北欧の夏! 白夜のフィンランド周遊の旅 撮影日記

- コッコラの朝 散歩道にて
- 太陽が出ていれば幸せ
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北極圏を後にし、一路南へ。ボスニア湾に面する中部の街・コッコラへやってきた。目的は、近郊のカウスティネン村で開かれる、北欧最大級の民俗音楽祭に参加すること。国内外各地の伝統的な歌や踊りが7日間に渡って披露される、野外イベントだ。大小様々なステージが点在し、その傍らでは出番前の音楽家たちがアコーディオンやバイオリンなどを奏でている。子供が舞台に飛び入りしても、みんな朗らか。音楽を心から楽しむ全ての人を迎え入れるお祭だった。
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翌日は旅のクライマックス、白夜の夜行列車の撮影だ。北部の街・ロヴァニエミからやってきた列車にコッコラ駅で乗車し、終点ヘルシンキを目指す。発車時刻は日没とほぼ同じ、夜11時半頃。特別な映像を撮るぞ!と意気込むものの、難しいのは、この先の太陽の動きだ。南下するほど日の出時刻が遅くなるこの時期に、南へ進む私たちは、いつどの地点で朝日を拝めるのか。各駅の通過時刻と各地の日の出時刻を照らし合わせつつ、地球を頭に浮かべてくるくると回してみるが、よく分からない!・・・結果、夜通しで車窓を見つめた。仕方がなく、というより、これが最後の乗車だと思うと毎秒が惜しくて、寝ていられなかった。刻一刻と移ろう空の色は、息をのむほど美しい。太陽は地平線の向こうから光を放ち続け、真っ暗にならないうちに日が昇り始めた。その光景を目に焼き付けて、朝6時半にヘルシンキ中央駅に到着!達成感で疲れが吹き飛んだ。
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「フィンランド人には “太陽が出ていれば幸せ” という感覚がある」――― コーディネーターのこばやしさんの言葉が、私の旅の指針だった。晴れていれば幸せだし、たとえ雨でも、森を歩けば幸せ、ごはんやお酒が美味しければ幸せ、お喋りができれば幸せ。選択肢が多ければ良いとは限らない。福祉や教育の充実が “幸せの国” たる所以かもしれないが、ヒントはもっと身近にあるはず。数週間で知り得ることは限られているが、この旅で出会った人々から、しなやかに暮らす術を教わった気がした。
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帰国した日、久しぶりの暗い夜に浸りながら、極夜のフィンランドはどんなだろう?と、次なる旅を思い描いた。
- ディレクター 富浦花野

- 本番に向けてリハーサル

- 夜行列車乗車前のスタッフ一同