黄金色の秋 ドイツ東部をめぐる旅 撮影日記

- 玉ねぎ祭りの屋台
- ワイマールの大イベント「玉ねぎ祭り」
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ザクセン州から西へ、森と平原が広がるテューリンゲン州のワイマールに辿り着いた。ワイマール憲法やゲーテやシラーの住んだ「古典主義の都」として有名な街だが、規模は人口6万ほどと思ったより小さい。しかし毎年、秋の3日間に渡って開催される「玉ねぎ祭り(ツヴィーベルマルクト)」になると街は一変。大勢が押し寄せ、鉄道駅から市街地まで行列が伸びていた。360年以上の歴史があり、20万人が集うというから、ドイツ人の祭り好きには驚かされる。
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秋に収穫される玉ねぎは、ドイツの秋を象徴する野菜。この祭りは冬に備えて野菜を買い込む「市場」が起源とされるが、今、皆が買い求めるのは、花を編み込んだ「玉ねぎ飾り」だ。大玉10個以上を使って作られたものもあり、持つとズシリと重い。季節の縁起物として家に飾られ、ゲーテも常連だったことから勉強机に備え付けて願掛けする人もいるそう。1つ1つが店の手作りで、小玉を使ったアクセサリーから玉ねぎのゆるキャラのようなものまで、種類も豊富で見ているだけで楽しかった。
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ドイツの秋の名物料理「玉ねぎケーキ(ツヴィーベルクーヘン)」を売る店もあった。塩味の効いたキッシュのようなもので、秋限定の発酵途中のワイン「フェダーヴァイザー」と合わせるのが定番。甘みの強いジュースのようなワインと塩味のケーキの相性は抜群!つい撮影中にワインが進みそうになったが、「甘みに隠れて、アルコールも強いから気をつけて」と注意を受けて留まった。
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毎年決められる「玉ねぎ女王」とも待ち合わせをしていた。祭りの雰囲気と合うか不安だったが...、やってきた女王は、玉ねぎの形をしたドレス、玉ねぎを使ったブローチと髪飾りを身にまとい、祭りのシンボルにふさわしい姿だった。もらった時間は30分。街を歩いてもらうと、握手と写真を求める人だかりが出来て、盛り上がりは最高潮に...。文化都市の違う表情や、真面目なドイツ人のはしゃぐ姿、まさに、この祭りで撮りたかったものが撮影できた。
- ディレクター 小峰 康平

- 玉ねぎケーキとワイン

- 玉ねぎ女王