い入れのある作品ばかり。これら3曲のイメージを小菅さん独自の言葉で表現してもらえたのもおもしろかったですよね。
 モーツァルトのピアノ・ソナタ ハ長調K.330の第1楽章は、小菅さんいわく「失われた幸せ」。なるほど、そういう表現ができるのかと、思わず膝を叩きました。この曲の喜びと悲しみが入り混じった陰影の豊かさはモーツァルトならでは。一見明るくはつらつとした曲調であっても、モーツァルトの音楽には複雑な表情があります。そこに儚さを見抜くのが小菅さん。ニュアンスに富んだすばらしいモーツァルトでした。
 ベートーヴェンは近年小菅さんが力を入れる大切なレパートリー。ピアノ・ソナタ第17番ニ短調には「テンペスト」(嵐)という愛称が付いています。これはベートーヴェン本人による題ではありません。ベートーヴェンの秘書シントラーが作品理解について尋ねたところ、ベートーヴェンは「シェイクスピアの『テンペスト』を読みなさい」と答えた、という逸話に基づいています。ところがシントラーという人はたくさん自分に都合のよいウソをついた人物でしたので、現代ではこの逸話は眉唾ものとみなされています。小菅さんが「テンペスト」第3楽章に感じるイメージは「遁走」。たしかにこの曲にはなにかに追い立てられているような切迫感があります。
 最後はショパンのピアノ・ソナタ第3番の第4楽章。小菅さんはこの音楽に「葛藤の後の救済」を感じるといいます。このように言葉にしてもらえると、曲がいっそう親しみやすく感じられます。パッションにあふれた演奏が雄弁な音のドラマを伝えてくれました。

飯尾洋一(音楽ジャーナリスト)

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ジャンルを超えて!和太鼓と夢の共演~ドリーム・デュオ

投稿日:2021年03月20日 10:30

若い演奏家たちから共演のオファーが次々と舞い込んでいるという林英哲さん。今週は林英哲さんがふたりの若手奏者と共演する異色のデュオをお届けいたしました。
 和太鼓が西洋楽器とデュオを組むことはきわめてまれなこと。どんなレパートリーがあるのか、記憶をたどっても思い当たる曲がありません。今回、林英哲さんと共演したチェロの新倉瞳さんと、サクソフォンの上野耕平さんは、それぞれ新曲を作曲家に委嘱してデュオを実現しました。
 新倉さんが演奏したのは和田薫さん作曲の「巫(かんなぎ)」より。先頃、すぐれた若手チェリストを表彰する齋藤秀雄メモリアル基金賞を受賞した新倉さんですが、デビューが早かったこともあり、今年デビュー15周年を迎えます。チャレンジ精神の旺盛な新倉さんは、この15周年を機に委嘱作品を集めて世界初演を行うコンサートを開きました。「巫」はその際に初演された一曲。巫とは神霊と交わる巫師、シャーマンのこと。祈祷を思わせるチェロの旋律に、英哲さんの神楽鈴と素手で叩く太鼓のリズムが加わると、名状しがたい厳粛な雰囲気が立ち込めます。活発な部分でのチェロと太鼓の応酬も聴きごたえがありました。新倉さんが神楽鈴を鳴らす場面にはびっくりしましたね。
 上野さんは、ロンドンを拠点とする作曲家、藤倉大さんにサクソフォンと太鼓のための「ブエノ・ウエノ」を委嘱しました。藤倉さんはヨーロッパの第一線で大活躍中の作曲家。ザルツブルク音楽祭やルツェルン音楽祭、BBCプロムスなどからも作品を依頼され、昨年は東京の新国立劇場で新作オペラ「アルマゲドンの夢」が世界初演されました。そんな藤倉さんの「ブエノ・ウエノ」は、日本的なようでもあり無国籍風でもあり、古代の儀式を連想させつつも現代の都会的な感覚も息づいているという、複雑な味わいを持った作品でした。

飯尾洋一(音楽ジャーナリスト)

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打楽器奏者の秘密を知る休日

投稿日:2021年03月13日 10:30

今週は和太鼓、ロックドラム、ラテンパーカッションという、ジャンルの異なる打楽器奏者のみなさんにお集まりいただきました。林英哲さん、真矢さん、伊波淑さん、それぞれまったく異なる種類の打楽器なので、はたして共演が可能なのだろうかと思いきや、最初の「一番太鼓」から、ひとつに溶け合った音色が聞こえてきました。
 三人のお話を聞いていると、打楽器奏者は音楽家のなかでももっともアスリート的な存在だと感じます。林英哲さんが言うように「演奏自体が筋トレ」。腕の筋肉がすごい! 太鼓の叩き方を真矢さんに教える場面がありましたが、ダイナミックな構え方からして、スポーツ選手のフォームのようです。アイシングの話など、肉体的なケアに気づかうところもやはりアスリート的です。
 おもしろかったのは伊波さんによるコンガの叩き方についての解説。本場のキューバ人奏者たちが腕を叩きつけるように振り下ろすのに対し、日本人は手首のスナップを使った叩き方が合っていると言います。よく海外のクラブに移籍した日本人サッカー選手が、フィジカルの強さで競うよりも、日本人のアジリティを生かしたプレイで勝負するといった話がありますが、それに一脈通じるところがあると思いました。
 最後に3人で演奏したのは、「運命」~打楽器スペシャルセッション。あのベートーヴェンの交響曲第5番「運命」を打楽器だけで演奏してしまおうというチャレンジでした。「運命」で全曲にわたってくりかえし登場するのが、「運命の動機」として知られる「タタタターン」のリズム。打楽器だけで演奏しているにもかかわらず、なんと、ちゃんとメロディが聞こえてきます! 各々の打楽器がソロを披露する様子は、まるで協奏曲のカデンツァのよう。このパッションはまさにベートーヴェン。打楽器の表現力の豊かさを痛感しました。

