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アボリジナル文化に触れる オーストラリア南部の旅 撮影日記

最初の入植地ロックスとビル群
隣のアボリジナル
会社を出る2時間前、上橋菜穂子さん著作『隣のアボリジニ』をあとがきまで読み切った。読めてよかったと思いながら、夜の便でオーストラリアに向かった。
いろいろな国を旅行してきたが、オーストラリアは初めて。カンガルーのイメージしかなかったが、調べていくと非常に歴史の長い国だとわかる。恥ずかしながら、初めて“アボリジナル”という言葉を知った。6万年前から大陸に住んでいた人々。かつては“アボリジニ”と呼称されていたが、いまは差別的な用語とされ“アボリジナルピープル”と呼ぶのが一般的だ。そして、彼らは今も”オーストラリア”に暮らしている。
シドニーという大都会で、あえてアボリジナル文化を取り上げてみたいと予約したアボリジナル文化ツアー。楽しみにしていた当日、バランガルー地区に向かう。待ち合わせ場所は、6つ星ホテルの足元にあるめちゃくちゃ整備された公園だ。ガイドとしてやってきたポーラは、両親が俳優で撮影慣れしているらしく協力的で頼もしい。何より話が面白い。
“バランガルー”は、開拓時代によく知られたアボリジナルピープルの女戦士からつけられたそうだ。ただのコンクリートだった場所を2000年に州政府が再開発し、かつての緑を再現した場所というわけだ。特に面白かったのは、ゴールデンワトルという植物。手のひらの上で潰し水を含ませてから擦ると、なんと石鹸になる。さらにその泡を池や川にいれると、麻痺効果で一時的に魚が動かなくなるというのだ!魚は死ぬわけではないので、必要な分だけ採ってあとは池や川に戻るらしい。彼らは、とてもサステナブルな文化をもっていた。採りすぎない。足跡もつけない。そして、誰も住んでいないと思い込んだイギリス人が乗り込んできた。
ポーラと別れたあとすぐ、彼女のお母さんの名前“Christine Anu”で検索すると、ものすごく長いWikipediaのページ。なんとお母さんは、シドニーオリンピックの閉会式で歌ったほどの国民的歌手だったのだ!もちろん、番組の音楽に使わせてもらった。
ディレクター 安部 真理恵
ガイドのポーラ
ポーラがその場で作ってくれたブレスレット