インカの記憶・アンデスの風・南米ペルーの旅 撮影日記

- 何もない広大な高原
- 高地の威力にやられる。
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豪華列車チチカカトレインの中では、レストランのように食事や飲み物が提供される。朝7時ごろに出発したため、まずは朝食。トーストにオムレツ、フレッシュなサラダ。一体、列車の中でどうやって作られているのかと不思議になるほど豪華な食事。
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車窓はクスコの町並みから、パンの街オロペサや遺跡の街ティンタなどを通り過ぎ、少しずつ高度が上がり家屋が減っていく。標高4000mを超えた地点に広がる、アルティプラーノと呼ばれる広大な高原。10月後半のアルティプラーノは、次の農繁期に備え焼畑が行われ、いたる所から煙が上がっている。焼かれた草は黒く広がり、地球ではない星の風景を見ているよう。窓の大きく作られた展望車にいると、隔絶された宇宙船に乗っているよう。
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12時過ぎ、クスコから終点プーノまでの間で唯一の停車駅、ラ・ラヤ駅に到着。なんと標高は4319m。この路線で一番標高の高い駅。3400mのクスコなんてめちゃくちゃ低い。空気が薄くて息苦しいというか、重い空気に押しつぶされているような感覚。この場所が、昔は交易地となっていたらしい。こんな高いところで交易をしなくても…。さらに目の前に広がるのは、山以外は何もない広大な風景。少し俯瞰で広い映像を撮りたいと、目の前の小高い丘に登ろうと提案するも、実は歩いて2時間くらいかかる場所らしい。他に比較物がないから、山の高さや距離が錯覚でおかしくなっている。
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列車の乗客をめがけて、どこからともなくお土産屋さんが集まってくる。乗客たちは、チチカカトレインの土産にと、アンデス風のストールや帽子をどんどん買っている。自分も欲しくなってくる。お土産屋さんも慣れているのか、そういう人をめがけて営業をかけてくる。他の場所では半分くらいの値段で買える小さいポーチを手に、列車へと戻る。車内ではランチの準備が始まっていた。列車の中でコース料理が提供されるのは驚き。さらに、子供向けやアレルギー食など様々な選択肢が用意されている。車内が狭いので、厨房の撮影はカメラマンに任せ、自分は食べることに専念する。撮影用のワインも、とても美味しかったです。
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次回、ついにチチカカ湖へ。
- ディレクター 水口拓郎

- 車内のコース料理

- ラ・ラヤのお土産屋