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豪華共演!“2台ピアノ”の音楽会

投稿日:2023年03月25日 10:30

最近、クラシック音楽界で話題を呼んでいるのが2台ピアノの演奏会。人気ピアニスト同士の共演が多く、とても華やかなイメージがあります。今週はそんな2台ピアノの魅力に迫りました。
 小林愛実さんと角野隼斗さんが演奏してくれたのは、ショパンの「小犬のワルツ」。本来、この曲はピアノ1台で演奏される曲ですが、角野隼斗さんの遊び心のある編曲により、新しい姿に生まれ変わっていました。若いスターふたりが楽しそうに共演している姿を見ると、昨今の2台ピアノブームにも納得がいきます。
 小曽根真さんと藤田真央さんは、モーツァルトの2台ピアノのためのソナタで共演。この曲はとびきりの傑作ですね。「のだめカンタービレ」で千秋とのだめが共演した曲として一世を風靡しました。モーツァルトが優秀な女性の弟子と共演するために書いた作品で、奏者間の対話性に富んだ溌剌とした楽想が魅力です。このふたりならではの即興演奏の応酬もあって、一段とスリリングで驚きにあふれた演奏が実現。途中からほとんどジャズになっていましたが、本来のモーツァルトに戻った瞬間のふたりの笑顔が印象的でした。
 ラフマニノフも2台ピアノのための傑作を何曲か残しています。今回演奏されたのは組曲第2番からの2曲。第1楽章を反田恭平さんと務川慧悟さん、第4楽章を反田恭平さんと藤田真央さんによる豪華共演でお届けしました。ラフマニノフがこの曲を「組曲」と題しているのは、おそらくバロック期の古典組曲を意識してのことでしょう。第1楽章は行進曲風の序奏ですが、いかにも幕開けの音楽らしい荘厳さがありますし、最後にテンポの速い舞曲が置かれるのも組曲らしい構成です。反田さんと務川さんの息の合った第1楽章、反田さんと真央さんのエネルギッシュな第4楽章、ともに聴きごたえがありました。

飯尾洋一(音楽ジャーナリスト)

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