3月で『朝まで生テレビ!』を卒業することになりました。
2011年9月から10年間番組に携わり、
最初の5年間はアナウンサーとして、
その後の5年間は政治記者として現場取材を経験することで、
刺激的、有機的な時間を過ごすことが出来ました。
アナウンサーは、スタジオのアンカーを担います。
原稿を淀みなく伝え、時間内に収める、いわば仕上げの作業です。
他方、記者は0から情報を掘り起こす作業です。
報道の、いわば「出口」と「入口」の両方を担うことで、
より多角的に物事を捉えることが出来ました。
※今月は渡辺宜嗣さんはお休みで、寺川アナウンサーと一緒にお伝えしました。
『朝生』の出演者の皆さんは、特に政治家の場合、同時に取材相手でもありました。
カメラが回っていようと、いなかろうと、相手の本音を引き出すためにどう接するか。
田原さんは、よく「タブーなしで本音を引き出す」とおっしゃいます。
番組中、強い調子で相手を質しても、番組後は「また来てよ」と笑顔で握手する。
相手に対して、一貫してぶれない姿勢と
確固たる見識があるからこそ出来ることです。
そんな田原さんの背中を追いかけながら、
時として「田原さん、そろそろ元の話題に戻りましょう」
「先ほどの発言を訂正します」と、
86歳のジャーナリストに対して、孫のような気持ちで接してしまう場面もありました。
2011年、東日本大震災が起き、その後民主党政権が下野し、
憲政史上最長の安倍政権が続きました。
2021年、新型コロナウイルスが猛威を振るい、
世界情勢の先行きもますます見通せません。
この10年を駆け抜けるというよりは、足を縺れさせながら必死で追いかける中で、
この番組を通じて、間違いなく自分の「軸」が形成された気がします。
視聴者、出演者、スタッフの皆様、今までどうもありがとうございました。
引き続き、『朝まで生テレビ!』をどうぞよろしくお願いいたします。
2021年3月31日
村上 祐子