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スウェーデン・ノルウェー編 撮影日記

停車中の列車の前で歌う女子高生たち
夏の北極圏
ダーラナ地方の中心地ムーラから北極圏の街イエリヴァーレまでは、およそ1070キロの旅。夏限定のスウェーデン内陸鉄道での旅は、さながらイベント盛りだくさんのバスツアーのようだった。昼食タイム、夕食タイムが設定されており、途中で何度もコーヒータイムが入るのもスウェーデン流だ。
停車駅では、名物のオンパレードだ。まず食事で人気なのが、トナカイやムースを使ったメニュー。普通にソテーしたものはもちろん、トナカイシチューやムースバーガーなど、趣向を凝らしたメニューがズラリとある。これを楽しみに大勢の観光客が内陸鉄道の旅にやってきている。さらに、地元の女子高校生が美しい讃美歌を披露してくれたり、先住民族サーメのミュージシャンが伝統音楽を演奏してくれたりと、長い旅路を盛り上げてくれる。
北緯66度33分を越え列車で北極圏入る。夏の北極圏で最も悩まされるのが、蚊の大群だ。大自然の感動もそこそこに、本当にハンパない量の蚊に、じっとしていられないのが現状だ。しかもスウェーデンの蚊は、日本でよく目にするような蚊ではない。大きさは小さいが丸々と太ったまるでハエのようなヤツらに、気がつくと辺り一面取り囲まれているといった具合だ。手足はもちろん、いつの間にか耳の中から髪の中まで刺されてしまう。撮影中、頭がかゆいなと思い、触ってみると流血していることがしばしばだった。黒いものに寄ってくる習性は同じで、カメラ周りはいつもすごいことになっていた。地元の人はどうなのかとふと目を見遣ると、格別気にしているような様子もなく、涼しい顔をしている。とにかく夏の北極圏は、冬とはまた違う自然の奥深さを感じさせてくれるが、蚊の対策はくれぐれもお忘れなく。
ディレクター 松井悟
北極圏に到達したことを示すプレート
途中駅でゆったりランチタイム