世界の車窓から

トップページ > 撮影日記

原色の風景・光り輝く島スリランカの旅 撮影日記

コロンボ・フォート駅
旅のはじまり
スリランカは、紅茶、カレー、アーユルヴェーダ、美しい海に野生動物、数々の遺跡…と北海道の約8割という面積ながら、魅力が盛りだくさんの夢のような島。その一方で、シンハラ人とタミル人の民族対立によって起こった内戦(1983~2009)が長く続き、2022年には国家の経済危機という苦難を経てきた国でもある。一体どんな景色が待っているのか。正直、初めての海外ロケで不安だらけ。
車窓ロケには「時刻表」が欠かせない。主に“列車の客観”を撮るスケジュールを練るためだ。24時間全列車の運転が一目でわかる「表」が欲しいのだが、スリランカ鉄道に何度問い合わせてもそういった表は存在しない…。頼みの綱は、公式サイトの、乗車駅と下車駅を入力する「検索システム」。スタッフ総出で一駅一駅検索し、気の遠くなる思いでお手製の時刻表を作った。もはやこれは「お守り」。ありがたくリュックに入れ、2月某日、いざ出発。
成田空港から直行便で約9時間と、アクセスはそこまで悪くない。しかし飛行機がまだ成田に戻ってきていないということでいきなり約4時間半も遅延。「列車も遅れますから、よい練習と思ってください」と、現地コーディネーターのパーニニさんからFaceTimeが届く。早すぎるトラブルに拍子抜けし、機内ではよく眠った。
空港出口に辿り着いたのは現地時間の23時36分。気温27℃。じわっと湿度のある熱気で、異国にやってきたと実感。時折吹く風が涼しくて気持ちがいい。日本のODAによって建設されたという高速道路を通って夜中の2時近くに中心地コロンボのホテルに到着。
朝6時の出発で、ようやく明るいコロンボの街を見る。道路は広いし新しいビルも多い。思ったよりもだいぶ都会だった。
8時頃から、いよいよコロンボ・フォート駅の撮影。真っ白なファサードがよく目立つ美しい建築だ。華やかなサリー姿の女性もちらほら目に留まる。中に入って、撮影隊一同がとりわけ感動したのは屋根の隙間から入る強い太陽光線と、影になった人々の姿。情緒的な光景にうっとりしていたら、ネゴンボ行きの列車が時間通りにやってきた。
ディレクター 中村仁美
朝のコロンボの街
光と影が織りなす光景