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スイス編 撮影日記

雪に覆われたアンデルマットの街
「氷河急行、走る」
大雪のサン・モリッツ周辺でアルブラ線の走りを撮影。いよいよ雪の中ばかりの撮影になった。全面、真っ白な世界。山に囲まれた場所では、午前中、山の先端にしか太陽の光が当たらない。撮影部は絞りなどのバランスに相当苦労していた。気温の低いせいでカメラ・バッテリーの消耗もものすごく早い。
サン・モリッツから、ツェルマットまで人気の氷河急行で約8時間の乗車。大きく広い窓のパノラマ車両。明るい光の中、気分は最高だけれど、日に長く当たっていると暑いぐらいになる。以前あまりに暑いので車内で日傘をさす観光客がいて、大ひんしゅくだったという話も聞いた。「氷河」を謳いながら氷河急行は新トンネル建設のせいで車窓から氷河を見ることが出来なくなった。
それは残念な話だけれど、今の季節は冬。雪が積もっていると氷河なのか草原なのかは、なかなか判別できない。実際、氷河急行が標高2033メートルを走る時、傍を通ったオーバーアルプ湖は、どこが湖か全くわからなかった。
氷河急行沿線ではアンデルマットの街が魅力的だった。四方を山に囲まれた、まるで絵に描いたような『スイスの小さな街』。クリスマスのミサをここで撮影した。夜11時過ぎに雪の中を教会に集まってくる人々の姿もしみじみよかったけれど、小さな街はほとんど真っ暗。光量不足で撮影はできなかった。アンデルマット駅前には巨大ホテルが現在建設中。完成したら、この素敵な街は一体どうなるのだろうと思った。
ディレクター  宮崎祐治
絶景が望める氷河急行のパノラマ車両
アンデルマットを出発した氷河急行