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若い民謡の音楽会

投稿日:2018年06月30日 10:30

いつの間にか子供たちの間ですっかりポピュラーな存在になっているのがソーラン節。ご存知でしたか。小中学校の体育祭や保育園や幼稚園の発表会で、子供たちがそろってソーラン節を踊る姿を見かけるようになりました。
 自分が子供の頃にはソーラン節というのは大人の世界の民謡で、まったくなじみのある曲ではなかったのですが、今やソーラン節は大人気。伊藤多喜雄さんが歌うロック調にアレンジされたソーラン節が、現代風の振付で踊られるようになりました。テレビドラマ「金八先生」をきっかけに全国の体育祭に広まったというのですが、そんな経緯があったんですね。
 番組中で伊藤多喜雄さんがオリジナルのソーラン節を少しだけ歌ってくれた場面がありました。「民謡は変化していくもの」という伊藤さんの言葉には納得。長く歌い継がれる曲って、時代に応じて変化してゆくからずっと古びないんでしょうね。クラシック音楽の世界でもそうですが、民謡をアレンジして時代を超越した新しい名曲が生まれることは決して珍しくはありません。たとえばブラームスの作曲として知られるハンガリー舞曲は、ロマ(ジプシー)の音楽を、編曲した作品です。バルトークやヤナーチェクをはじめ、多くの作曲家が民謡に題材を求めて、次代に残る名曲を書き上げています。
 伊藤多喜雄さんのソーラン節以外の民謡もとても新鮮でした。秋田音頭とラップがあんなに相性のよいものだったとは。なんの無理もなく民謡とラップが共存していました。
 山形県の民謡、最上川舟唄はクラシック調アレンジ。クラシックにもショパンやメンデルスゾーンのように舟歌を書いている作曲家はたくさんいますが、こちらは和風です。リズミカルに前へ進むというよりは、ゆったりとした広大な流れをたゆたうようなイメージがありました。

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一瞬で心をつかむ作曲家チャイコフスキーの音楽会

投稿日:2018年06月23日 10:30

チャイコフスキーの音楽には聴く人を一瞬でぐっと引き込む魅力があります。思わず口ずさみたくなるようなメロディにあふれていて、親しみやすい、でもなんど聴いても飽きない味わい深さがある。それがチャイコフスキーの魅力ではないでしょうか。
 「弦楽セレナード」はかつて人材派遣会社のCMで使用されたことがきっかけで、一躍広く知られることになりました。終生に渡ってモーツァルトのことを敬愛していたチャイコフスキーは、この「弦楽セレナード」でモーツァルトの精神に立ち帰ろうとしたといいます。「セレナード」とは、本来は夜に戸外で恋人のために演奏される曲のことを指していましたが、モーツァルト時代にはすでに本来の意味は薄れ、多楽章からなる小編成の器楽曲を指すようになりました。たとえば、モーツァルトが書いたもっとも有名な曲のひとつ、「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」も弦楽器のためのセレナードです。チャイコフスキーの「弦楽セレナード」は、そんなモーツァルト的なスタイル、つまり曲の枠組みを借りてきて、その中にチャイコフスキー流の抒情的な楽想を注ぎ込んだ名曲です。
 チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲も名曲です。辻彩奈さんのスケールの大きなソロがすばらしかったですよね。コンサートでよく演奏されるヴァイオリン協奏曲といえば、チャイコフスキー、ブラームス、メンデルスゾーン、ベートーヴェンが「四強」でしょう。
 偶然ですが、チャイコフスキーとブラームスのヴァイオリン協奏曲は同じ1878年に書かれています。わずか一年の間に歴史に残るヴァイオリン協奏曲が2曲も誕生しているとは。もっとも、チャイコフスキーはブラームスの作品を評価せず、「並の人間が天才として認められている」と手厳しい言葉を残しています。モーツァルトに対する絶対的な尊敬とは対照的。同時代の作曲家への評価とは難しいものなのでしょう。

