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心に残る選手 その5
ジェマ・メングアル(スペイン・ソロ) |
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心に残る選手というよりも、今年の世界水泳ローマ大会で最も注目を浴びることになるであろう選手と言ってもいいかもしれません。ソロの優勝を狙うスペインのメングアル。今年32歳になりました。シンクロナイズドスイミングというのは見た目の華やかさとは裏腹にとても苦しい練習を長い時間こなさなければなりません。しかし、スペインには今年30代の選手が3人もいるのです。スペインナショナルチームの日本人コーチ藤木麻祐子さんは「スペインには人生を楽しめる環境がシンクロの日々の練習の中にもあるので、続けられるのではないか」といいます。また、こう付け加えてもくれました。「シンクロを始めて20年ほどたったころから、反復練習だけでは得られないような、水の中で自由に体を動かせる楽しさや快感がわかってくる。30歳を過ぎたころから本当のシンクロの面白さを理解できるようになる」というのです。その意味でメングアルはまさに脂の乗り切った今が盛りの選手といえるでしょう。 |
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今年の世界水泳で挑戦するのはレイ・チャールズが歌う「イエスタデー」です。女性の心を表現していきます。柔らかな身体だからこそできる関節の微妙なアングルが、シンクロを競技から芸術の域に昇華させていきます。芸術的な面では今や右に出るもののないところまできたメングアルですが、心配はただひとつ。技術面で失敗しないこと。それを支えるのが藤木麻祐子さんです。藤木さんにとっても、2003年にバルセロナにわたってから7シーズン目の総決算でもあります。日本人コーチの手で、初めての金メダリストがスペインに誕生するのでしょうか。 |
藤木麻祐子コーチ |
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心に残る選手 その6
ロマーシナとイシェンコ(ロシア・デュエット) |
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今年の世界水泳からみんなの心に強烈に刻み付けられるであろうデュエットです。今年の5月、アンドラで行われた欧州カップで初めて姿を見せたロシアの新世代デュエットが19歳のロマーシナと23歳になったイシェンコです。これまで7年間世界不敗を誇ったエルマコワ・ダビドワに続いて、ロシアがシンクロ界の王者として君臨し続けるために作り上げたデュエットです。これまでソロを泳ぐイシェンコ、チーム要員としてのロマーシナは見てきましたが、170センチを超える二人が一緒になって泳ぐデュエットフリーを初めて見たときは正直ショックでした。
ロマーシナとイシェンコが泳ぐテーマは「シークレット・エージェンシー」。黒のメタリック系の水着で秘密警察を思わせる振り付けで登場した二人は、前任者を髣髴とさせる連続した激しい動きを繰り返し、ロシアがこの7年間で築き上げたスポーツシンクロの系譜をしっかりと受け継いでいきます。大柄な二人が早い動きを立て続けに展開すると、プールの水があふれ出るような迫力さえ感じさせます。
サイボーグのような動きで五輪二連勝をしたエルマコワ・ダビドワと同じようなテイストになっているのは、コーチが同じタチアナ・ダンチェンコということもあるでしょう。ただ、この新世代デュエットを見つめた世界のコーチたちは、口をそろえて、「かつての二人よりも、さらに個人が持っているエレガントさが加味されて、より強力なデュエットになっている」というのです。ロシアデュエットは今後5年間、いや、10年間は破られることがないのではないかとさえ感じさせる迫力がありました。2009年世界水泳ローマで必見の二人です。 |
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