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インカの記憶・アンデスの風・南米ペルーの旅 撮影日記

青い車体が輝くペルーレイル
いざ高地へ
リマの街から、今回の主役「ペルーレイル」の列車が出発するクスコへと移動。飛行機で1時間ほど。この移動が、日本での準備期間でも少し心配していた部分。クスコの標高は、およそ3400m。富士山よりちょっと低いくらい。飛行機を降りた途端、確かに少し空気が薄い気がする。もしかしたら考えすぎかもしれないけれど、やっぱり空気が薄い気がする。息切れが高山病の大敵と聞いていたので、必要以上にゆっくり動いて撮影の準備。
まずは、クスコの街並みの撮影。アンデス山脈に位置する歴史的な町で、インカ帝国の首都だったこともあり、古代と現代が融合する魅力的な佇まい。大広場の周りには、インカの石積みの上にスペイン時代の土壁が載せられている。美しい街並みのクスコ。しかし、アンデス山脈の山々に囲まれ、とにかく坂が多い。石造りの階段を、ゆっくり10段くらい上がっただけでもう息切れ。これが標高3400mの威力。
翌日は、早朝から列車の撮影。今回、我々が乗るペルーレイルの列車は、クスコのサン・ペドロ駅からマチュピチュまでを5時間ほどでつなぐ。座席はビスタドーム展望車という、観光客に人気の豪華車両。側面には大きな窓、さらに天井にも大きな窓がついていて、ペルーの日差しが車内に差し込み、なんだかとてもいい気分。秘境のイメージであるマチュピチュは、意外にも、標高はクスコよりも低い2400mほど。駅を出ると、列車はスイッチバックを繰り返しながら、一旦、少しずつ山を登り、そこから徐々に高度を下げながらマチュピチュへと向かっていく。
出発して2時間ほど経った頃、乗務員がみんなを列車の最後尾にある展望車へと誘ってくれた。バンド演奏に、ペルーのお酒ピスコを使ったカクテルなど、列車内とは思えない高級ホテルのロビーのようなお出迎え。車窓には、雄大なアンデス山脈が流れていく。マチュピチュが近づくこと、そしてなによりも、標高が下がることが嬉しい。
次回、いよいよマチュピチュへ。
ディレクター 水口拓郎
クスコの石壁
マチュピチュへ向かう車内