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先読みの天才・ヘンデルの音楽会

投稿日:2018年06月16日 10:30

今回は今年生誕333年を迎えたバロック音楽の大作曲家ヘンデルの音楽をお届けいたしました。
 ヘンデルが生まれたのは1685年。実は同じ年にバッハとスカルラッティが生まれています。3人そろって生誕333年ということになるのですが、同じ年にこれだけの才能が集中して誕生したことに驚きます。
 ヘンデルはバッハとは対照的な作風の作曲家です。鈴木優人さんが「バッハは教会の作曲家、ヘンデルは劇場の作曲家」とおっしゃっていたように、ヘンデルは劇場文化が花開いたロンドンで、大きな成功を収めました。1710年にロンドンに渡ると、オペラ「リナルド」で大好評を博し、以来約50年にもわたってオペラやオラトリオを中心とした作曲活動をくりひろげました。
 オラトリオという言葉にはあまりなじみがないかもしれません。オラトリオはオペラとよく似ています。ストーリーに沿って音楽が進み、歌手や合唱とオーケストラが共演します。ただし、オペラのように歌手が演技することはありません。舞台装置もありません。一見、オペラに比べると地味に見えるかもしれませんが、ヘンデルはオペラブームが下火になるとオラトリオを精力的に作曲して、ふたたび人気を獲得しました。オラトリオでは、聖書にもとづく物語など宗教的な題材が選ばれることが多く、また言葉もオペラのようなイタリア語ではなく英語で歌われたことから、ロンドンの中産階級の支持を得たと言われています。娯楽性に「教化」という要素が結び付いたのがよかったんでしょうね。
 ヘンデルはたくさんのオラトリオを書きましたが、いちばん有名なのは「メサイア」でしょう。聴きどころ「ハレルヤ」コーラスがもたらす高揚感は圧倒的。曲を聴いてジョージ1世が立ち上がったというエピソードが有名ですが、王ならずとも思わず立ち上がりたくなるような輝かしさでした。

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三浦文彰と辻井伸行の音楽会

投稿日:2018年06月09日 10:30

今週は三浦文彰さんと辻井伸行さんのおふたりにフランクの名曲、ヴァイオリン・ソナタを演奏していただきました。
 フランクはベルギー生まれのフランスの作曲家です。フランスの作曲家というと、多くの方はドビュッシーやラヴェル、あるいはサティといった作曲家を最初に思い出すかもしれません。繊細で洗練されていて、色彩感が豊かで、機知に富んだ音楽。フランス音楽にはそんなイメージがあるでしょうか。
 しかし、フランクの作風は違います。バッハやベートーヴェンなど、ドイツ音楽を敬愛したフランクの音楽には、力強い構築感や求道的な性格が感じられます。もともとオルガニストの出身で、パリ音楽院でオルガン科教授を務めていたという経歴も作風に反映されているかもしれません。
 今回のヴァイオリン・ソナタは、交響曲ニ短調と並ぶフランクの代表作。この曲ではヴァイオリンとピアノの間での掛け合いが聴きどころです。第1楽章について、辻井さんは「月を見ながら散歩している」、三浦さんは「恋人同士の会話」と表現していたのがおもしろかったですよね。三浦さんは、続く第2楽章で恋人たちはやがてケンカをして、でも終楽章では仲直りをするといったイメージを披露してくれました。こういったストーリーを思い浮かべると、曲に親しみがわきます。
 フランクは大作曲家たちのなかでは、例外的に遅咲きの作曲家です。存命中のフランクは作曲家というよりは、主にオルガニストとして名声を得ていました。ところが晩年の10年間に、ヴァイオリン・ソナタ、交響曲、交響的変奏曲、「前奏曲、コラールとフーガ」などの重要作品を次々と発表します。現在演奏される彼の主要作の多くは、60代になって生まれた作品なのです。ヴァイオリン・ソナタの濃密なロマンや官能性、輝かしい高揚感には、枯れた感じがまったくありません。作品の隅々まで気力がみなぎっています。

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一緒に楽しむディズニーの音楽会

投稿日:2018年06月02日 10:30

今週は「一緒に楽しむディズニーの音楽会」。聴いて楽しく、演奏しても楽しいのがディズニーの名曲。客席には600人もの中高生、大学生のみなさんが楽器を持ち寄って、演奏に参加してくれました。客席のいたるところで楽器がキラキラと輝く様子は壮観です。オリタノボッタさんのリードで、一気に盛り上がりました。オリタさんのおっしゃるように「吹奏楽とディズニーは最強のタッグ」。楽器を持っていないお客さんも手拍子や歌で加わって、客席が一体になりました。
 「ゼロ・トゥ・ヒーロー」や「ビビディ・バビディ・ブー」といったディズニー映画から生まれた名曲に加えて、今回はスマートフォン用ゲーム「ディズニー ツムツム」のテーマが演奏されました。あの軽快なテーマ曲って、耳に残るんですよね。
 「ディズニー ツムツム」は2014年にリリースされて以来、爆発的な人気を集めています。ディズニーキャラクターがかわいらしくデフォルメされたぬいぐるみ「ツムツム」が登場する一種のパズルゲームで、同じ種類のキャラクターが3つ以上並んだところを、指で画面をなぞって消すというのが基本アクション。一度にたくさんつなげて消すと高得点が入ります。そして、「フィーバーゲージ」が一杯になると得点が3倍になるフィーバータイムに突入です。急にアップテンポな曲調に変わって、拳を突きあげながら「ヘイ!」と発声していたのがその部分。客席のみなさんが生き生きとした表情で参加していたのが印象的でした。
 「星に願いを」では、オリタさんが見事なサクソフォン・ソロを披露してくれました。カッコよかったですよね。1940年のディズニー映画「ピノキオ」のために書かれた曲ですが、いったいこれまでにどれだけカバーされてきたことか。ディズニーが生んだ最大の名曲のひとつといってもいいでしょう。

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