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ローマ発 真夏のイタリア縦断1500キロの旅 撮影日記

シチリアに向かうフェリー
いざ、シチリア島へ
ローマを出発し、ひたすら南下してきたイタリア縦断の旅もそろそろ終盤。いよいよ最終目的地、シチリア島の旅が迫ってきた。私たちが向かっていたのは、イタリア半島のつま先にある、ヴィッラ・サン・ジョヴァンニ駅。そこから島に渡るのだが、ちょっと珍しい方法で移動する。ヴィッラ・サン・ジョヴァンニ駅は港のすぐそばにあり、列車ごとフェリーに乗込み、シチリア島へ渡るのだ。鉄道好きなら一度は体験してみたい、他ではなかなか無い鉄道旅だ。
しかし、いざヴィッラ・サン・ジョヴァンニ駅に到着すると、多くの乗客が降りていく。どうしてなのか聞いてみると、別のフェリーに乗り換えてシチリア島へ渡る方が、早く到着できるのだと言う。旅路を急ぐ人、のんびりと移動時間を楽しむ人、旅のスタイルは人それぞれ。私たちの隣に座っていた新婚だというカップルは、くつろぎながらフェリーに乗り込む時間も楽しもうとしているようだった。
駅に到着すると、電線の無い船内に車両を運びこむため、運転席がディーゼル機関車に付け替えられた。船へ積み込む瞬間を捉えようと、私たちは列車から降りてその様子を撮影することにした。長い10両ほどの列車が、飲み込まれるように大きな船へと入っていく様は圧巻。およそ30分で、車輛は2つに切り離されフェリーの中へすっぽりと収まった。
列車の積み込みが終わると、乗客たちはすぐにデッキへ向かう。目指すメッシーナ駅まで、わずか9キロ、30分ほどの船旅を満喫するためだ。ちょうど薄暮の時間で、海や徐々に近づいてくるシチリア島が薄紫色に染まり、何とも言えない風情だった。先ほどの新婚カップルも、身を寄せ合いロマンティックな雰囲気を味わっている。潮風に吹かれながらそんな人々の様子や景色を撮影していたら、あっという間にメッシーナに到着してしまった。
翌朝、いよいよシチリア島の旅の始りだ。まずは島の東海岸沿いを南下する。目も覚めるほど美しい紺碧の海が私たちを迎えてくれた。これからシチリアでどんな出会いが待っているのか、胸が高鳴った。
ディレクター 福良 美佳
2つに分けてフェリーに積む
シチリアの玄関口メッシーナ