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ベトナム編 撮影日記

ホーチミン市のサイゴン駅 出発を待つ列車
旅の始まり
ホーチミン市の気温は32度と期待どおりの暑さ。入国も通関もあまりに簡単で驚く。ベトナムのロケを手伝ってくれるのは外務省・海外プレスセンターの重鎮タインさん。ベトナム戦争中は人民軍の一員として戦った経験を持つ。ニコニコしながら撮影隊の要望を聞いてくれる彼の過去に、どれほど凄まじい半生があるのだろうか。
戦後37年。近年経済成長著しいと言っても、ベトナムはまだ発展途上国。タインさんによれば、ベトナム人は戦争には長けていたが(フランス、アメリカ、カンボジア、中国と戦った)、国を造る知識はあまりなかったのだという。今では当たり前にアメリカ資本のブランド商品が売られ、若者はスマホやタブレットを持ち、観光地には豪勢なリゾートホテルが立ち並ぶが、水田では人や水牛が労働力だし、ゴミはどこにでも捨てられているし、電気、上下水道、道路などはまだまだだ。積載量オーバーらしきトラックや、交通法規などお構いなしのバイクの洪水、冷蔵庫もなく無造作に屋外で売られる肉や魚。でも、そういう世界は楽しくもあり、居心地は悪くない。
撮影は、まずホーチミンから、列車を乗り継いでハノイへ。メーターゲージの狭い線路。だが、遅れはちょくちょくあるものの、1時間程度と悪くない。原則全席指定で、駅や車内での混乱もなく、空調付き車両が用意されているなど、ある意味期待外れの快適な旅の始まり。青い海、白い砂浜、そしてシーフード三昧が待っているはず。
ディレクター 中村博郎
ホーチミンの街を行き交うバイク群
素朴な雰囲気が漂うムイネーの海岸