インカの記憶・アンデスの風・南米ペルーの旅 撮影日記

- チチカカトレインの豪華な車内
- 新たなる旅
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マチュピチュでの撮影を終え、さらに沿線の街、ウルバン川の恵みから農業が有名なウルバンバ、マラス村の農作業、モライ遺跡などの取材を終え、再びクスコへと戻る。
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ここから今度はチチカカ湖の畔にある街プーノを目指して列車に乗る。その前にクスコの街でペルーの伝統料理を撮影。クイと呼ばれる小動物(=モルモット)の丸焼き。クスコの中心部で日本人夫婦が営む「プカラ」というレストランで、焼いている様子から撮影させてもらう。このクイの丸焼きは、インカの時代から続く、この地方の名物料理。お腹にハーブを詰め込み、丸焼きにされた料理は、滋養強壮に良いとされ、お祝いごとの定番だそう。
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マラス村で農家を取材したときに見た、家の中を可愛く走り回る、あのモルモット…小刻みに鼻を動かす仕草の可愛いモルモット…つぶらな瞳のモルモット…。丸焼きになったら面影なんて全然ない。パリッとした皮がうまい。肉は野生の風味。
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クスコからプーノへと10時間かけて走る列車チチカカトレインは、内装がとんでもない。そもそも列車の椅子ではなくて、豪華なアンティーク調の椅子が並べられている。それぞれのテーブルにはクロスが掛けられていて、小さなお花が生けられている。マチュピチュへの列車も豪華であったが、こちらはさらにラグジュアリーな雰囲気。料金は食事付きで270USドル(約4万円/取材時)。運行は週に2便だけで、値段もちゃんとするから、プーノまではバスで行く人の方が多いそう。
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ただ、この豪華すぎるというのが、旅行だったら良いのだけれど、撮影となると大変。サービスを邪魔しないように、列車の空気感を邪魔しないように、おしとやかに撮影をしないといけない。お客さんも、一生に一度の大旅行なのかもしれないから、より一層慎重に撮影しないといけない。出発前のクスコ・ワンチャック駅で、撮影やら機材の運搬やらで走り回っていたら、ふと気づく。息苦しくない。高山地帯に来て1週間ほど。3400mのクスコに体が順応し始めているのではないか。これが高地トレーニングの威力なのか。
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次回、高地の威力にやられる。
- ディレクター 水口拓郎

- クイの丸焼き

- ランプや花で彩られた内装