モンゴル編 撮影日記

- ウランバートル近郊を走る列車
- モンゴルロケの始まり
- いつか行ってみたいなぁと夢想していた国が幾つかあった。モンゴルもそんな国の一つだ。成田を発って5時間半、高度を下げた飛行機が厚い雲を抜けた瞬間、その夢想していた国が突如眼下に広がった。地平線の先まで続く緑の大地。背丈を揃えた丘が大地になだらかな起伏を作り、その上をゆっくりなぞるように雲の影が流れていく。風の動きが一目で追えるようなその光景に、機内で一人テンションが上がる。あぁ本当に来ちゃったモンゴル。広いぞモンゴル。
- 到着の翌日から早速撮影開始である。首都ウランバートルは高層ビルが立ち並ぶ大都会であり、街行く人も洗練されていた。若い男性は細身のジーンズに韓流俳優のような髪型。女性は峰不二子ばりのスタイルに露出度高めのファッション。そして皆スラリと足が長い。コーディネーター曰くモンゴル人の祖先たる騎馬民族は、ロシアやトルコなどの辺境の地に遠征を繰り返し様々な種と混ざった。その為、モンゴル人はスタイルが良いのだろう、との事。
しかし体は欧米人なのに顔は日本人にそっくり。なんだか不思議な光景だ。そんな町並みを見るのも楽しいのだが、日本とそう変わらない景色にまだ車窓のロケが始まった気がしないでいた。
- そこで午前中に首都を発つ列車を大草原で撮影する為、郊外に車を走らせる。30分ほど行くとそこはもう一面の緑の世界。大草原の真ん中で車を降り、忙しく撮影の準備をするカメラマンのH氏を横目に、僕は我慢ならずこっそり寝転んでみた。(すみません。)
- 日本と違い湿度が低い草原には、いつも柔らかな風が吹いている。明け方に少しの雨が降った草の匂いと、そこに住むバッタ達の「キリキリ…」と鳴く声だけが響く静かな世界。
そうして彼方からやってくる列車の音を、耳を澄ませながら待つのだ。
「世界の車窓から」のロケが始まったんだなぁ、と実感した瞬間だった。
遠く風の向こうで、列車の警笛が聞こえた。
- ディレクター 萩原 翔

- 飛行機から見えた景色

- 首都ウランバートルを歩く女性