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スウェーデン・ノルウェー編 撮影日記

ボードーの港の風景
国境を越えて
北極圏のイエリヴァーレから目指すは、ヨーロッパ最北の駅ノルウェーのナルヴィークである。国境には、ゲートもなければ、税関もない。ただあるのは、トンネルの中の標識だけ。知らなければ、ほとんどの人が気づかずに通り過ぎてしまうだろう。それだけスウェーデンとノルウェーとは、信頼関係で結ばれた間柄なのだ。スウェーデンのキルナで産出される良質な鉄鉱石を、船で世界へと輸出するノルウェーのナルヴィークへと運ぶ鉄の道が、今でも両国の経済基盤の大事な屋台骨を担っていることからも、その友好関係がよく見て取れる。
ナルヴィークは四方を山に囲まれ、まるで要塞のような地形をしている。ナルヴィーク駅はノルウェー国鉄の鉄道網と結ばれていない。鉄道の旅を続けるためにはナルヴィークの南およそ300キロに位置するボードーまで移動しなければならない。車で山を越え、フェリーを乗り継いで辿り着いたボードー駅はノルウェー国内路線網に繋がる最北の駅ということになる。
ノルウェーの海産物は、とにかく美味い。味覚も日本人と似ているのだろうか、生食も好まれている。特にボードーはノルウェー屈指の港町である。ロフォーテン諸島で水揚げされた魚介類が運び込まれてくる。中でも夏の時期に有名なのは、甘エビだ。赤く丸々と太ったノルウェー産の甘エビは、地元の人にはもちろん、観光客のお目当てでもある。しかし取材当日は、残念ながら漁港が休みの日曜日。地元の人からその話をさんざん聞かせられていただけに、実際にお目にかかれなかったことが本当に悔やまれる。
ディレクター 松井悟
ナルヴィーク駅から間近に見える海
車窓を眺めながらナルヴィークへ向かう