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チェコ・スロバキア編 撮影日記

丘の上のブラティスラヴァ城
旅は、スロヴァキアへ
夜8時半、ドイツ・ベルリンからやってきた国際列車でチェコ第二の都市ブルノを出発し、スロヴァキアへと南下していく。チェコ側の国境沿いの駅に着くと、両国の鉄道員が入れ替わった、国境線はもうすぐだ。しかし、ほとんどのヨーロッパの国と同様、この2ヵ国も入国審査を必要としない協定に加盟しているため、国境を越えていることに気付いたのは、時計を見たときのことだった。感慨に浸ることもなく入国。ともあれプラハ出発から2週間、旅はスロヴァキアへと移ったのだ。
北海道の半分より少し大きいくらいの国スロヴァキア。国の東西に連なる山岳地帯には、素朴なヨーロッパの原風景が色濃く残っている。元々、1993年までチェコと同じ国だったが、我々にとってはあまり馴染みがなく、事前に得られる情報も少ない未知の国だ。
旅の起点は首都ブラティスラヴァ。国の最西端に位置し、オーストリア、ハンガリーの2か国と国境を接している。街の撮影をした時期は、ちょうど夏休みに入ったこともあり、観光客でごった返していた。しかし、同じ観光地でもチェコの首都とは随分印象が違う。中世の街並みをそのまま残すプラハに対し、もっと自由な街づくりが成されている。中世から残る歴史的建築物と、社会主義時代の集合住宅、近代的な塔や橋が混然一体となっているのだ。その他にも、アジア人観光客が少ないこと、料理の味付けが濃いこと、同じスラヴ民族でもシャイな人が多いこと(でも話しかけると、みな親切)…など、チェコとの違いが、いちいち嬉しく感じられ、スロヴァキアに入国したことを実感してくる。
列車は、旧チェコ・スロヴァキア共和国時代のシュコダ社製の機関車が多く、客車もチェコと大きな違いはなかった。しかし、その車窓から見える風景は紛れもないスロヴァキアのものだ。大地の向こうには雄大な山々が広がっている。
ディレクター 小峰 康平
スロヴァキアの機関車
車窓には雄大な山並みが