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ニュージーランド南島 大自然と動物に出会う旅編 撮影日記

雄大な自然に圧倒されるトランツ・アルパイン号
大自然のパノラマ
このロケで楽しみにしていたことの一つが、ヘリコプターを使った空撮だった。ニュージーランド南島の魅力は何と言ってもダイナミックな大自然。その魅力を最大限に伝えるため、今回は4本の路線の空撮を予定していた。ニュージーランドは、氷河の遊覧飛行やホエールウォッチングなどヘリコプターを使った観光ツアーも多く、空からの撮影がしやすい国といえる。しかし、空撮は天候に大きく左右され、なかには風が強めの日にギリギリ撮影を決行できたこともあった。結果的に4本とも空撮が出来て本当に幸運だった。
島の東の海岸線を走るコースタル・パシフィック号。列車を待ち構えようとヘリで海上を移動していると、大海原にゴマ粒程の大きさでイルカの泳ぐ姿が見えた。残念ながらカメラには収められなかったが、初めて見る野生のイルカに心躍った。クライストチャーチからサザンアルプスの山並みを越えるトランツ・アルパイン号を撮影した時も、自然のスケールの大きさに圧倒された。緑で覆われた山並みに、氷河が流れ込んだミルキーブルーの川の流れ。その美しいコントラストのなかを列車が走っていく様は、ニュージーランドならではの絶景だった。そしてダニーデンから出発した、シーサイダー号とタイエリ峡谷鉄道。海沿いを走るシーサイダー号は、海を埋め立てて敷かれた線路を走る。実際、空から見るとまるで海の中を走っているようだった。ほかの国にはなかなか無い特別な列車だと思った。タイエリ峡谷鉄道は、その名の通り深い谷間を走る列車。美しい渓谷の景色に夢中になっていると、突然機体が揺れたことがあったのだが、谷間は予測しきれない気流があるのだという。自然の力を肌で感じる体験となった。
どの路線を撮影していても感じたことは、車窓から眺める風景も素晴らしいが、空から大自然の中を走る列車を客観的に見ることが出来る空撮は、やはり特別な景色だということ。そして大パノラマの中では列車はマッチ棒のように小さく細い。私たちは自然の中に住まわせてもらっているのだと改めて思った。
ディレクター 福良 美佳
海沿いを走るコースタル・パシフィック号
好天に恵まれ空撮に臨む