飯尾洋一(音楽ジャーナリスト)

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2700回放送記念! 3週連続SP・第3週

投稿日:2021年03月06日 10:30

今週は番組2700回放送を記念する3週連続スペシャルの第3弾。今回は「新たな音楽の発掘を楽しむ企画」をテーマにお届けしました。
 葉加瀬太郎さんによる「題名プロ塾」で一躍脚光を浴びたのがヴァイオリニストの林周雅さんです。番組を見た反田さんからコンサートツアーのメンバーに招かれたり、原田慶太楼さんから東京交響楽団の演奏会に呼ばれるなど、引く手あまたの人気ぶりです。葉加瀬さんに見出されてポップスのほうに行ってしまうのかと思えば、クラシックでも着実に活動の場を広げる林さん。ポップスでもクラシックでも第一線で活躍できるヴァイオリニストへと大きく育ってくれることでしょう。
 「マイ・ハート・ウィル・ゴー・オン~タイタニック・愛のテーマ~」では、Toshlさん、石丸幹二さんのヴォーカルに、林さんのヴァイオリン、山中惇史さんのピアノ、宮田大さんのチェロが加わるという夢の共演が実現しました。Toshlさんの輝かしい声と石丸さんの温かみのある声がひとつに溶け合うと、絶妙な音色が生まれてきます。映画「タイタニック」主題歌としてセリーヌ・ディオンが歌って大ヒットを記録した曲ですが、映画の公開は1997年ですので、もう24年も前になるんですね。古びることのない名曲だと思います。
 7人制吹奏楽「ブリーズバンド」は番組発の新しいスタイルの吹奏楽。7人だからこそ、全員が主役になれるのが特徴です。大人数で演奏するばかりが吹奏楽ではありません。今から約100年前、第一次世界大戦とスペイン風邪の影響でヨーロッパの音楽界が苦境に立たされた際、作曲家ストラヴィンスキーは7人編成の小アンサンブルと朗読、ダンサーで上演可能な「兵士の物語」を作曲しました。これは感染対策というよりは経済的に可能な小編成を意図したものですが、たまたま7人という人数はブリーズバンドと同じ。「兵士の物語」が時代を超える名曲になったように、ブリーズバンドもパンデミックを超えて発展する可能性を持っているのではないでしょうか。

飯尾洋一(音楽ジャーナリスト)

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2700回放送記念! 3週連続SP・第2週

投稿日:2021年02月27日 10:30

今週は番組2700回放送を記念する3週連続スペシャルの第2弾。「演奏家や楽器を新たな組み合わせで楽しむ」をテーマに、ふだんは聴けない新鮮なデュオをお届けいたしました。
 最初の曲はToshlさんと村治佳織さんによる「ネッラ・ファンタジア」。「クラシックギター一本で歌うのは初めて」とおっしゃるToshlさんでしたが、のびやかでパワフルな歌唱と情感豊かなギターが無理なくひとつに溶け合っていました。エンニオ・モリコーネが作曲した「ネッラ・ファンタジア」の原曲は、映画「ミッション」で使用された「ガブリエルのオーボエ」。もともとは器楽曲なんですね。これに歌詞を付けてサラ・ブライトマンが「ネッラ・ファンタジア」の題で歌ったことから、曲はさらなる人気を獲得し、以来、多数の歌手によってカバーされています。ひとつの楽曲がさまざまに形を変えながら広まってゆくのは名曲の証でしょう。
 2曲目はソプラノの森麻季さんとチェロの宮田大さんによる「ジュピター」。声とチェロの組み合わせは絶品でした。この曲も「ネッラ・ファンタジア」と同様に、同じ曲が形を変えながら親しまれています。原曲はイギリスの作曲家ホルストが書いたオーケストラ曲、組曲「惑星」の第4曲「木星」。ホルストはこのメロディに歌詞を添えて、祖国を讃える賛歌に編曲しました。その後、この曲はイギリスで賛美歌集にも収録され、原曲を離れていろいろな場面で歌われるようになります。日本では平原綾香さんがカバーしたことで、いっそうの人気を獲得しました。
 反田恭平さんは同世代のピアニスト、務川慧悟さんと共演。務川さんは2019年ロン=ティボー=クレスパン国際コンクール第2位をはじめ、数々の国際コンクールで受賞歴を誇る気鋭です。ラフマニノフの組曲第2番は、あの有名なピアノ協奏曲第2番と同時期の作品。ラフマニノフ得意の鐘の音を思わせる荘厳な響きによる輝かしい行進曲でした。

飯尾洋一(音楽ジャーナリスト)

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