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ベトナム南北縦断1800キロの旅 撮影日記

深夜のホーチミンの路上
撮影前夜
今回のベトナム編では、久々に国内の制作スタッフでロケに臨む。カメラマンの平林さんは「車窓」経験者でとても頼りがいがある。サブカメラマンの青木くんは年も近く親しみやすい。二人の存在は心強かった。とはいえ自分は初の海外ロケ。おまけに“インドア派”で旅行自体さほど得意でもないので、いささか緊張していた……。
2月初旬。ホーチミンにあるタンソンニャット国際空港に降り立った。時刻は23時を過ぎていたが、空港の外に出ると、到着を待つ人や車が溢れかえっていて圧倒された。そして南部のホーチミンは常夏の気候。厚手の上着を脱ぐと自然とテンションが上がった。コーディネーターの新妻さんと、ベトナム外務省のズオンさんがハイエースで迎えに来てくれていたので合流する。この国では外務省の人が撮影に同行することになっている。ドライバーはドゥンさんという方で、南部エリアでは彼が運転してくれるとのこと。無事メンバーが揃ったからなのか、この暑さのせいなのか、気づけば緊張はなくなっていた。
市内のホテルに移動した後、遅めの夕食を取ることになった。すでに深夜0時を回っていたので簡単に済ませたい旨を新妻さんに告げると、「近くに“サークルK”がありますよ」と教えてくれた。予想外の店の名に少し驚きつつも、そこに向かうことに。夜の街を歩くと、路上には沢山のバイクや屋台が並び、大勢の人がたむろしていた。どうやら日中暑いホーチミンでは涼しい夜に人々が集うらしい。見慣れない光景に、またしてもテンションが上がった。
ちなみに私が買ったのは「333」というベトナムのビール1缶に、肉まん1つ。「旅に来てこんな素朴な食事かよ!」と思わないでもなかったが、ホテルのテラスにある小さなテーブルを皆で囲み、夏の夜風に当たりながら食べたこの味は、異様に美味しく感じた。明日は朝9時にサイゴン駅を下見した後、ホーチミン市内での撮影が待っている。一体どんな日になるのだろうと、珍しく心が弾んだ。
ディレクター 寺村 南希
夜のホーチミン市民劇場前
市内を走る列車