雨季のカンボジア〜青く輝く田園を走る 撮影日記

- 結婚式の写真
- 偶然の出会い
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カンボジアの鉄道には大勢の利用客が押し寄せるような賑わいはありませんが、その分、乗客や乗務員たちとより濃密なコミュニケーションがとれるように思います。初日に乗った週末列車では、若い女性の車掌さんに出会いました。法科大学で勉強しながら鉄道で働く、女子大生車掌。毎日忙しいのに、心から仕事が楽しいという風で笑顔が眩しかった。
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翌日私たちが乗る予定の南線にも乗務すると聞き、彼女の仕事を撮らせてもらおうと思いました。彼女とその先輩の車掌さんと一緒に「キハ列車」に乗車。言葉はよくわかりませんが、二人の信頼関係が伺えました。乗客と和気あいあいとコミュニケーションをとっていて、日本の特急列車の仕様でお互い距離感が生まれそうなところですが、なごやかな雰囲気が醸成されていて不思議な感じがしました。
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撮影隊が降りるケップ駅が近づいてきた頃、私はケップで下車する人をなんとなく探していました。初めて地方の駅に降り立つので、どんな人が降りていくのか気になる。そんなことをぶつぶつつぶやいていると、すっかりお世話になっていたあの車掌さんが、車両の先頭に立って「ケップで降りる人はいませんか?」と声がけを始めてくれました。・・・感激です。
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そうして彼女のおかげで放送にも登場したあの男性と出会います。プノンペン駅から見かけていた彼。聞けば新婚さんで、ケップの実家で暮らしている妻を、プノンペンに呼び寄せることになり迎えに行くといいます。実家は駅のすぐ近くだと話してくれたので、そのままお邪魔してもいいか尋ねたところ、二つ返事でOKをいただきました。久しぶりの夫婦の再会。雨が滴る中、深い軒の下に横たわる大きな台にゴザを敷いて、結婚式のアルバムを見せてもらいました。この家に800人も集まったというので驚きです。観光地ではない、暮らしが垣間見える場所への訪問は、その後の取材にも大きく影響する嬉しい出来事でした。そしてなにより、晴れやかな笑顔の二人とその家族に出会えて、嬉しかった。予定にないことも嗅覚を信じてなるべく楽しみたいと、改めて思わされた日でした。
- ディレクター 中村 仁美

- 和やかなKIHA列車の車内

- お世話になった車掌さん
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雨季のカンボジア〜
青く輝く田園を走る
撮影日記一覧
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- 2025/11/24 更新
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