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北欧の夏! 白夜のフィンランド周遊の旅 撮影日記

ドライバーのカリさん
フィンランド人はシャイ?
ロケ出発前、「フィンランド人はシャイだよ」と友人や同僚たちから聞いていた。その言葉を頭の片隅に置きつつ撮影を続けていると、確かに、乗客にカメラを向けて話しかけた時、笑顔になるまで少し時間がかかることが多い気がした。しかし、そんな印象を打ち破ってくれたのが、ドライバーのカリさんだ。
今回のロケのほとんどの運転を担当してくれたカリさん。初対面はホテルの朝食会場だった。大柄な男性が満面の笑みを浮かべているのを見て、この人だ!と確信する。英語で挨拶をしたところ、「英語がわからないんだ」と謝られてしまった。いやいや、フィンランド語がわからないこちらの方こそ申し訳ない。そう思いつつも、言葉が通じない状況にぐぐっとスイッチが入る。覚えたてのフィンランド語の単語と、力の限りの身振り手振りで話すと、私以上のノリで応じてくれ、朝食に手をつける暇が無いほど盛り上がってしまった。
カリさんはとてもお喋りで、息を吐くように冗談を言う人だ。チーム唯一のフィンランド語話者であるコーディネーターのこばやしさんの、笑顔と呆れ顔の繰り返しがそれを物語っている。カリさんの口調や大袈裟なほどの表情で、言っていることが何となく理解できてしまうから面白い。出会って半日と経たないうちに、親戚のおじさんのような親しみを覚えた。その後も底抜けに明るい彼は、取材先や飲食店の人たちともすぐに仲良くなり、場を和ませてくれた。
列車が走る様子を撮影する時は、チーム二手に分かれることがある。カリさん、撮影助手の新藤さん、私の3人での移動になると、カリさんから教わったオイケア(右)・ヴァセン(左)・エテーンパイン(前)・タークセ(後ろ)という単語で助手席からナビゲートした。彼のおかげでフィンランド語のレパートリーが増え、列車内でもよりいい雰囲気で乗客を撮影できるようになったと思う。「〇〇人は〇〇」というのは、旅のヒントにはなるが、その一歩先こそが楽しい。
Kiitos、カリさん!またいつか会える日を楽しみに。
ディレクター 富浦花野
優しくて力持ちなカリさん
車内の撮影風景