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反田恭平の音楽会

投稿日:2017年05月28日 09:30

今週は「反田恭平の音楽会」。反田さんがピアノ表現の可能性を広げるようなチャレンジを披露してくれました。打楽器奏者・池上英樹さんとのコラボレーションによって、これまでにない反田さんの魅力が発揮されていたのではないでしょうか。
 特に興味深かったのが、ラヴェル作曲の「夜のガスパール」より「スカルボ」。この曲は本来ピアノ曲ですから、反田さんのソロだけで完結するはずの曲ですが、ピアノの内部奏法と池上さんの打楽器が加わって、原曲にはない音色やダイナミズムが生み出されていました。
 ラヴェルはオーケストレーションの名手として知られた作曲家です。その作品の多くには、ピアノ版とオーケストラ版が用意されています。「マ・メール・ロワ」「道化師の朝の歌」「クープランの墓」「亡き王女のためのパヴァーヌ」等々。いずれもピアノ版に比べると、オーケストラ版はカラフルでダイナミックです。しかし、「夜のガスパール」には作曲者本人によるオーケストラ版がありません。今回の演奏は、通常のオーケストラではなく、内部奏法付きピアノと打楽器を用いた21世紀版のアレンジとでもいえるでしょう。驚くほど違和感がありませんでした。
 ピアノは鍵盤楽器ですが、その発音のメカニズムを考えると、打楽器的でもあります。20世紀以降、バルトークやプロコフィエフなど、多くの作曲家たちがピアノの打楽器的な性格を強調した作品を書いています。ピアノを打楽器のように扱い、打楽器をソロ楽器として扱う。そんな発想の延長にあるのがジョン・ササス作曲の「マトルズダンス」。ジョン・ササスは1966年、ニュージーランドに生まれた現代の作曲家です。ピアノと打楽器が作り出す硬質で鋭いサウンドが、独自の世界を表現していました。まるで、ふたりの「対決」みたいでしたよね。

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オペラがわかる音楽会

投稿日:2017年05月21日 09:30

「オペラって気になるんだけど、初心者にはハードルが高い」。そんなふうに感じている方も少なくないでしょう。今週は「オペラがわかる音楽会」。オペラの聴きどころとなるアリアや重唱、前奏曲(序曲)の魅力をお伝えいたしました。
 「誰も寝てはならぬ」や「オンブラ・マイ・フ」といった名曲がまさしく好例ですが、オペラにはしばしばその作曲家のもっとも人気の高い名曲が登場します。過去の大作曲家たちは才能の限りを尽くしてオペラに挑戦してきました。なにしろクラシック音楽の世界では、作曲家が経済的成功を手にするためにはオペラのヒット作を生み出すことが不可欠と言ってもいいほど。「オペラはハリウッド映画以前の最大のエンタテインメント」という言い方がありますが、録音再生技術のない時代にあって、劇場に有名歌手たちが集ってオーケストラと共演するという出し物は一大スペクタクルであり、一大娯楽産業でもあったのです。
 大作曲家たちが傑作オペラを多数残してくれたおかげで、現代の私たちもすばらしい名作を味わうことができます。本日最後に三重唱をお聴きいただいたリヒャルト・シュトラウス作曲の「ばらの騎士」は、20世紀が生んだオペラの最大のヒット作といえるでしょう。この三重唱は大詰めの名場面で歌われます。繊細で陰影に富んだハーモニーは、これだけを単独で聴いても十分にすばらしいものですが、全幕をストーリーを追いながら聴けばいっそう感動が深まります。
 もし、本日の演奏に感動したけれど生のオペラは未体験だという方がいらっしゃるようでしたら、ぜひ劇場で本物の舞台を体験することをおすすめします。ありがたいことに、現代では何語のオペラであっても字幕が付くことがほとんど。よく知らない作品でもストーリーはわかります。その作曲家の音楽が好きであれば、初めてであっても尻込みする必要はありません。マイクを使わない生の歌唱がもたらす感動は格別です!

