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ローマ発 真夏のイタリア縦断1500キロの旅 撮影日記

南を目指すバカンス客で混雑するナポリ駅
イタリア人の夏休み
ローマからフィレンツェへ向かい、トスカーナの旅が終わると、今度はローマからナポリへ南下して、シチリア島を目指す旅がスタート。ナポリ駅を出発したのは、ちょうど8月1日だったのだが、前日とは打って変わって、駅も車内も大混雑。みんなスーツケースを抱えバカンスに向かうのだと言う。イタリアの夏休みが本格的に始まったのだ。
ナポリから南へ向かうバカンス客のお目当てはビーチ。イタリアでは、山好きは北、海好きは南に向かうんだそう。南イタリアを旅して思ったことは「とにかく海が綺麗!」。薄い空色からコバルトブルーへとグラデーションを見せる透き通った海を見ると、入らずにはいられないのがすごくよくわかる。沿線の海には老若男女問わず、たくさんの人々が訪れていた。ビーチを楽しむイタリア人の1日は、昼頃に起きてビーチに向かい、肌を焼いては火照った体を冷やすため海に入る。その繰り返しだ。
イタリアのビーチには、〈リド〉と呼ばれる海の家があり、日本と同じように食事ができたり、ビーチ用品を借りたりすることが出来る。さらに、イタリア独特のシステムもある。子どもがいるファミリーの多くは、学校が夏休みになる6月から8月までの3ヶ月間、この海の家で、シャワーやロッカー、パラソルとチェアをまとめてレンタルする。これを利用すれば、毎日快適にビーチでの時間が過ごせるという仕組みだ。コーディネーターもドライバーも、子どもの頃は良く利用したと言っていた。
昼間はビーチで過ごして、涼しくなってきた夕方から夜にかけてが、街での活動時間となる。それは大人も子供も同じで、夜遅くレストランで食事する楽しげな家族連れをよく見かけた。それもあってか、イタリアでは夜のイベントが多い。ある港町で、夏祭りがあると聞いて訪ねてみたら、夜の10時過ぎだというのに、どんどん人が集まってきていて、バンド演奏も大いに賑わっていた。「暑いから日の出ている時間にイタリア人は出歩かないんだよ」とのこと。気候に合わせて暮らすイタリア人の明るく陽気な姿が、とても素敵だった。
ディレクター 福良 美佳
地元の人が憩うパエストゥム近くのビーチ
地元の人が憩うパエストゥム近くのビーチ