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reported by
宮嶋泰子
1994年にローマで行われた世界選手権は日本のシンクロが大いなる進展を遂げた大会でした。
ソロで奥野史子さんが笑わない演技「夜叉」で芸術点10点を4人の審判からもらい、日本人としては初の銀メダルを獲得しました。
その流れで、奥野史子、立花美哉の二人で泳いだデュエットも銀メダルを獲得
日本のシンクロが世界の頂点に向けて大いなる一歩を記した大会でした。
奥野史子さん
大会3日目、ソロの決勝が行われました。
前日に行われたソロ予選では、足立夢実がなんと6位発進。
最後のエレメンツで失敗したこともあり、エクスキューションで8点台が出てしまいました。
日本のシンクロの歴史において、予選の結果とは言え、6位はかつてない悪い成績と言わざるを得ません。
カナダ復活の予感を感じさせるほど、カナダがいい流れで着々と成績をあげるなか、日本には逆風とも言える嫌な風が流れはじめています。
採点競技というのは、審判たちの持つイメージがものを言います。
「なんだ、日本はたいしたことないな」という印象が付いてしまうこと、審判たちはどんどん下位の点数を出す勇気を持ってしまうのです。
15年間に日本躍進の元となったローマの地で、日本は世界のトップから転落してしまうのか、ソロの決勝の模様を今日も元世界チャンピオンの立花美哉さんに、演技順に沿って、解説していただきましょう。
元世界チャンピオン立花美哉の眼 その4
7月20日「ソロ・テクニカル決勝」
立花美哉さん
総評:
ほとんどの選手に言えることですが、今日の決勝は少々パワーダウンしているように感じられました。
連日の快晴、灼熱で、大会3日目にして、選手たちがかなり疲れているように見えます。
暑さで体力を奪われるうえに、さらに、種目数が増えているためです。
前回のメルボルン大会からテクニカルとフリーの二つで決勝を争う形になりました。最も多い選手ですと、ソロのフリーとテクニカル、デュエットフリーとテクニカル、チームのフリーとテクニカル、フリーコンビネーションそれぞれ予選と決勝を泳ぎますから、13回も演技をすることになります。
種目数が増えてからはじめての屋外と言うこともあり、選手やコーチの疲労はかなりのもののようです。
★
ウクライナ
ダリア・ユシコ (24歳)
ダリア・ユシコ
ウクライナの選手の実力はぐんぐん上がってきています。
ユシコはソロの選手としてはかなり名前も売れてきていて、ウクライナの台頭を象徴する選手です。
大きな身体ですが、体の芯から動かしているので、スケールがより大きく見えます。
今回の世界水泳のように屋外のプールでは、スケールの大きな動きが見栄えがします。
予選よりもエレメンツに関しても大きなミスがなく、ナイト以外は巧くまとめていました。
★ スペイン
ジェマ・メングアル (32歳)
ジェマ・メングアル
今回の世界水泳で念願の金メダルを狙っています。
本命はソロ・フリーでしょうが、このソロ・テクニカルでも技術の正確性をアピールしておきたいところでしょうが、今日は、エレメンツにおいて、コンバインドスピンと最後のバラクダスピンが正確さを欠いていたので、エクスキューションが伸びませんでした。
メングアルの素晴らしさの一つ、指先や体から放たれるオーラが会場を魅了していた。
★ ロシア
ナタリア・イシェンコ (23歳)
ナタリア・イシェンコ
彼女の素晴らしさはエレメンツの正確さです。
エレメンツが正確なだけではなく、ダメ押しが利いているとでもいうのでしょうか、これでもかと強調する方法が上手です。
自分はこれだけできるという見せ付け方が巧いですね。
イシェンコしかできない6回転スピンは見事の一言です。
しかし珍しく今日はラストのバラクダの軸がずれてしまいよれてしまっていました。
★ イタリア
ベアトリッジ・アデリッジ (20歳)
ベアトリッジ・アデリッジ
立ち姿から非常に存在感があり、優雅さを感じさせる演技でした。
以前はかなり太めでしたが、体重を10キロ以上落としてきたのではないでしょうか。
その成果がしっかり現れ、元来のよさが存分に発揮されていました。
膝関節の使い方がとても柔らかく、印象に残っています。
