原色の風景・光り輝く島スリランカの旅 撮影日記

- 茶摘みの女性たち
- 紅茶の産地
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スリランカ人の紅茶といえば、「熱くて」「甘い」「ミルクティー」一択。初めて飲んだのは30℃を超えるコロンボの駅でのこと。はじめは暑い中、湯気の出る飲み物を飲む違和感があったが、甘いのにすっきりしていて意外にいける。それ以来、車内でもポット販売の人が来たら注文してみたり、食後は必ずホットミルクティーで落ち着きたいと思うようになった。コーヒー派の私もここでは断然、紅茶派となった。
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そんな紅茶の国スリランカで有名なのは、「茶畑を走る列車」。もともとは英植民地時代、紅茶を運んでいた路線だ。くねくねと蛇行しながら高度を上げ、陽に照らされて輝く一面の茶畑の間を抜けていく。手を伸ばせば茶葉に届きそうな時もある。驚いたのはこの茶畑の車窓が何時間も続くこと。紅茶プランテーションの広さを思い知らされた。車窓からは茶摘みをしている女性たちも見かける。
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標高が上がってくると、車内を通り抜ける空気がひんやりしてくる。茶畑のみならず、山々の稜線や滝、川など、高原らしい景色が楽しい。「スリー・パーダ」というスリランカの聖なる山が見えるタイミングは、2回。仏教・ヒンドゥー教・キリスト教・イスラム教と、4つの宗教の聖地なのだそう。車内ではちょうど前日に、この山への26回目の登頂を終えたというスリランカ人男性にも出会った。彼は山をじっと見つめていて、私たちもよく見えるようにと親切にも場所を譲ってくれた。
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後日、茶畑へ出向き茶摘みの女性たちを撮影させてもらった。彼女たちは棒を一人1本持っていて、その棒の高さをはみ出た分の、やわらかい新芽を摘むのだそうだ。ものすごい手際の良さだ。実際にその場に立って思ったのは、茶畑はかなりの急こう配だということ。この斜面を茶葉の入った袋を頭にかけた状態で1日中歩くのは大変なことだ。
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撮影したあたりは標高1300mを超え、このくらい標高の高いエリアの茶葉は「ハイグロウン」と呼ばれる高級茶に分類される。沿線のハイグロウンは、日本でも「ディンブラ」「ウヴァ」「ヌワラエリヤ」などの産地名で売られているので、見かけたらぜひ味わってみてください。
- ディレクター 中村仁美

- 車内販売のミルクティー

- 車窓から見える茶畑