黄金色の秋 ドイツ東部をめぐる旅 撮影日記

- キルヒヴァイ(教会開基祭)
- バイエルンの文化を体感!
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旅もいよいよ大詰め。オーストリアとの国境に接するバイエルン州までやってきた。ミュンヘンの中世のような街並みを走り抜けると、南部はのどかで牧歌的な風景が続く。ドイツアルプスの麓、ムルナウ駅で降りて訪ねたのは「グレントライテン野外博物館」。この地域の伝統的な建物が再現された村になっている。この日は秋の村祭り「キルヒヴァイ(教会開基祭)」が開かれ、甘い揚げパン「アウスツォーゲネ」を食べたり、納屋のブランコで遊んだり、昔ながらのバイエルン文化を体験することができた。
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祭りの目玉は300年以上続くダンスサークルが披露する伝統的な踊り。ダンサーは見学するお客さんにも参加を促す。ご婦人が「踊ってみない?」と私に声を掛けてきた。「旅の恥はかき捨て」とばかりに、ダンスとは無縁だった私も挑戦したが…、案の定、ご婦人に振り回され続けるだけで終わった。それでも「うまかったわ!」と褒めてくれた。積極的に文化を理解しようとすると、いつもポジティブに反応してくれるのだ。困惑する私を撮影していたのは、数時間前に意見の食い違いから険悪なムードになってしまったドイツ人のカメラマン。踊り終わった瞬間、笑顔で何度も肩をポンポンと叩いてくれた。楽しい番組を作るためには、自分たちが楽しむことも重要。雰囲気が良いからこそ、旅先の人たちも心を開いてくれるのだ。
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今回の旅の終着点、ドイツ最高峰ツークシュピッツェの山頂へは登山列車とロープウェイで上っていく。雄大な自然の中を走り、牧場の牛やアルパカ、エメラルドグリーン色の湖を堪能しながら、頂上の展望台まで辿り着いた。標高2962mの頂には、ロープを伝って崖を上らなければならない。かなり怖いが、そこからの景色を見なければ旅を終われない気がした。まだ雪の残る足場を一歩一歩踏みしめて、金色の十字架が光る頂上へ。見渡すと、アルプスの山々と雲海が果てしなく広がっていた。カメラを構えても、手が震えてうまく撮れなかったが、撮影スタッフは笑ってくれていたのが幸いだった。素晴らしい旅にしてくれたドイツ在住のスタッフと旅人たちに感謝です!
- ディレクター 小峰 康平

- 祭りのダンスサークル

- ツークシュピッツェ山頂