ベトナム南北縦断1800キロの旅 撮影日記

- ドラゴンフルーツ畑で作業する女性たち
- ドラゴンフルーツ畑との出会い
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撮影4日目。車が故障した。ベトナム南部を移動するのにチャーターしていた車だ。この日は「1.早朝にムイネーの漁村を訪れ」、「2.ドラゴンフルーツ畑で列車の走りを撮り」、「3.ビントゥアン駅で列車に乗車する」というなかなかハードな予定だった。効率良く動かないと上手くこなせない。一瞬不安になったが、「なんか旅っぽくなってきたな」と内心楽しい気持ちにもなっていた。
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ムイネー漁村は宿泊先から近かったこともあり、無事撮影を終えることができた。8時半に再びホテルに戻ると、車の修理の人が来ていたが、まだ時間がかかるとのこと。急遽大型タクシーを手配することに決めた。この後は30kmほど離れたビントゥアン駅周辺に移動し、列車の走りを撮影する。ビントゥアンはドラゴンフルーツの有名な産地。独特な外貌のドラゴンフルーツ畑を背に列車が走るシーンは是非とも撮りたかった。
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ベトナムは列車の本数が少ないため、1本1本の走りがとても重要になる。幸い、頼んだタクシーは9時に迎えに来てくれるというので、なんとか間に合いそうだった。しかし安堵したのも束の間、その車は30分遅刻してやってきた。「南部の人はのんびりしてますね......」とコーディネーターの新妻さんがつぶやいた。私ものんびり屋なので気持ちはわかる。わかるが、致命的な遅れだった。前日に目をつけていたポイントで撮りかったが、どう考えても無理そうだ。仕方なく「グーグルマップ」を使いながら、別のドラゴンフルーツ畑に向かうことに。この際、贅沢は言わない。そんな気持ちだった。
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列車通過予定の10分前に目的地に到着。すると思わぬものが我々を待ち構えていた。実は、昨日の段階ではどこを探しても収穫後の畑しか見つけられなかったのだが、そこにはドラゴンフルーツの赤い果実が溢れんばかりに実っていたのだ。あまつさえ何やら作業する人たちまでいるではないか!その偶然の出会いに胸が高鳴った。アクシデントがプラスになる。そんな旅の醍醐味らしきものを早くも味わったのだった。
- ディレクター 寺村 南希

- ドラゴンフルーツ

- 早朝のムイネー漁村