原色の風景・光り輝く島スリランカの旅 撮影日記

- ェストゥーティー(ありがとう)
- お別れ会
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スリランカを横断した撮影隊の旅は、コロンボへ戻って終了した。最後の夜、パーニニさんやロケを手伝ってくれた同僚のアヨーさんがレストランで送別会を開いてくれた。毎日一緒に経験してきた濃厚な体験が、共通の思い出になっていく尊い時間。気がつけば、映画協会のバンダーラさんは、感極まって泣いている。こちらこそ感謝の気持ちでいっぱいなのに、心温かいスリランカスタッフたちは、これでもかと厚くもてなしてくれた。初めての海外ロケで不安も大きかったけれど、メンバーに恵まれた。一瞬一瞬を噛み締めておきたくなる、そして行く先々でまた訪れたいと思わされる、素晴らしい国だった。
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現地スタッフとの絆を強くした一つに、言葉のコミュニケーションがあったように思う。そこで最後に、ロケ期間中に教えてもらったシンハラ語を紹介したい。ちなみに、スリランカの公用語はシンハラ語とタミル語、連結語として英語が使われている。
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まずは初級編。最も使ったのは「アーユーボワン」。こんにちは、はじめまして、さようなら、などいろいろな挨拶に使える。「ェストゥーティー=ありがとう」と「ラサイ=おいしい」も頻出。次は、車窓ロケ的重要ワード。「列車」は、シンハラ語で「ドゥンブリエ」。地元の人たちはくだけた言い方で「コーチ」とも呼んでいて、列車の走りシーンを撮る時、私たちはトランシーバーで「コーチエナワ=列車来ました」と呼びかけあうこともあった。他には「カマクナイ、カマクナイ=問題ない、構わないよ」や「ワディホンダタケルナ!=今日はうまくいった!」を覚えた。いい言葉だった。「ホンダタケルナ!」と言ったときのスリランカスタッフたちの満面の笑みが忘れられない。カタコトのシンハラ語のおかげで、おおらかで穏やかな空気に包まれたロケ現場となった。
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行く前に心配していた列車の遅れは、大きな影響を受けたのは、ナインアーチ・ブリッジで走りを撮影する際に2時間待ったくらい。あとは多少の遅れで済んで、ほとんど「カマクナイ、カマクナイ」。列車が時間通りに来てくれることで、手作り時刻表もしっかり活躍した。
- ディレクター 中村仁美

- シーギリヤ・ロックにて

- ナインアーチ・ブリッジでの撮影