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スペイン・ポルトガル 〜初夏のイベリア半島横断の旅〜 撮影日記

建設が進むサグラダ・ファミリア
バルセロナ発 初夏のイベリア半島横断の旅へ!
5月下旬、ついにバルセロナに到着した。3年前、新型コロナウイルスの影響で、私がディレクターを務める予定だった車窓のロケが中止になった。それ以来、待ちわびていた初の海外ロケ。しかもスペインとポルトガルの二カ国を巡る3週間の長旅とあって、興奮を抑えきれない。
初日の撮影は、バルセロナを見渡すモンジュイックの丘の展望台からスタート。近代的な街並みの中にどーんとそびえ立つのは、世界遺産サグラダ・ファミリアだ。想像していたよりずっと大きい。2021年に完成した“マリアの塔”は高さ138m。近くに寄ると、絶賛建設中の様子がよくわかる。巨大な塔の側面にロープで吊るされた人が張り付いて作業をする様に、意外と人力なんだなー、と感心する一方、地下の博物館では、3Dプリンターなどの最新技術を使って設計をする技術者たちも。建設中の現場を見せ、その入場料を次の工事の資金にし、140年以上も続けられてきたガウディの壮大な計画に圧倒されてしまった。
もう一つ、絶対に撮影したかったのが、地中海沿いを走る列車の姿。「世界の車窓から」らしい、列車×風景という映像を撮影するために、欠かせないのが地図だ。地形と線路を見ながら撮影ポイントを探すのだが、この日、カメラマンが目星をつけた場所に行ってみると、なんとそこはヌーディストビーチ。青く輝く海と白い砂浜、生まれたままの姿でくつろぐ人たち…服を着ているのは私たち撮影隊だけである。
現地コーディネーターによると、バルセロナ周辺にはこんなビーチがいくつもあるのだという。しかもヌーディストたちが「ハーイ!今日は何の撮影?」と気さくに話しかけてくれるので、その堂々とした様子に驚く。開放的な彼らを見ているうちに、これこそが生き物としての本来の姿なのかもしれない…とちょっとうらやましいような不思議な気分になる。私がイメージしていたスペイン以上に、陽気でオープンな人たちに出会い、まだ始まったばかりの旅への期待が膨らんでいった。
ディレクター 中村有里沙
最新技術で設計が進む
バルセロナのビーチ