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チュニジア~地中海と歴史都市をめぐる旅~ 撮影日記

スファックス周辺、オリーブ畑の中を走る
オリーブ大国チュニジア
列車が走る中部の東海岸、車窓にはどこまでも、どこまでもオリーブ畑が広がる。チュニジアでは農地面積の3分の1がオリーブ畑で、国の主要な産業になっている。紀元前、カルタゴの時代にフェニキア人によって中東からオリーブがもたらされて以来、この地の気候風土に適したオリーブ栽培は、現在まで約3000年に渡り連綿と受け継がれている。
第2の都市スファックスに近づくと、赤茶けた大地に生えるオリーブの木々は、より一層、きれいに整列していることに気付く。まるでマスゲームを眺めているかのような爽快感がある。この辺りには、100年程前のフランス植民地時代に作られた、プランテーションが多い。オリーブの実が熟す12月~2月頃にかけては、一家総出で収穫にあたるというので、オリーブ農園の撮影を予定に組み込んでいた。
撮影当日、いざ農園につくと真っ白な朝霧がかかり視界が悪く、収穫もできないという。露で濡れた実を摘み取ると、そこから菌が入り木を駄目にしてしまうからだ。別日に延期しようかと手をこまねいていた時、農家のお母さんたちから、思いがけないおもてなしを受けた。クスクスを振舞ってくれたのだ。まさに母の味の美味しさ。冷えた朝に外で食べるのも格別で、身も心も温まる。美味い美味いと平らげると、皆とても喜んでくれて、ミントティーまでご馳走になった。そうする間に霧も晴れ、無事に収穫の様子を撮影することができた。
農園では、木の間隔を24mあけている。横に伸びる根っこがぶつからず、栄養を最大限に吸収して良質なオリーブが育つという。オリーブオイルの生産量と輸出量、共に世界有数のチュニジア。近年、半砂漠性気候の厳しい環境で育つチュニジア産オリーブオイルは、ポリフェノール含有量がヨーロッパ産の10倍~20倍あるという研究結果もあり、評価が高まっている。農家の人もオイル工場の人たちも、チュニジア産は世界一だと誇らしげに語る。この土地の恵みと人々の愛情が一滴のオイルに凝縮されている。
ディレクター 太田 健亮
昔ながらの方法で実を選別する
クスクスが苦手なクルーも美味しくいただいた