世界の車窓から

トップページ > 撮影日記

原色の風景・光り輝く島スリランカの旅 撮影日記

オールドゲート
ゴール旧市街
スリランカを旅するならぜひ訪れたいのが、南部の都市ゴールにある旧市街。インド洋にちょこんと突き出た半島にあって、ヨーロッパ植民地時代の要塞に囲まれた小さな街だ。1988年に「ゴール旧市街とその要塞群」として世界遺産に登録されている。ゴールはかつてアラブ商人が行き交う海洋交易の要衝として栄えた地。要塞は、大航海時代のポルトガル占領期、その後のオランダ占領期に形作られた。18世紀からの英国支配下ではそれがそのまま使い続けられ、今もヨーロッパや南アジア、中東の文化がミックスされた独特の街並みが往時の姿のまま残っている。要塞の中へ通ずる門は二つ。街の北東側にある苔むしたオールドゲートは、オランダ東インド会社の紋章が刻まれている。そこを人々が賑やかに通り抜ける様を見ると、歴史と現在との連続性を肌で感じられた。
旧市街には、ゴールでも人気の男子校と女子校がある。5~18歳が通っている小・中・高一貫の超マンモス校。13時半に学校が終わると聞いて、街の北側にある比較的新しいメインゲート近くへ向かう。そこで目撃したのは、大勢の女子生徒たちと迎えに来た保護者が、ゲートを出ようとする光景。女子生徒たちの真っ白な襟付きシャツとスカート、赤いネクタイに靴下という制服姿が可愛くて眩しい。髪の長い子は三つ編みにして赤いリボンを結んでいた。ゲートはそれほど幅が広くないから道路は大渋滞。クラクションの音と灼熱の太陽でクラクラする。なんてことない下校シーンに圧倒的なパワーを感じ、こんな騒ぎが連日起こるゴールの日常に撮影隊も呆気にとられた。
要塞の存在が当たり前の街。日没近くになって、海沿いへ行ってみた。砦の上は芝生広場になっていて自由に入れる。西側はインド洋に沈む夕日を眺めるのにとっておきのスポット。観光客が多い印象だが、近くに住んでいるという若い姉妹にも出会った。時々二人でここに夕日を見に来るのだという。日が沈み切るまで仲良くおしゃべりをして、最後は手を繋いで帰っていった。アプリコットみたいな夕日が沈んだ後のおだやかな空気に心安らぐ。なんだかエネルギーチャージされたような、充足感のある滞在となった。
ディレクター 中村仁美
道路は大渋滞
インド洋に沈む夕日