世界の車窓から

トップページ > 撮影日記

黄金色の秋 ドイツ東部をめぐる旅 撮影日記

展示の蒸気機関車
要衝の街・ライプツィヒで楽しむ食文化
旅も中盤を迎え、ザクセン州で最後に訪れたのが「ライプツィヒ」。古くからヨーロッパの交通の要衝として栄えてきた街だ。夕方に到着した私たち撮影スタッフは、まず駅の壮観さに目を奪われた。1915年開業のライプツィヒ中央駅は、83460平方メートルの床面積で、広さはヨーロッパ最大級。カフェや本屋はかつての待合室を改装したものでレトロな雰囲気がそこかしこに残り、駅自体が観光地になっているそう。ホームには特急列車からローカル列車まで、いろいろな列車が次々に発着。中には、常設展示される蒸気機関車の姿もあり、巨大な鉄骨アーチの下は、まるで列車の博物館のようで良い画になった。通勤や通学で帰ってきた人々はトラムに乗り換えて街へと向かう。夕焼けと中世の街を走るトラムのコントラストが綺麗だったので、少し粘って撮影し、ホテルのある市街地に着く頃にはすっかり暗くなっていた。
この街に来たら、夕食でぜひ行ってみたかったのが、1905年に建てられた新市庁舎だ。重厚な建物の1階の看板には、地下食堂を意味する「Ratskeller(ラーツケラー)」とある。ドイツでは大体、主要都市の市庁舎には地下食堂があって、それを改築したレストランなっている。昔から、遠くからきた旅人は市庁舎に行けば、その土地の美味しい料理が食べられるので、「迷ったらラーツケラーへ」と言われていたそうだ。
撮影しながら旅をする私たちも、その風習に倣ってやってきた。この店で醸造された地ビールの中から酸味とコリアンダーの香りが効いたライプツィヒ特産ビール「ゴーゼ」とドイツ伝統料理「アイスバイン」を頼む。昔も今もその土地の料理をいただくのは、旅の大きな楽しみの1つ。中世からヨーロッパ各地の人が行き交う要衝の地で、街の歴史とかつての旅人たちに思いを馳せながら味わうのは格別だった。ドイツの都市を訪れたら、皆さんも市庁舎の地下にある「ラーツケラー」に立ち寄ってみてはいかがでしょうか?
ディレクター 小峰 康平
駅中の本屋
夕焼けの中を走るトラム