世界の車窓から

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北欧の夏! 白夜のフィンランド周遊の旅 撮影日記

ヘルシンキ遠景
今と昔の車窓ロケ
白夜ロケあるある。パッと目が覚めると窓の外が明るくて、「やらかした!」とスマホ画面を見ると、早朝3時。これ、滞在中に何度経験しただろう。この日もそうやって飛び起きた。たっぷりと二度寝をして、充電完了。ロケ車に乗り込み、ヘルシンキの街へと向かう。よどみのない大空、青葉を揺らす街路樹、新旧の建築が心地よく融合した街並み。目に飛び込んでくるすべてが鮮やか過ぎて、脳が騒がしい。
午前8時、ヘルシンキ中央駅に到着。ここが私たちの旅の始まりの場所であり、終着地点。街の中心部にどんと構える石造りの駅舎を見て、ようやく、フィンランドを周遊する車窓ロケが実感に変わった。海外で、しかも公共交通機関である列車で撮影をするというのは、どんなものなのか。まずはヘルシンキ発の各駅停車に乗り込み、湖水地方の玄関口タンペレへ向かう。
国民の祝日である夏至祭(ユハンヌス)を終えたばかりのフィンランド。キャリーケースを脇にすっかり夏休みモードの人、コーヒーを片手に職場へ向かうであろう人など、車内には様々な雰囲気の乗客が入り交じる。人を撮るときは必ず了承を得るのだが、序盤は断られることが多かった。もし、自分が通勤中の車内で海外のクルーに出くわし、撮影してもいいかと問われたら…と想像すると、「そりゃそうだよな」と納得。挫けずに話しかけ続けた甲斐もあり、素敵な出会いにも恵まれた。
これまで何度も『世界の車窓から』を担当している、カメラマンの辻󠄀さん。初めてこの番組の撮影をしたのは、23年前のフィンランドだったという。当時は撮影を断られることはあまり無く、乗客にレンズを向けた瞬間の感覚が昔と今とでは違ったそうだ。時代の流れとともに、人物撮影の在り方は変わっていったのかもしれない。 だからこそ、列車旅を通じて、各国の日常を誠実に撮り続けてきたこの番組の映像は貴重だし、2024年夏のフィンランドも、きっと未来の誰かに届くはず。就寝前の打ち合わせで、そんな話をした。
ディレクター 富浦花野
ヘルシンキ中央駅
各駅停車に乗車