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花とアルプス 初夏のスイス登山鉄道の旅編 撮影日記

トライすること4回、撮影に成功
悪戦苦闘・・・渾身の1カットを撮れ!
「初夏のスイス」という言葉を聞いただけで、青い空と緑の山、そしてキラキラと輝く湖・・・そんな絶景をイメージしてしまうだろう。
しかし実際、そんな美しい景色が1日中楽しめるかと言えばそうではない。天候の安定しないこの時期。ロケ期間中、1日のうちに晴れている時間は半日程度だった。おまけに、晴れている時間帯も午前中だったり、昼過ぎだったりと不安定で、全く天候が読めない。天気予報をいくつかチェックしてみても、「晴れ」「晴れ、一時雨」「雷」などバラバラであてにならない。せっかく晴れているうちに、良い撮影ポイントを見つけても、列車を待っている間に雲が湧いてくる・・・なんてこともしばしば。1時間に数本走る列車ならまだしも、数時間に1本しか走らない列車もある。
一番苦労したのは、モントルーから出発するゴールデンパスラインのパノラマ車両だ。ゴールデンパスラインのモントルー駅とツヴァイジンメン駅を結ぶモントルー・オーベルラン・ベルノア鉄道は観光客を楽しませるために、パノラマ車両やクラシック車両、チョコレート・トレインなどさまざまな列車を走らせている。今回、撮影隊が乗ったパノラマ車両は通常ダイヤで1日6本。おまけに、ちょうど区間工事を行っていたため、ダイヤが変則的になっており、毎日、走る車両と時刻が変わるという状況だった。
ある日、絶好の撮影ポイントを見つけて列車が走るのを待っていた。雲は多いがなんとか晴れている。列車はあと10分以内には通るはず・・・と思いながらカメラを構えていたのだが、やって来た列車はなんとチョコレート・トレイン。時刻表と違う列車が来てしまったのだ。あきらめてカメラを撤収し終えた直後、今度はお目当てのパノラマ車両が平然と通り過ぎていった。これにはスタッフ全員が唖然・・・どうやら直前になって走る列車が入れ替わってしまったらしい。それ以降、何度も撮影にチャレンジしたが、悪天候が続き、なかなか美しい1カットが撮れない。
4日後。日程的にラストチャンスだが、この日も朝から雨。しかし最後まで諦めまいと、撮影ポイントで列車をひたすら待つ。すると、列車が来る直前になって奇跡的に天候が回復していくではないか!四苦八苦の末、雨上がりの花畑の中を走る列車という、想像以上に幻想的な1カットをおさめることが出来たのだった。
ディレクター 岩田有正
来た!と思ったら別の車両
晴れ間の撮影で美しいスイスを切り取る