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原色の風景・光り輝く島スリランカの旅 撮影日記

「ペラヘラ祭り」の踊り手たち
ペラヘラ祭り
半月ほどのスリランカロケ。日々の大まかなスケジュールはロケ前に練る。スリランカへの直行便は週に5日、肝心な列車の本数も少ないので、なかなか難しいパズルだった。そのうえ、中心都市コロンボで毎年2月の満月の日に開催される「ペラヘラ祭り」をどうしても撮影したかったので、パズルはより複雑化した。「ペラヘラ祭り」を中心に練り上げられたスケジュールといっても過言ではない。
45年前に始まったコロンボの「ペラヘラ祭り」は2日間。ペラヘラとは「行列」の意味だ。夜、各地域の伝統舞踊の踊り手や、電飾をつけたゾウたちが、街の中心にある「ガンガラーマ寺院」を起点に大通りを練り歩く。派手に光り輝く装飾、次から次へとやってくる各地の独特な踊りや音楽は全てが新鮮。凝縮した「スリランカらしさ」を感じられる。老若男女、沢山の地元の人たちが沿道で目を輝かせていた。3時間あまりのパレードのトリは、舎利容器が乗せられたひときわ輝くゾウの行進。容器の中に入っているのは釈迦の「遺骨と髪の毛」だそう。今回、カメラマンだけ特別に、この容器を背中に乗せるまでの儀式や、踊り手たちの準備にも立ち会わせてもらえた。そして本番中も、地元テレビ局の中継席を譲ってもらい、ベストポジションから撮影できた。ガンガラーマ寺院とテレビ局クルーの寛大な対応に心より感謝します。
熱狂の一夜を過ごし、次に向かったのは山間の古都キャンディ。特急列車で山を分け入って、幅スレスレのトンネルを何度もくぐり抜ける。時々トンネル内で青年たちがアトラクション感覚で絶叫する声が聞こえる。愉快な旅だ。
実はペラヘラ祭りはキャンディでも行われていて、紀元前から歴史があるともいわれている。毎年8月の満月にかけて10日間ほどの開催期間は、世界中から観光客がやってくる。キャンディはイギリスに滅ぼされたシンハラ王朝の最後の都で、スリランカの仏教の聖地。代々の王は王権の証に「釈迦の歯」=「仏歯」を受け継いできて、王朝なき今は「仏歯寺」がその歯を祀る。キャンディのペラヘラ祭りでは、この大切な「仏歯」がゾウの背に乗せられるのだ。コロンボであれだけの規模なのだから、ものすごい盛り上がりなのだろう。
ディレクター 中村仁美
舎利容器を乗せたゾウの行進
仏歯寺の内部