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演奏するのが大変な巨大楽器の音楽会

投稿日:2021年11月20日 10:30

今週は4種類の巨大楽器を集めて、めったに聴くチャンスのない低音の世界をお楽しみいただきました。コントラバスサックス、ダブルコントラバスフルート、コントラバスクラリネット、そして巨大なドラ。どれも普段の演奏会では目にすることのない珍しい楽器ばかりです。
 原則として、楽器はサイズが大きいほど低い音を出すことができますので、巨大楽器は超低音楽器でもあります。コントラバスサックスという楽器、初めて聴きましたが最低音はまるでパイプオルガンみたいな音でしたね。田村真寛さんが「道路工事のような音」とおっしゃっていましたが、音というかほとんど振動に近いかも。並の肺活量では吹けそうにありません。「イン・ザ・ムード」の演奏では、この重低音が高音楽器と鮮やかなコントラストを作り出すことで、曲の浮き立つような楽しさを際立たせていました。
 多久潤一朗さんが演奏したのはダブルコントラバスフルート。なんと、全長5メートル。フルートといえば軽やかな音色をまっさきに思い浮かべますが、こちらも地響きのような低音が出てきて、パイプオルガンやコントラバスを連想させます。
 さかなクンが愛用するのはコントラバスクラリネット。パッと見た感じはファゴットのような外見ですが、クラリネットらしいふっくらした音色も感じられます。ズンズンと振動が伝わってくる「クラリネットをこわしちゃった」には、なんともいえないコミカルなテイストがありました。
 木管楽器以外から唯一登場したのは、巨大なドラ。普通のドラ(タムタム)であれば、ラヴェルの「ボレロ」など、ときどきオーケストラでも使われることがありますが、これほど巨大なものは見たことがありません。余韻がすごい! そして神田佳子さんの特殊奏法から繰り出される音は実に多彩。スーパーボールでこすって悲鳴のような音が出てきたのには背筋がゾクッとしました。

飯尾洋一(音楽ジャーナリスト)

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