試合前の練習では、最後の最後までプールでチェックを行っていて、プールから上がるように指示されても残っていました。
地元ローマの大会で少しでもよい成績を残したいと言う強い気持ちがすべてに現れていたように思います。
手の動作の使い方や表現力には彼女独自の世界観があり、ソリストであると言う印象をあたえられました。
今日はエレメンツにおいて、不安定さが数箇所見られ、予選よりも少しパワーダウンした感がありました。
★ カナダ
マリーピエール・ブドォローガニオン (26歳)
マリーピエール・ブドォローガニオン
目ぢから、立ち姿にとても力強いものを感じさせます。
今回が表彰台にあがれるラストチャンスということでかなり気合が入っている様子がわかりました。
そして彼女は独自の世界観を持っており一度見たら印象に残る選手である。
彼女の素晴らしさの一つに立ち泳ぎの高さがあります。
水面で飛び上がったあと、静止することができるので、映像が眼に焼きつくクリアーさをもっています。
エレメンツの倒立系のものにヨレがが見られましたが、最後のバラクダは意地でまとめました。
今回カナダは非常に勢いに乗っており、彼女自身もとても自信をつけている印象を受けました。
★ 日本
足立夢実 (20歳)
足立夢実
前半はとても丁寧にこなそうとしていました。
昨日の予選では6位と失速してしまいましたが、今日は昨日よりは良かったように思います。
ただ、彼女らしい空間に浮き出るような高さはいまひとつ見えませんでした。
もっとできるはずです。
世界で戦うためにはただ高いだけではなくて、驚く高さでないと戦えないんだなと言うのが今回の印象です。
<宮嶋 泰子>
それではまず、ソロ決勝の結果をごらんいただきましょう。
この回から、審判構成の国の表記がFINA(国際水泳連盟)から発表されなくなってしまいました。方針が変わったようです。
結果
1位 イシェンコ (ロシア)
EX:
9.8
9.8
9.9
9.8
9.9
OI:
9.9
9.9
9.9
9.9
9.9
2位 メングアル (スペイン)
EX:
9.8
9.7
9.8
9.7
9.8
OI:
9.8
9.8
9.8
9.8
9.8
3位 ブドォローガニオン (カナダ)
EX:
9.6
9.5
9.6
9.6
9.6
OI:
9.6
9.7
9.6
9.6
9.6
4位 アデリッジ (イタリア)
EX:
9.5
9.3
9.5
9.5
9.3
OI:
9.5
9.5
9.2
9.5
9.5
5位 足立夢実(日本)
EX:
9.4
9.3
9.3
9.4
9.3
OI:
9.3
9.3
9.4
9.4
9.3
6位 ユシコ(ウクライナ)
EX:
9.3
9.2
9.4
9.3
9.4
OI:
9.4
9.2
9.3
9.1
9.4
表彰式
1位ロシア、2位スペイン、3位カナダ
日本の大会では、屋外のプールで大会が行われることはほとんどなくなってしまいました。
25年ほど前までは日本選手権なども屋外で行われていたのですが、今は東京辰巳の水泳場で行われるのがほとんどになってしまいました。
しかし、欧米ではシンクロは屋外プールで試合が行われることがとても多いのです。
バルセロナ五輪、世界水泳バルセロナ、アテネ五輪、世界水泳モントリオール、世界水泳ローマ、これらを見ても明らかです。
ヨーロッパ選手権なども同様に、屋外で行われることが多く、温暖化の進む真夏に、気温40度近いなかでずっと座り続ける審判たちは悲鳴を上げています。
そんな審判たちの眼を覚まさせるような演技がきっと必要なのでしょうね。
屋外のプールでは空が広々としていて空間が大きく広がっています。
ソロの選手はダイナミックな演技をしなくてはこの空間の中で自己をアピールすることなどできません。また、大柄な選手が映えるのも道理です。
こうした条件の中で、159センチの身長の足立選手がめいっぱいがんばりました。
初めての世界大会ソロで、がちがちに緊張している様子もわかりました。
世界に行けば、条件はさまざまです。
タフな日本人を目指しましょう!
ソロテクニカルが終了し、いよいよデュエットが始まります。
明日はデュエットテクニカルの様子をお伝えいたします。
世界水泳ローマ2009公式HPはこちら >>
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