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北欧の夏! 白夜のフィンランド周遊の旅 撮影日記

木材越しに列車を撮影
撮影と狩猟は似ている
車窓ロケで重要なのが、列車が走る様子を撮る、通称・走り撮影だ。あのテーマ曲が流れる番組冒頭や、本編中でも使う大切な映像だからこそ、ロケーションにはこだわりたい。そう思って、日本を発つ前からずっと、画面に穴が空きそうなほどネット上の地図を凝視し続け、撮影候補地の目星を付けていた。しかし、これがなかなか上手くいかない。いざそのポイントへ行ってみると、木が生い茂っていて、列車が全く見えなかったりする。こんなはずじゃなかったのに…と、何度絶望しただろう。
そんな時に頼りになるのが、カメラマンの辻󠄀さんだった。期待していた場所がダメだと分かったら、その場で地図を再確認し、線路の曲がり具合などを見て、いとも簡単に新たな候補地を割り出してしまう。長年の経験と撮影者としての直感がなせる技に、ただただ圧倒された。そして、コーディネーターのこばやしさんも心強かった。なんと狩猟免許を持っているという彼女。北極圏に住む師匠と共に森を歩く経験を積んでいるため、とにかく地図を読むのが早く、遠くにあるモノを目で捉えるのも早い。そんな二人と行動を共にするに連れ、段々と感覚を掴み、いい場所を見つけられるようになってきた。
ある日、線路沿いに木材の集積所を発見。素敵なロケーションだが、木の山が高すぎて、列車と絡めて撮るのが難しそうだった。少し先に高台があるのに気づき、「あそこから撮れたらいいんですけどね〜」とポロっと呟いた私。すると、目をギラリと光らせた辻󠄀さんが、そちらの方へと一目散に走り出す。ササッと高台によじ登り、あっという間に木材越しに列車が見えるポイントに辿り着いてしまった。撮影助手の新藤さんがパパッと三脚を準備してくれ、なんとか列車の通過時刻に間に合った。なんて素晴らしいチームワーク!たった1カットだが、そこにはたくさんの思い出が詰まっている。映像を見る度に、あの時の辻󠄀さんのハンターのような目を思い出すことになるだろう。
ディレクター 富浦花野
線路沿いで列車を待ち構える
頼もしい撮影チーム