原色の風景・光り輝く島スリランカの旅 撮影日記

- キャンディ駅に入線
- 満員列車 in スリランカ
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キャンディから終点バドゥッラまでは7時間以上。ぎゅうぎゅう詰めの満員列車に乗って山々を越えていく。朝5時台にコロンボを出発し、9時前にキャンディを通って、バドゥッラまで結ぶこの便には「ポディ・メニケ(=小さな乙女)」という愛称がついている。かつて今よりも列車の本数が少なかったころ、主要な便に名前がついていた。それが今も残っているというわけだ。
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さて、この「ポディ・メニケ」乗車中にヒヤヒヤする出来事があった。車内は大混雑していたので撮影の飯岡さんと私の二人だけで行動していた。身動きもとれないし、アンベウェラ駅で車両を移動しようとホームへ降りたが、間違った判断だった。この駅で乗客がさらに増え、もはやさっきまでいた車両にも乗れない。日本の満員電車の感覚では、まだ乗れそうな感じもするが、ここはそんな文化ではないのだ。車掌さんの所へ行っても言葉が通じないために許可を得た撮影隊だと分かってもらえず、無力感を味わう。乗れなかったなんてことだけは絶対に避けたいのでそれぞれホームをダッシュして、入れてもらえそうな車両を見つけ、もう動き出している列車に別々に飛び乗った。次のパッティポラ駅まで、一人で過ごした時間の緊張感は忘れられない。
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スリランカで最も標高の高い駅、パッティポラで無事に飯岡さんとパーニニさんと合流し、無理やり3人で乗車。私は左半身が、パーニニさんは体のほとんどが外に出ている。手すりにしがみつき、早く次の駅に着くことを祈る。すぐ隣にいたマレーシアからのご夫婦がとても親切で、笑顔で元気づけてくれた。「日本もこんな感じでしょ?」と言われたが、密着度はこのくらいでも、さすがに半身が外に出たりすることはないので、これほどスリリングではないと言った。狭いトンネルを通過したりして本当に怖かったのだが、なんだか笑いもこみあげてきて、手の力が抜けてきたのが非常に危なかった。
- ディレクター 中村仁美

- キャンディ駅でポディ・メニケに乗車

- 混雑する車内