原色の風景・光り輝く島スリランカの旅 撮影日記

- 開け放たれた列車のドア
- 開けっ放しのドアの衝撃
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最初の行先はネゴンボ。コロンボよりも空港に近くて、美しいビーチもあり、旅行者にも人気の街だ。道中の車窓にはいわゆる絶景はないが、まずはローカルな雰囲気と車内撮影の感覚を掴みたい。というのも、今回のクルーは全員「車窓ロケ」が初めて。撮影は、映画の現場で大活躍中の福岡出身コンビ、飯岡幸子さん・村上拓也さん。テレビと映画、ジャンルを越えてどんな映像になるか楽しみ。コーディネーターのパーニニさんは日本が大好きで、経験豊富な切れ者。ドライバーのラクシャーンさんはサングラスがトレードマーク。愛車は白のハイエースだ。そしてスリランカ映画協会のバンダーラさん。「おしん」が好きでユーモアと優しさに溢れた人。20~50代まで、個性豊かで心強いチームだ。
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コロンボ・フォート駅で、5人で初めて列車に乗ろうというとき。パーニニさんが5、6人の車掌さんたちに取り囲まれている。駅構内はアナウンスや汽笛、雑踏音でかなりノイジー。パーニニさんが何か懸命に説明してくれている。シンハラ語なので何を話しているのかよくわからない。(ちなみにシンハラ文字も解読不能だが、看板などには必ず英語表記もあるのでありがたい。)若干緊張感が走ったが、無事に乗り込む。すると乗客たちが、好奇の目をまっすぐに私たちに向ける。慎重に様子を見守っていると、彼らは徐々に受け入れてくれて、澄んだキラキラの目で自然な笑顔を見せてくれた。車掌さんたちも大変親切。日増しにその実感は強くなるのだが、本当にありがたいことに、スリランカの人たちは日本人に対して驚くほどウェルカムだ。
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人々はぼんやり景色を見たり、音楽を聴いたり、談笑したり。意識が内ではなく外へ向いている感じなのが面白い。あとはやはり、列車がドアを開けっ放しで走ることには衝撃を受ける。何だか服を1枚着ていないような、ソワソワした感覚。日中は強い日差しで30℃を越える暑さだが、風が吹き抜けるので不思議と涼しい。「NATURAL AC」なんだと言っていた。さらに外を見れば、線路も道であるかのように堂々と人が歩いている。これも大変新鮮な光景。
- ディレクター 中村仁美

- 笑顔の乗客

- 線路を歩く人