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アボリジナル文化に触れる オーストラリア南部の旅 撮影日記

カメラ目線のコアラ
タワーヒルとコアラ
オーストラリアといえばコアラだ。ぜひともコアラなどの動物の撮影をしたいところ。コアラがいる動物園はたくさんあるが、できれば野生のコアラがいい!調べてみるとメルボルンの南西に位置する海岸沿いの街、ウォーナンブールにタワーヒルという野生動物保護区がある。保護区といっても誰かが常駐していたり施設になっているわけではなく、誰でも自由にハイキングしたりする場所なようだ。よし、ここに賭けてみよう!
撮影スケジュールは列車の時間に合わせて組むので、街での撮影はどうしても時間が限られる。今日の午後はウォーナンブール駅から列車に乗るので、もし午前中に動物に出会えなければ諦めるしかない。朝、どうか見られますように…と祈りながら車で向かった。駐車場に着いたその瞬間「わ!いた!」とドライバーが声をあげる。えー!早すぎる!急いで機材をもって降りると、ちょうどコアラが木から木へ移ろうと地面を移動しているところだった。コアラはあっという間にユーカリの木にスイスイのぼり、気づいたら上のほうだ。筋肉がすごい。食事もしているようだが、葉っぱに隠れよく見えない。そして気づけば寝ていた。そんなコアラの様子をどうにか撮影できてほっとする。よく見ると向かいの木にもいる!あれ、この木にも!みんな寝ている!コアラは1日20時間くらい寝るらしい。朝の活動時間に訪れたといっても、あと何秒か遅れていたら動いているコアラには出会えなかったかもしれない…。
それにしても立派なユーカリの木がたくさんだ。駐車場近くの看板にタワーヒルの説明があったので読んでみると、イギリス統治時代の1892年に国立公園に指定されるが、保全のための管理がされず荒れ果ててしまったらしい。1950年代から、ボランティアによって30万本以上の木や植物が植えられ再び動物が住める場所に復活させたのだ。なるほど、コアラがここまで集まった理由は、計画的にユーカリの木をたくさん植えたからかもしれない。
看板には30分~1時間のハイキングコースもいくつか載っており、他の動物を探すために丘の上まで登ってみた。カンガルーも探したがこの日はいなかった。でも、かわいいエミューをたくさん撮影できて大満足。コーディネーターは「ぜひハリモグラも見てほしかったなあ」と言いながら少し悔しそうに車に乗り込む。ハリモグラは、卵を産む非常に珍しい哺乳類。なかなか見かけないが、とてもかわいいらしい。タワーヒルの出口に近づいたとき、コーディネーターが声をあげた。「あっ!ハリモグラ!」えー!急いで降りると道路わきの木の近くでのそのそ歩いているハリモグラがいた。なんてラッキーな1日だろう!オーストラリアならではのかわいくて珍しい野生動物の魅力が伝わる回が放送できそうだ。
ディレクター 安部 真理恵
人間に近づくかわいいエミュー
最後に見つけることができたハリモグラ