アボリジナル文化に触れる オーストラリア南部の旅 撮影日記

- 古の地を走るマリユン
- 古の地を走る
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先住民のアボリジナル文化を初めて知ったわたし。驚いたのは、”アボリジナルピープル”という名前の民族はなく、実際には言語も違う250ほど(!)の民族が、大陸のなかで国のように隣り合って暮らしていたということ。確かに、日本の20倍もの広さのオーストラリア大陸で、ひとつの言語や民族しかいないというほうが不自然だ。
オーストラリアは先住民に対する迫害の歴史を謝罪し、いたるところで「その地に暮らしていたアボリジナルピープル」への敬意を示すようになったのは聞いていた。数日間のロケでそこまで実感できるのか?半信半疑だったけれど、これは本当だった。
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2024年末に運行が始まった近郊列車“マリユン”は、ダルグ語でエミューの意味。サイトなどで情報は確認していたが、列車に乗るとモニターにちゃんと由来を説明する動画まで流れている!これは予想外。そこでは“マリユンと同じように この列車も古の地を走ります”と壮大な文句。
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途中駅のホークスベリーリバー駅にあった看板。このあたりには、2万年前からダルグ族とクーリンガイ族が住んでいたとある。ガイドブックには、彼らの手形や壁画が残っているとあったので取材したクルーズ船の人に場所を聞いてみると「手形はいたるところにある」と言うから驚いた。一大観光スポットになりそうなものだが、いたるところにありすぎて地元の人はそこまで珍しく感じないのかも。
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終点の隣町ポート・スティーブンスにある、有名なストックトン砂丘の展望台には、土地の伝説について、文章だけでなくウォリミ族の人が語る動画も流れている!ちなみに、残念ながら取材はできなかったが、この砂丘で行われる人気ツアーはアボリジナルピープルによるもの。
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意識して注意深くみれば、”古の地を走る”実感がわいてくる。壮大な言葉も、あながち嘘ではなさそうだ。そしてなるほど、その土地の民族に敬意を示すのは、観光資源とつながっているからだとわかる。数年後には、さらに古の地を実感できる気がした。
- ディレクター 安部 真理恵

- マリユンのモニターにある文言

- クルーズ船での撮影