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ベトナム南北縦断1800キロの旅 撮影日記

サイゴン駅
ベトナムの旅、はじまる
旅のはじまりの舞台ホーチミンを訪れたのは、ちょうど旧正月の時期だった。この期間は大勢の人が移動するため、鉄道のダイヤがいつもと違う。列車の撮影は、番組の命。正確な時刻表を確認するため、我々はまずサイゴン駅に足を運ぶことにした。駅に着いたのは朝の9時前だったが、車から降りるとすでに日差しが眩しかった。こじんまりした佇まいの駅前にはヤシの木が並んでいて、葉が風でゆらゆらと揺れている。南国らしい風景に触れ、早くも楽しい気分になった。
駅長が不在だったので、代わりにホーム付近にいた駅員に話を聞くことにした。列車の運行についていくつか質問したが、ちょっぴり無愛想な受け答え。あまり歓迎されていないのかなと思ったが、日本土産の「鉄道ボールペン」を渡すと、とびきり素敵な笑顔を見せてくれた。ちなみに「列車の遅延情報を逐一確認できるようにしたいので、誰か紹介してくれませんか?」と尋ねると、「わが統一鉄道は時間に正確なので、遅れることはありません!」との答えが返ってきた。
サイゴン駅の後は、いよいよ街の撮影。ドライバーのドゥンさんにお願いし、高層ビル群のエリアに向かってもらう。ベトナム最大の都市であるホーチミンは、急速な発展を遂げていると聞いていたが、車から見える高い建物の数々は想像以上の迫力で、思わず驚嘆の声を出してしまった。そしてもう一つ、バイクの量に圧倒された。本当に渦の中にいるようだった。それでも今日は休日なのでまだ少ない方で、平日はもっと多いというから驚きだ。
そんな中、学生服を着た若者たちのバイクに目が留まった。ペダルがついていて、見た目が普通のオートバイとは少し違う。早速彼らに話しかけてみると、それは「電動二輪車」(最大容量4kW以下、最高設計速度50km/h以下のもの)というものだと教えてくれた。彼ら曰く「排気ガスが出ないのが良いんだ」とのこと。すると我々の目の前を1台のバイクが横切った。タイミング良く煙がブロロと吹き出る。その姿を見た高校生らは「こういうこと!」と指をさして笑っていた。
ディレクター 寺村 南希
高層マンション群
高校生が乗っていた電動二輪車