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ローマ発 真夏のイタリア縦断1500キロの旅 撮影日記

ナポリ行きの車内、テーブルにはパニーニが
パニーニとパニーノとパスタ
今回イタリアで乗車した列車には、残念ながら食堂車や車内販売がなかった。けれど、イタリア人が車内で昼食をとる様子は、ローカル列車であってもよく見かけることができた。そこで圧倒的多数で乗客が食べていたのが“パニーニ”。パンに具材を挟んで食べる、日本で言うおにぎりのようなものだ。駅で買ったり、家で手作りしたものを持ち込んで、家族や友人と一緒に食べていた(少数派はピザやサンドイッチ)。ジェノベーゼソースをつけながら食べる工夫をしている家族連れもいて、それぞれ家庭の味があることもうかがえた。
手軽に食事を取ることが出来るため、私たち撮影チームも、何度かパニーニで食事をすませることがあった。朝、バルのショーケースの中を見ながら「私、このパニーニにします」とコーディネーターさんに伝えると、「パニーノね」と返ってくる。聞けば、パニーノは単数、パニーニは複数なんだそう。
日本では、パニーニが広く使われており、広辞苑や大辞林などの辞書にもパニーニで載っている。私は今回初めて知ったのだが、調べてみたらパニーノも使われており、単数、複数を使い分けない日本では、どちらも混在しているようだ。
車内の食事で多かったのは圧倒的にパニーニだったが、普段の食事はやっぱりパスタが定番。地域によって、色々な種類のパスタが食べられているイタリア。私が出会った中で、すごく印象的だったのが、トスカーナ地方でよく食べられるという“ピーチ”というパスタ。見た目はまさに“うどん”。塩味のピーチのパスタを頼むと焼うどんに似たものが出てくる。触感はモチモチでうどんに遠からずなのだが、本場イタリアのパスタはアルデンテ。モチモチの奥にかすかに残る芯の歯ごたえが、絶妙な茹で加減で絶品。食べ応え十分で一皿で大満足だった。しかしイタリア人にとってパスタは前菜。この後にメインを食べるというのだが、2週間の滞在で、パスタの後のメインを頼んだことは1回くらいしかなかった。しかもパスタもメインもみんなでシェア。夕食をとる度に、イタリア人の胃袋に感服する日々だった。
ディレクター 福良 美佳
うどんのようなパスタ”ピーチ”
南イタリアの村で食べたパスタ”パッケリ”