世界の車窓から

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北欧の夏! 白夜のフィンランド周遊の旅 撮影日記

まさに森と湖の国
夏のフィンランドに心弾ませて
今回の旅先を告げられた時、「フィンランド?!」と、オウム返しをした声が裏返った。パッと頭に浮かんだ言葉は、ムーミン、サウナ、マルッカネン(NBA選手)。何も知らないも同然。でも、知らないって最高だ!と、ふとした瞬間に小躍りしたくなるほど、ワクワク過ごした出発までの数ヶ月間だった。
6月某日、いよいよ東京を発ち、北極の上を通るルートで約13時間、ヘルシンキ・ヴァンター空港へ向かう。フィンランド上空に差し掛かり、ふと窓の外に目をやると、緑と青の世界が果てしなく続いている。これぞ森と湖の国。「国土のおよそ7割が森林で、約19万個の湖が点在する」という旅行雑誌の一文が腑に落ちた瞬間だった。この大地を南から北へ、列車で旅するだなんて!と、期待は膨らむばかり。
入国審査の長い列を経て、空港の外に出たのは午後5時頃。雲ひとつない青空が広がり、真昼のように太陽がギラギラしている。この旅のテーマ「白夜」を、早くも少し感じることができた。車で約20分、ヘルシンキ郊外の宿に到着。おしゃれな佇まいに見とれていた矢先、エレベーターが無いことを知り、スタッフ一同愕然。「よしっ!」と気合を入れて、機材を両手に抱え、4階までの階段を何度も往復した。
気を取り直し、近場のパブで夕食。今回のコーディネーターは、同郷の兵庫県出身で、フィンランド在住歴13年のこばやしあやなさん。カメラマンの辻󠄀智彦さんは、ドキュメンタリー撮影の名手。撮影助手の新藤早代さんは、写真家としても活躍中だ。そして、初日に確信した。自分を含め、全員とってもお喋り。タイトな撮影日程も、この4人なら大丈夫な気がした。
何より、自分が生まれる前から続く番組の作り手になれたことが嬉しくてたまらない。『世界の車窓から』からの『ドラえもん』を楽しんでいたあの頃の私に教えてあげたい(当時、関西では夜の早い時間帯に放送されていた) 。おもしろい旅になりますようにと願いながら、泥のように眠った。
ディレクター 富浦花野
宿の4階を見上げる
夜11時頃 宿の窓辺から