世界の車窓から

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ベトナム編 撮影日記

車窓に見ることができたポークロンガライ遺跡
ベトナムの遺跡めぐり
南部から中部に入ると、車窓から見える緑はいっそう深く感じられ、熱帯らしさが増すようだ。朝の光を浴びてきらきらと光る水田で、笠をかぶった人々が水牛を使って土を起こしている姿などが車窓から見える。ニャチャンから先、この国の中世以前の歴史に思いを馳せる機会が多くなってくるのも、楽しみ。
東南アジアの遺跡と言うと、すぐに思いつくタイのアユタヤ、スコータイ。カンボジアのアンコールワット。ベトナムにも遺跡がある。この国の南部には、かつてチャンパという王国が存在していた。2世紀に漢(中国)から独立して建国。9世紀頃に最盛期を迎え、17世紀にベトナム阮朝によって併合された。海洋民族の国で、海辺の街ファンティエットが最後の王朝の地。日本とも交流があったという。
チャンパの人々=チャム族の多くは拠るべき国がなくなったことで、近隣の国々へと去って行ったが、今でもビントゥアン省を中心に約16万人が残っているそうだ。 このチャンパ王国の遺跡が、ベトナムの中~南部に点在している。ニャチャン、クイニョン、そしてダナン近くのミーソン聖域など。その多くは、ヒンドゥー教の宗教施設で、シヴァ神を祀った神殿などが多い。赤褐色のエキゾチックな建物が、緑のヤシの木に囲まれて、真っ青な空に浮かぶ様は、眩いばかり。
それにしても、東南アジアにおけるインド文明の影響、そして民族の多様性について、実はあまり意識したことがなかった。今ごろになって、ベトナムを鉄道で旅するうちに気がつくとは・・・。
ディレクター 中村博郎
ニャチャンにある遺跡 ポーナガル塔
ポーナガル塔のすぐ近くで披露されるチャム族の踊り