世界水泳2009

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reported by
宮嶋泰子

もうすぐ世界水泳シンクロが始まります。
シンクロの歴史四半世紀・名選手ベスト6！

1984年のロサンゼルス五輪から正式種目となったシンクロナイズドスイミング。このときから取材を始めて、今年でなんと25年になります。四半世紀シンクロの歴史を見てきたことになりますが、今日は私の心に残る6人（組）の選手をご紹介いたしましょう。

心に残る選手　その1
奥野史子さん（日本・ソロ）

まず最初は1992年バルセロナ五輪で3位になった奥野史子さん。昨年の北京五輪では陸上競技100mの朝原選手の奥様としてかなりクローズアップされていたので、ご存知の方も多いと思います。奥野さんの何が凄かったかといえば、その類まれなる瞬発力で見せる技の数々です。水の中からすさまじい勢いで飛び上がってくるのです。以前、奥野さんのふくらはぎを触らせていただいたことがありますが、ふだんはふにゃふにゃですが、力を入れると、きゅっと硬くなる見事な筋肉でした。水の中のスプリンターですね。シンクロ選手であんな筋肉をした人を初めて見ました。

さらに、世界中をあっといわせた演技が「夜叉」でした。以前、ロシアの名監督ポクロフスカヤさんにインタビューをしたときに、「あの演技はすばらしかった！」と絶賛されていました。「夜叉」は、シンクロの歴史を変えた名演技だったのです。シンクロといえばそれまではニコニコ笑って演じるものでしたが、夜叉は怒りの表情で演じられた作品でした。奥野さんはどちらかといえば「公家顔」なので、表情を作りにくいという弱点がありました。そこで、井村雅代コーチが振り付けの方と相談して、怒りの表情で演技を構成したという訳です。いつの時代も弱点を生かしていく「逆転の発想」が重要ですね。

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心に残る選手　その2
エルマコワとダビドワ（ロシア・デュエット）

ロシアのエルマコワとダビドワのロシアデュエットは、7年間世界のトップに君臨していました。アテネ五輪と北京五輪で優勝し、シンクロの歴史始まって以来の五輪二連覇を達成しました。このロシアデュエットも、シンクロの歴史を大きく変えました。最初から最後まで、まるでサイボーグのようにリズムを刻んで激しい動きを続けるのです。芸術面はほとんど無視と言ってもいいほど、動きの激しいスポーツシンクロに徹して審判にアピールするのです。口の悪い人は「どんな曲に変わったって同じ演技なんだから！」と言っていましたが、彼女たちが世界一の座についてから、それを理想として追い求める国々が増えてきたことは確かです。

エルマコワとダビドワがデビューをしたのは2001年の世界水泳福岡大会で、そのとき二人は18歳でした。大会直前に、私はモスクワの彼女たちのクラブに取材に行ったのですが、その時のことが忘れられません。「日本って、洗面所の水が手をかざすと自動的に出るって本当？」「地面が揺れるって聞いたんだけれど、どんな感じになるの？」などなど、18歳の瞳をきらきらさせて質問してきたのです。あれから8年間、二人は世界中を転戦しダビドワは身体中に蝶が舞う刺青をし、人前ではほとんど笑うこともなくなってしまいました。

エルマコワとダビドワは二人とも名前がアナスタシアです。同じ歳で同じ名前、なんだか運命を感じる二人ですよね。そういえば、今年の夏の2009年世界水泳ローマでデビューする日本の乾友紀子と酒井麻里子の18歳デュエットも誕生日が一日しか違わないので「なんだか運命感じてます。」と言っています、デュエットを組む二人には不思議な縁があるのかもしれません。

この続きは次回、
「宮嶋泰子・シンクロ取材暦25年。心に残る6選手は…　vol.2」で！
　