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ローマ発 真夏のイタリア縦断1500キロの旅 撮影日記

旅は首都チュニスから
チュニジアロケ始まる
チュニジアと聞いて、恥ずかしながらどこの国かピンとこなかったのが正直なところ。地図を見れば、アフリカ大陸の北岸に位置する国。地中海を挟んでイタリアのシチリア島もかなり近い。イスラム教でアラブの国、フランスの植民地だった影響を残し、観光地は、ローマ時代の遺跡に、海沿いのリゾート、砂漠地帯…などなど。日本の半分にも満たない(5分の2ほど)小さな国土に、盛りだくさんである。
また、「アラブの春」と聞けば、イメージが湧く人も多いだろう。約10年前、中東・北アフリカ地域を席巻した民主化運動、そのきっかけをつくったのが、チュニジアの「ジャスミン革命」であった。事前情報では、革命で大きく様変わりしたというチュニジア。いったいどんな鉄道の旅になるのか。
11月末日、期待に胸を膨らませチュニジアに降り立つ。しかし、あいにくの曇り空。今は、ちょうど雨季にあたるので、降りだす前にと急いで、首都チュニスの街の撮影に繰り出す。チュニジア随一の大都市、高層ビルが建ち並び、ヴェールを身にまとうアラブらしい人たちと、細身のパンツにサングラスと都会的な若者たちが行き交う。しかし、雨は本降りとなり、撮影もそこそこに、屋根がある旧市街へ移動。そこは一変、アラブの国に来たと実感できる光景が広がっていた。路地に所せましとひしめく店、エキゾチックな香り、アラビア語が飛び交う雑踏をかき分け撮影。
雨模様だったこともあり、初日で一番魅了されたのは、人々の笑顔だった。カメラを向けると少しシャイな表情を浮かべた後、決まって屈託のない笑顔を見せてくれる。カメラマンとそんな話をしていると、「最近やっとみんな笑えるようになったんだ」とコーディネーターが教えてくれた。“革命”以降減ってしまった笑顔、まだ革命から10年“しか”経っていない現状を彼の言葉は意味していた。今回の旅で、みんなの笑顔を沢山映像に収めることは、ひとつ“今”のチュニジアを映すことになるのではないか、そう思い始めた初日であった。
ディレクター 太田 健亮
旧市街の路地
カメラを向けると笑顔を見せてくれた