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村上春樹文学の音楽会

投稿日:2017年05月14日 09:30

村上春樹作品にはたくさんの名曲が登場します。ジャズも多いのですが、クラシックの名曲もほとんど毎作のように登場します。最近では「村上春樹さんの小説で曲を知ったので、どんな曲か気になってCDを聴いてみた」という方も珍しくありません。
 特に大きな現象になったのが、2009年に刊行された『1Q84』。小説中ではヤナーチェク作曲の「シンフォニエッタ」が重要な役割を果たしていました。しかも、ただ曲が出てくるだけではありません。小澤征爾指揮シカゴ交響楽団の録音であると、演奏者まで明記されていたのです。
 ヤナーチェクの「シンフォニエッタ」に名盤はいくつもありますが、小澤征爾指揮シカゴ交響楽団というのはかなり意外性のあるチョイスです。というのも、これは若き日の小澤による古い録音。所有している人は少なかったはず。レコード会社は急遽この古い録音を大増産し、CDは異例のベストセラーになりました。
 テレビドラマや映画ならともかく、音が聞こえてこないはずの小説がきっかけで、CDがヒットするとは!
 そんな村上さんの最新作は『騎士団長殺し』。この小説のタイトルが発表された時点で、クラシック音楽関係者は色めき立ちました。タイトルが、モーツァルトのオペラ「ドン・ジョヴァンニ」に由来するものであることが明らかだったからです。
 そして『騎士団長殺し』が発売されると、もうひとつの驚きが待っていました。たしかに「ドン・ジョヴァンニ」は出てくるのですが、それ以上にリヒャルト・シュトラウスのオペラ「ばらの騎士」がとりあげられているではありませんか。
 しかも演奏者がゲオルク・ショルティ指揮のウィーン・フィル! これもありきたりなチョイスではありません。どうしてショルティなのか。よくぞショルティを選んでくれた。いろんな声が聞こえてきます。
 小説から音楽の楽しみがこんなに広がっていることに、驚かずにはいられません。

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リズムを楽しむ音楽会

投稿日:2017年05月07日 09:30

今週は「リズムを楽しむ音楽会」。オルケスタ・デ・ラ・ルスと東京佼成ウインドオーケストラのみなさんが最高に楽しい演奏を聴かせてくれました。
 ボサノヴァ、スウィング、マンボなど、だれもが名前を知ってはいるものの、じゃあどういうリズムかと尋ねられても、説明するのは難しいものではないでしょうか。そんなリズムの仕組みや成り立ち、楽器について、いろいろな発見がありました。
 「ソウル・ボサ・ノヴァ」で登場したのはブラジルの民俗楽器スルド。リオのカーニバルで使われているのはこの楽器だったんですね。長時間叩いて踊りながら行進するため、軽量化されているという話には納得です。
 それから「クイーカ」。コキュコキュという独特の摩擦音がとてもユーモラス。この音、どこかで聞き覚えがあるような……。そうだ、「できるかな」のゴン太くんの声では!?(古くてすみません)
 「シング・シング・シング」が、スウィングとアフリカのジャングル・ビートの交代で出来ているという話には目から鱗が落ちました。スウィング・ジャズの代表曲ということで、アメリカそのもののような音楽だと思っていましたが、実はアフリカ的な要素の強い音楽だったとは。ジャングル・ビートって、ワイルドでズシンと来ますよね。
 マンボの起源はキューバ。軽快なリズムですが、こうして説明を聞くと、なかなか複雑なリズムであることがわかります。もっとも有名なマンボは、なんといってもマンボ・キングことペレス・プラードの「マンボNo.5」でしょう。「アァ~~~、ウッ!!」の掛け声がたまりません。
 ところで、ペレス・プラードの楽曲には「マンボNo.5」以外に「マンボNo.8」というヒット曲もあるんだそうです。ということは、No.7とかNo.9とか他の番号のマンボもあるんでしょうかね?

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