今月のテーマは「新型コロナと戦後75年」。
生放送中にテーマを紹介するまで、8月になったことを実感できませんでした。
東京のみならず全国に感染が拡大し、
お盆休みを控え、世の中が右往左往しています。
日々状況が変わる中、政府関係者は「走りながら対策を考える」と言っています。
政府はGoToキャンペーンを前倒して実施し、
「感染対策を万全に行えば問題ない」と、旅行も帰省も推奨していますが、
万全の策を尽くしたところで、ウイルスも、人の気持ちも、目には見えません。
私自身、家族から「今年の帰省は控えて欲しい」と申し訳なさそうに言われました。
とはいえ、菅官房長官が「観光業界は瀕死の状態」と訴えるように、
経済を回すことも、感染拡大防止と同等に喫緊の課題です。
番組では、厚労省担当の岩本記者が現状の解説をしていましたが、
官邸を取材している自分との見解の相違もありました。
政府は、アビガンの治験を早急に行いたいのに、
厚労省は訴訟リスクを恐れて遅々として進まない。
国と地方の情報共有のため、厚労省に東京都との橋渡しを頼んでも、
芳しい結果が得られない。
ここで記したのはあくまで官邸サイドの見解ですが、
政府内ですら、官邸と厚労省で必ずしも足並みが揃わない中で、
当然、政府と東京都の連携も危うい部分は否めません。
政府が「感染拡大防止と社会経済活動の両立」を訴えた直後に、
東京都の小池都知事は「冷房を暖房を一緒にかけることと同じだ」と反論しました。
お互いの記者会見を通じてしか、コミュニケーションが取れないように見えてしまうのは、
とても不幸なことです。
意図的であれ、結果論であれ、
今回ほど、対立構図が生み出す危機感を肌で感じたことはありません。
GoToキャンペーンは、約1.7兆円という前例のない予算規模の観光支援です。
理論上、予算は年度内まで使えるわけですから、
夏休みに限らず、今年の冬休みにも適用できます。
日々の取材では、「予算規模」や「対象地域」などの大枠のファクトに囚われがちですが、
中長期的、且つ柔軟な視点からの情報発信の必要性を感じます。